第25話 試合後
「貴様!どんな卑怯な手を使ったんだ!あのギルドに所属しているやつがこの俺が負けるはずがないんだ!」
裏に引っ込むと対戦相手のシルトがエクスにそう絡んできた。
「そうなんだよ、なんで僕が勝ってるんだ?」
エクスは未だに正常な判断ができず、そんなこと言ってしまった。
「なんで貴様がわからないんだ!」
「なんでって、僕はこう、軽く殴っただけだし」
エクスは先程の状況を再現するべく、殴る真似をした。
「そんなわけないだろ!なんで殴っただけで、障壁ごと吹っ飛ばされるんだ!なにかしたんだろ!そうだ!どうせ外から身体強化のスキルでも掛けてもらったんだろ!」
「え?そんなことができるの?でもあの時、普段と変わらなかったし」
しかし、エクスはスキルに疎いため、スキルが他人にも使えるなんてこと知らなかった。また、その時のことを思い出してみたが、変わったことは思い出せなかった。
「やっぱり!貴様ズルをしてたんじゃないか!俺の呪いを受けて普段通りなわけないだろ!」
そう言うとシルトはどこかへと走って行ってしまった。
「よくやった!」
そう言ってシルトと入れ替わるようにアシルとナティがそこへやってきた。アシルは喜びのあまりエクスに抱きついていた。
「何してたんですか?」
「あ、はい。それが対戦相手の人から外からスキルを掛けてもらっていてズルをしているって言われてて、2人は僕に何かスキルでもかけたりしたんですか?」
「はあ、そんなの言いがかりですよ。そもそもこの大会においてそんなズルなんてできませんから。それに私たちズルしてまで勝ちたくはありませんから、そんなことしません」
エクスはシルトの言葉で2人を少し疑っていたが、ナティの言葉を聞いて2人を疑ったエクスは自分が恥ずかしくなった。
「それより、そろそろ離してください」
エクスはいい加減アシルに抱きつかれていることがうざくなり、そう言った。
「ああ、すまん」
アシルはそう素直にエクスから離れた。
「改めて、エクス君初戦突破おめでとうございます」
「そうだった。エクス、本当によくやってくれた。これでまだ希望は繋がった!」
「あ、ありがとうございます」
エクスは勝った実感がまだ湧かず、戸惑いながらそう答えた。
余談だが、なぜシルトが障壁ごと吹っ飛んだのか。
それは単純でただシルトがバカだったためだ。普通障壁は、自分を囲うように半球の形で使う。しかし、シルトは完全な球体で障壁を作ってしまったため、踏ん張ることができず、吹っ飛ばされてしまったのだ。
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