第51話 エシルの初依頼 1
「早いが、今日はエシルにも討伐依頼をやってもらう」
「え?早くないですか?」
エクスは自分が入った当初は雑用みたいな簡単な依頼しかできていなかったから、少し驚いた。
「実力的には問題ないから早くランクを上げて貰いたいからね」
「ん?ランク上げても良いんですか?」
アシルの返答にナティがそう聞いた。
「?問題は無いはずだけど?」
「いや、エシルなら来年の大会簡単に優勝できるので、そこに出すとばかり思ってました」
「確かにそれは考えたけど、前回のエクスみたいにオッズは高くなりそうにないから、それなら見逃しても良いかなって。それにランクもD1までは上げても良いから、早く戦闘に慣れて欲しくてね」
「まあ、最近討伐依頼も増えて来て、少しでも人手が欲しい状況ですからね」
「なるほど」
エクスはそう聞いて納得した。
「というわけで、レイとエクスにはエシルのサポートをしてもらうから、よろしくね」
「な、なんでですか!」
それに強い反発をしたのはレイであった。
確かに何度も模擬戦をしては勝てない相手のサポートをするのは嫌だろう。しかもどこか見下してくるような相手となると尚更嫌だろう。
「なんでって、元とはいえあのノウムスヴィエートに属していたわけで、知識も経験もこのギルド中だと俺たちを抜けば1番なわけだし、いろんなスキルを持っていて何かあったときに対処もできるだろうからね」
「あ、はい」
そんなに褒められると思ってなかったのか、レイは少し恥ずかしそうにしていた。
「まあ、ただエシルとの関係を見るとレイの命令とか注意は無視されると思ったから、そこでエクスも同行させることにしたんだよ」
「確かに」
アシルの言葉にレイは納得していた。
「それなら、お兄様だけで良いのではないですか?」
しかし、アシルの言葉に納得していなかったエシルがそう言った。
「確かに人手の足りない時に2人も同行させるのは良くないかもしれないけど、正直エクスだけじゃ不安だからね。エクスはスキルもないようなものだし、何かあっても何もできない。何より色々と雑なんだよね」
「雑、ですか?」
「エクスって戦い方も単純で参考にならないだろうし、ほとんど怪我をすることもないからその対処もほとんどできないし、スキルがないから索敵や野宿の際も足手纏いになるからエクスだけだとやっぱり不安しかないんだよね」
「ぐはっ」
エクスは痛いところを突かれダメージを負った。
エシルもそれには反論することができず、2人のサポートで行くことになった。
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