第50話 エシルとレイ
よほど悔しかったのか、レイは翌日からエクスに挑むのではなく、エシルに挑むことにした。いままでにもレイはアシル達に負けたことはあったが、経験の量が違うとかスキルの量が違うとか年上であるとか勝てない理由をいくらでも作ることができた。
しかし、エシルにはそんな理由を作ることができなかった。むしろ年下であり、勝って当然と考えていたレイは負けてしまった。しかもエクスの妹に、だ。
そんな理由からレイはまずエシルに勝つという目標に切り替えていた。
「エシル!昨日は負けたけど、今日は勝たせてもらうわよ!」
レイはそうエシルに宣言していた。
「え、あ、はい」
エシルは突然の話しかけられたことで驚いてしまい、そんな返答になってしまった。エシルはエクスと特訓をするため、レイにはそれ以上構わず、さっさとエクスの所へ行くことにした。
「って!待ちなさい!どこに行く気よ!」
「どこって、これからお兄様のところへ行って一緒に特訓するんです」
「そんなことどうでも良いじゃな——」
「あなた、私とお兄様の時間を奪うんですか?」
エシルはエクスとの時間を蔑ろにするようなレイの言動に静かに怒り、そう言った。
「い、いや、そんな奪うつもりはあ、ありませんよ。ただ、少し私と模擬戦をしていただければと思いまして、はい」
レイはドスの効いたエシルの言葉に怯んで、言葉に詰まりまがら、丁寧な口調になっていた。
「はあ、わかりました。ただ、そんな1日程度じゃ、結果なんて変わりませんよ?そんな無鉄砲に挑むのではなく、勝てるように特訓でもしたらどうですか?」
「うぐっ、そうかもしれないけど、負けっぱなしは嫌なの」
「わかりました。それでは移動しましょうか」
「は、はい」
エシルがそう言うと場所を移した。
場所を移すとすぐに準備を済ませた。
エシルはエクスとの時間を蔑ろにされたことなどで苛立っていたこともあり、昨日よりも早く終わらせようと考えていた。
またレイはそんな苛立っていたエシルに怯んでいたこともあり、模擬戦はすぐに終わってしまった。
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