第20話 決闘大会開始

「さぁ!今年も始まりました、決闘大会です!さて今年はどのような闘いが観られるのでしょうか!」


 その言葉につられるように、会場からは大きな歓声が上がった。


 それを近くで見ていたエクスはその勢いに圧倒されていた。エクスは自分が考えていた以上に決闘大会の規模が大きく、少しだけ出場したことを後悔していた。


 エクスは控え室で待機しているのだが、ここにいる人たちの迫力に呑まれて、萎縮していた。


 この控え室にいるはDランクの人たちしかいない。それはDランクの人たちから大会が進行していくからだ。D→C→Bと大会が進行していくにつれて強いランクの人が出てくるようになっている。そのため、始まったばかりでは、Dランクの人しかこの控え室には来ていないのだ。


 ちなみAランク以上の人は基本的にこの大会には出場しない。それは、実力が十分周知されていることと、そもそもAランク以上の人数が少ないことが理由だ。そのため実力の披露を主な目的とするこの大会では基本的に出てこないのだ。


 ただし、例外は存在する。


 それが、個人的な決闘だ。


 因縁などがその理由に含まれる。また、大会を盛り上げるために運営がAランク以上の人に声をかけて出場するという場合がある。


 そして今回はAランク以上の人が出場する話はないはずなのだが、今回はかなり盛り上がっている。その理由がこのDランク帯の大会にあった。


 それは最も注目されている人物が2人程いるからだ。


 1人は、聖騎士と呼ばれる恩恵を持った少女だ。彼女は昨年ギルドに入ったばかりにもかかわらず、すでにD1ランクまで登りつめており、このDランク帯の大会での優勝候補の1人で、多くの人物が彼女の闘いに注目していた。


 そしてもう1人はランクはまだD3と低いが、その潜在能力は高く、このDランク帯の大会で唯一聖騎士の少女に勝てるかもしれないと言われている少年だ。そのため、その2人の直接対決が望まれている。


 その他にも注目されている人物は多い。


 そして、エクスは1回戦からその聖騎士に勝てると噂されている少年との闘いなのだ。


 本当に運がないと心の底からそう思うエクスであった。

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