第11話 自己紹介

 エクスは案内された部屋で休んでいると、ナティが部屋に来た。ナティは特に何も言わずただ「ついて来て欲しい」と言った。そのため、エクスはナティの後について行った。


 ついて行くとある部屋に案内された。その部屋に入るとそこには6人の男女が座っていた。そのうちの1人はアシルであった。


「いやぁ、またすぐに呼んでしまうことになって悪いね」


「いえ、特にやることもなかったので」


「さあ、そこに座ってくれ」


 そう言われ、エクスは入り口近くの席に座り、ナティはアシルの近くの席に座った。


 エクスが座るとアシルが口を開いた。


「じゃあ、改めて——ではないのか。そう言えばまだ名乗ってすらいなかったね。俺はこのギルドの長のアシル・フォルガーだ。よろしく!」


 アシルは明るいという印象をエクスは持った。年齢も20代後半くらいだろう。ただ、何も考えてなさそうな感じがした。


「よ、よろしくお願いします」


「えーと、一応このギルドの副ギルド長をしております、ナティ・ロモンです。よろしくお願いします。そのほかにアシルの暴走を止めたり、ギルドと運営をしたり私がほとんどのことをやっています」


 ナティは珍しく眼鏡をかけていた。また口調や見た目からしっかりとした印象を受けた。アシルとは年齢も近いと思われるが、アシルに振り回されたり、ギルド運営をしているからか、少し疲れているように見えた。


「おい!それだと俺が何もしてないみたいじゃないか!」


 ナティの言葉にアシルは気に入らなかったようで反論していた。


「その通りじゃないですか。それにアシルがしているのはギルドの方針を決めるくらいで、その方針も私たちの意見なんてほとんど聞きませんし」


「うぐっ」


 どうやら言われたくないことだったらしく、アシルは黙ってしまった。


「まったくお前らはいつもケンカかよ」


 そう言ったのは、髭を生やした30代後半くらいのおじさんだった。


「ケンカじゃありません。それに悪いのアシルですから」


「わかってるよ。と、俺はルア・ニヒリだ。よろしくな。それと俺はこの2人とこのギルドを作ったんだが、この有様だ」


 ルアと呼ばれた男はアシルとナティを指差しながら、そう言った。


 エクスはルアを完全におじさんだと思っていたため、アシルとナティと共にこのギルドを作ったとは思えなかった。


「ルア、一言余計ですよ」


「事実だろ。それに隠すようなことでもないだろ」


 と、仲が良いのか悪いのかわからない会話をしていた。


「この順番で行くと次は俺かな?」


 そう言ったのは優しそうの雰囲気の青年であった。


「先にお願い」


 その隣に座っていた無表情の女性が愛想なく、短くそう答えた。


「わかった。じゃあ俺が先に行かせてもらうよ。俺は、シデンスだ。一応俺は『経験値増加』持ちだ。よろしくな」


「マリア・ルング。『経験値増加』持ち。よろしく」


 シデンスが名乗ると間髪入れずにマリアがそう簡単に言った。


「最後は私たちね」


 そう言ったのは、エクスの隣に座っていた女性であった。マリアとは違い、明るく活発な少女であった。


「私はエーシェよ。私も『経験値増加』を持っていて、丁度30日前にこのギルドに入ったわ。同じ新人としてよろしくね」


「はい、よろしくお願いします」


「むー、新人同士なんだからそんな丁寧に言わなくて良いわよ」


「えーと、じゃあ、よろしく」


「ええ、よろしくね」


「じゃあ、最後は俺だね。俺はルクセン・アスターだ。3人と同じで『経験値増加』を持ってるよ。俺は15日程前にこのギルド入った。マリアと同じで新人だから丁寧な言葉は必要ないから。よろしくな」


「ああ、よろしく」


 ルクセンはエクスと同じ新人ということもあり、まだ幼さが残っていた。


 こうして、その場にいたエクス以外の自己紹介が終わった。

 

「えぇ、僕はエクスって言います。皆さんと同じく『経験値増加』を持ってます。これからよろしくお願いします」


 エクスはそう無難なことを言って、自己紹介が終わった。


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