その後

「ほんとどうなってるんだよ」


 アシルは目の前で起こっていることに理解が追いつかず、そんなことを呟いた。


 エクスが何回か勝つことは予想していたが、まさか決勝戦まで行くとは思ってなかった。しかもその全ての試合において圧勝するなんて考えてもなかった。


「そもそもなんであんなに魔法耐性も高いんだよ」


 それは2回戦の出来事であった。


 2回戦は魔法を使う相手だったため、エクスでも勝てないと思っていた。


 しかし、現実はエクスに対して魔法が一切効いている様子はなかった。


 魔法が直撃したときは終わったと思ったが、エクスの着ていた服がボロボロになった程度でエクス自身はほぼ無傷だった。これにはさすがに驚き、しばらく固まっていた。それは相手も同様だったみたいで、しばらく固まっていたが、その後理解が追いつき、勝てないと悟ったのかそのままリタイアしていった。


 その後も同じように魔法を使う相手は2回戦の様子を見ていたのか、1、2発魔法を使って勝てないと判断するとリタイアしていった。

 

 逆に近接で戦う相手も何人かいた。しかし、エクスはアシルやナティなどレベルの高い人と訓練などをしていたため、Dランク程度では相手にすらならなかった。基本的に近付いてきた相手を掴み、場外へと投げ飛ばして勝利してきた。


 そんなこんなで気付けば、エクスの決勝戦となっていた。


 アシルは決勝の相手を見て次はさすがに勝たないだろうと思った。


「さあ!いよいよ決勝戦となりました!」


「いやー、それにしてもまさかの結果になりましたね」


「そうですね。まさか、あのエレメシアスから決勝戦に進む者がいるなんて」


「まさに今大会のダークホースと言えるでしょう」


「しかし、その快進撃もここまででしょう!」


「なんと言っても決勝戦の相手は王都で1位と言っていい程実力のあるギルド『ノウムスヴィエート』で期待されている新人、聖騎士レイ・アウレリアです。その実力はBランクに匹敵するとも言われています」


「その実力は決勝戦までの試合で証明されています」


「それでは改めてまして、これよりギルド『ノウムスヴィエート』所属、レイ・アウレリア対ギルド『エレメシアス』所属、エクスの決勝戦を開始いたします!」


 そんな実況で決勝戦が始まった。


 

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