第12話 宿
「というわけで今日から新しくこのギルドに入ったエクスだ。わからないことは教えてやってくれ」
「エクスは宿とかに泊まるお金はありますか?」
ナティはそんなことをエクスに言った。
「いえ、ありません」
「そうですか。私たちもあなたに与えるお金はないので、申し訳ないのですが、このギルドで寝泊まりをしてください」
それはエクスにとってありがたいことだった。お金も多くは持ってなかったので、最悪は野宿も考えていたが、そんなことにならず安心していた。
「本当ですか?!ありがとうございます!」
「食事などはこちらで用意するので心配しないでください。ただ、アシルの出すメニューをこなしてください」
「メニュー?」
エクスはメニューと聞き、何のことかわからず、聞き返した。
「はい、そうですね。一言で言えば、特訓です」
エクスはそれでもイマイチ理解できていなかった。
おそらく特訓の内容をアシルが作り、その通り僕が体を鍛えるってことだろうとエクスは思った。
しかし、なぜそれをアシルが決めるのだろうか?僕は今まで通りに体を鍛えれば良いと思っていた。それにスキルも覚えたかったので、勝手にメニューを決められるのは少し嫌だった。
「わかりました」
しかし、宿の提供や食事の準備などをしてもらえる身としてはそれを断ることはエクスにはできなかった。
「そういうことですので、今日はもう何も無いのでそれぞれに部屋に戻って休んでください」
そう言われ、各々席を立ち部屋を出て行った。
部屋に戻ったエクスは、特訓の内容が気になっていた。どんなことをするのだろうか、と。自分じゃ考えもしないようなことをするのか、と少し楽しみでもあった。それにもしかしたら、スキルも使えるようになるかもと少し期待していた。
エクスは日課となっていたレベル上げを行いながら、そんなことを考えていた。
こんなことを考えるのも最近、レベルが上がり辛くなってきていたことが原因だ。そのこともあり、余計期待していた。
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