第22話 1回戦 1
大会は順調に進み、ようやくエクスの番がまわってきた。
「さあ、ようやくDランクの1回戦も折り返しとなりました」
「それでもやはりDランクの試合は、迫力に欠けますね」
「そうですね。しかし、その中でも聖騎士はさすが優勝候補といったところでしたね」
「ええ、まだギルドに入って1年というのにD1にまで上がっただけの実力はありましたね。むしろ、それ以上の実力があったと言えますね」
実況者がそう聖騎士のことを褒めていた。
エクスはこれから試合という前にそんなことを聞かされていたが、なんとも思わず、試合の準備を進めていた。
「優勝候補という意味ではこれからの試合も見どころですね」
「そうですね。なんと言っても、そんな聖騎士に勝つ可能性のある者ですからね」
「まだD3ランクとはいえ、先程の聖騎士に勝つ可能性がある言われているのはすごいですね」
「まあ、相手がかわいそうではありますね。それに……」
「そうですねに対戦相手があの、ギルド『エレメシアス』に所属している人ですからね」
「本当ですよね。実力が足りないから今までこの大会には出てこなかったのにいきなりどうしたんですかね?勝つ見込みがあるとは思えませんけど」
「まあ、そこも楽しみにしておきましょう。見世物になりにきたのか、それとも勝つ自信があるのか」
なんとも酷い言われようである。
評価が低いと分かっていたが、ここまで露骨に嫌味を言われてしまっては出たいと言う気持ちも削がれてしまう。しかし、もう出番も直前である。いきなり棄権なんてできるわけがなかった。ここまで来てしまったからには、最後までやり抜く以外の選択肢はエクスにはなかった。
「それではこれよりギルド『グングフェーザ』所属、シルト・フルーフ対ギルド『エレメシアス』所属、エクスの1回戦第36試合を開始ます!」
その合図とともに試合が開始した。
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