2.慟哭

人の死を想像しては 一人悲しみに明け暮れる

惨たらしい 凄惨な 涙一つ出ないような死を連想し 一人慟哭する


簡単に死ぬ人の命に重さなどあるのかしらんと 想像の中で幾度も人を殺す

その度に嗚咽する 瓦礫に埋めた人の手を取り

その度に歔欷する 顳顬を撃ち抜いた人の顔に触れ


人はいつかきっと死ぬのだから もう泣いては駄目なのだ

悲しいばかりが人生ではないと 知己と出会い 思い知ったではないか・・・


それならばと 堰を切ったように己の死を想像し出す

悲しみに暮れる間もなく あの死を連想し 独り慟哭する

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る