第52話 エシルの初依頼 2

 エクスとレイはエシルの依頼に来ていた。


 サポートをするということではあったが、エクスはすることがなかった。


 一方でレイは色々とエシルに教えていた。度々エシルは嫌な顔をするが、素直に聞いているようであった。そのためエクスは益々することがなくなっていた。


 レイが教えていることは主に野営や魔物の解体など戦闘以外のことであった。戦闘に関してはレイに模擬戦で勝ってしまう程であったため、依頼達成の前に食べられる魔物や野草など緊急時に必要になるものを言っていた。また、その時に注意しなければならないことも教えていた。


 エシルは魔物を殺したり、血を見たりすることに関しては戸惑うことはなかった。それでも少し抵抗はあるのか、何度か顔を背ける場面があった。


 一方でエクスは何もせず、2人の後について行くだけであった。野営に関しても生きられれば良いと言う考えのため、食事など雑になってしまうことが多々あった。それはルクセンやエーシェも似たようなもので、その度にレイは苦労していた。


 レイはそこら辺に関しては凝っており、料理や寝床などかなり力を入れていた。そのためレイと行く時は荷物が増えたりする。また、野営時も張り切って料理を作ったりする。確かに料理が美味いことは良いがエクスは少し無駄だとも感じていた。


 レイの野営に力を入れるのには少し理由があった。それはエクスよりなんでも良いから優れていることが欲しかったからだ。


 エクスもレイから目の敵にされていることはわかっているから避けているところはあったが、それでも好意で料理などを作ってくれることには感謝していたりする。だからその度、お礼を言ったり感謝を伝えたり、最低限のことはしていた。


 それがレイにとっては何よりも嬉しかったのだ。なんでも良いからエクスに勝っていることがあると言う事実がレイの背中を押していた。


 そんなことで道中はほとんどレイが何でもやってしまったため、エシルもエクスも見ているだけで苦労はなかった。


 ただ、レイに対してエクスがお礼を言うのが面白くないのか、エシルは終始不機嫌になっていた。そのことでエシルも討伐以外のところで力を入れるようになった。


 依頼に関してだか、ゴブリンの討伐であったため案の定何の苦労もなく終わってしまった。それに今回ははぐれているゴブリンを数枚見つけることができたため、ゴブリンの巣を見つけるまではせず、帰った。

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