第18悪 ヒロインの最悪な日常(本当の大切な人編)

 突然、朝日が何かを叫んだかと思ったら。

 今度は、クラスメイトどもを朝日襲い始めた。


「あんた達……コロス!!……」


 そう言いながら、クラスメイト達を持っていた、カッターを取り上げて刺そうと追いかけくる。

 全くもって、いつもの朝日雫なのだとは感じられない。


「キャー!! 助けて!!」


「うわぁぁ!! 殺されるー!!」

 

 クラスメイトの悲鳴が、教室中に響き渡る。

 俺は、なんとか朝日を抑え込もうとするが、なかなか上手くいかない。


「しょうがねぇ! こいつを倒すぞ!」


「はあ? 意味分かっていってんのか?」


 荒が、朝日を倒そうとしていた俺を止める為に言う。

 だけど、それは明らかにおちょくっている発言。


「じゃあ! どうするんだよ! 天候!」


「はあ? そんな事は、お前で考えろよ」


 荒は、明らかに俺に対しての嫌みで返してきた。

 なんで、そんな事を言ってきたのかは分からないが……顔を見ると不機嫌と分かる。


「とりあえず、俺が食い止める! その間、何か策をねってくれ!」


 意外にも、堅石が協力的で、朝日を腕で抱えて抑え込んでくれた。


「女子達が、傷付くのは嫌だからな!

決して! 四神や、他の男子の為じゃねぇぞ」


「いや……そんな事を言うなよ。明らかに、今の発言で……クラスの女どもに引かれたからな」


 本当に、堅石守って男は、いい奴なんだが。 

 こう言うことを言ってしまう。

 イチイチそんなこと、言わなきゃいいのにな……毎回思ってはいるがな。



 私は、気が付いたようだ。

 どうやら、もう元には戻れないらしい。

 私が、やっていることを止めようとするも、体は言う事をきかない。

 それどころか、教室は滅茶苦茶なっていた。


「なんで言う事を聞かないのよ……なんで……なんで……」


 私の声は、誰にも届かない。

 それどころか、どんどん視界は見えなくなってくる。

 完全に視界が真っ黒なった。

 


 もうダメかと、思ったら……その時、突然光が差してきた。

 だから、私は光のほうに向かって歩いて、近づいていく。

 暗いのも、さすがに嫌だったので。

その方向に行くと、ドアが何故かそこにはあったので、その部屋に入ってみる。

 そこは、教室だったのだが、何故か入った瞬間夕方に変わった。


「え? なんで? 確か……教室いた時は、こんな時間じゃないと思うんだけど……」


 私は、そう呟くが。

 誰も、そこにはいなかったので、こんなことをやっていても無意味だと考えるのを止めて。

 私はその教室から、出ようとしたがドアが開かなかった。


「駄目だぁ……やっぱり、開かない」


 かなり、固く無理矢理開けようと思っても開けられない。

 そうこうしていると、教室にクラスメイト達が、続々と入ってくる。


「皆! 教室のドアが開かないんだけど……どうやって開けたの。これ?」


 私の質問に、クラスメイト達は笑っていてた。

 何が、可笑しいのか何も分からなかったが。


「なに言っていんだよ! お前! 勉強のし過ぎで。頭可笑しくなったのかよ! あはは!」


「おい! そんな事より、俺ら忙しいから教室の掃除やっておいてくれよ! 頼むぜ! 皆期待してるぜ! 委員長さん! あはは!」


 クラスメイト達は、笑っていた。

 教室を出ていき、姿を消した。

 確かに、このような事があった。

 私は、入学して最初に、クラスメイト達に利用されていたのだ。

 そうか……あの時の幻覚を見ているのか……悪薬の副作用で。

 そう思うと、悲しくなってきた。

 私は、思い出して涙を流しながらうつむく……その悲しき思い出が甦ってくるようで。


「なんで……なんで……なんで! なんで! 皆は、正しい私の言う事を聞いてくれないの……うぅ……うぅ……なんで……皆は、間違った方向に行くってるのに……グス……グス……分からない! 分からない! 分からない! 分からない! そんなこと、したって何も良くならない! それなのに……何で! 何で! 何で! 何で! 何でなのよ!!」


 私は、教室で響き渡る声で思いの丈を叫ぶが。

 誰も居ないし、誰もそんな私の心の声を聞いてはくれなかった。

 ただ虚しいだけなのは、分かっていた。

 ただ、叫ぶしか私は出来なかった。

 そうでもしない限り、寂しさと自分が頑張っても誰からも認められない、虚無感と虚しさでどうにかなりそうだったから。



 何か、知っている人物の声が、どこからともなく聞こえてくるような気がした。

 私が最も嫌いな、その男がいるだけでイライラする者の声が。


「それは、あいつらが所詮ろくでもない奴らだからだ!」


 そんな叫び声が聞こえた。

 その場所を見ると、そこには四神が何故かいた……私は、目を擦り涙を拭い、そんな言葉に反論するように言う。


「なんで何ですか!……うぅ……うぅ……笑いに来たんですか! もう! 関わらないでください! あなたを見てると、イライラして心を乱されるんです!」


「帰れねぇよ……」


 四神は、深刻そうな表情をしながら言ってきた。


「いいじゃないですか! ほっといて、くださいよ! あなたも、どうせ私の事を馬鹿にしにきたんでしょ!」


「そんなんじゃねぇ! ただ……俺は……」


「何なんですか!? 私をおちょくりにでも、来たんですか!」


 四神は、私の方を真っ直ぐ見る、何時にもなく真剣な眼差しでこちらを真っ直ぐ。

 

「何なんですか! 本当に! なんで……皆……分かってくれないの……」


 四神は、暗い顔を見せながら下を向いて、うつむきながら話す。


「あいつらは……所詮お前のことなんてなにも考えてない……だから……気にするな! どうせ、クズなんだから……俺も生きている時代に、あいつらみたいな、ろくでもない奴らにあってる。お前みたいに人を信じて、理不尽に傷つけられた……そして、俺が探している女は……あいつらみたいな、奴らに傷付けられた……それを見てきた……所詮クズで救いようのない奴らだ……だから! 気にするな! 所詮、この世には……ろくでもない奴らしかほとんどいない! だから! お前も、あいつらに、期待するのを止めろ! 絶対に、そんなことしても……あいつらは、お前の思いを分かってくれねぇんだから」


「だったらどうすれば良いんですか!! ……うぅ……うぅ……私は、寂しいんですよ! 一人ぼっちに、なりたくないんです! 誰も、好きなってくれない……誰からも相手にしてもらえない……そんなの、悲しいだけじゃないですか!!」


 私は、四神に今までの思いの丈をぶちまける、それは本心であり願望でもあった。

 それが溜まっていき、何か毒物でも吐き出すかのように。


「別に……一人ぼっちでも良いじゃねぇか……どうせ……あいつらは、お前の気持ちなんて。分かってくれないぞ……だから、貫き通して生きろ! どのみちあんな奴らなんか、ろくでもねぇんだから」


 私は、納得いかなかった。

 だから、四神に何故そのような、人を信用しない発言をしたのか問い詰める。


「何で、そんなことを言うのですか!! 分かりあえるかも、知れないじゃないですか! 四神さんは、いつも。あんな態度取ってるから、そうなるんじゃないですか!」


「そうじゃねよ……あいつは、そんな奴らを信じてしまったから……そうなった……だから……あいつみたいな、被害にあった女を見たくねぇ!……俺みたいに、悲しい思いをしてほしくねぇんだ! そんな風に、お前には生きてほしくねぇだけだ!……だから……たとえ! 悪く言われても! 人に嫌われたとしても! お前わ! くだらない、奴らに感化されずに生きていけ! それに、お前は、偽善者だが。あいつらよりかは、マジだ! 実行しようと結果もだしてる! 何もしてないで、群れてるだけの奴らなんかに……利用されるんじゃねぇ! いいな!! だから、気にするな! あんな、上辺だけの薄っぺらい関係しか築けない奴らなんて! それに、そんなものより自分の思いを大切にしろよ! それに、あいつらが何か言ってきても……俺はお前の事を認めてやる! お前の頑張りと、そのひた向きな努力と、誰かを救いたいと思う気持ちを肯定してやるから! だから! 俺は、お前を信じている!」


 私は、心が打たれたんだ。

 だって、今まで私は誰からも認められなかった。

 誰からも、肯定されたことがない。

 否定しか、されてない人生だったから……そう思うと、私は四神に何故か抱き付いていた。

 涙がでてくる、やっと、私を認めくれた人に出会えた。

 そんなことが、嬉しくつい嫌いな男に。


「うわぁ~ん!! しがみさ~ん!!……うぅ……うぅ……」


「泣くなよ……そんなことしなくても、俺は、お前のやってきた事を否定はしない。必死にやってきたって、事は分かってる。だから別にいいんだよ……あいつらの為なんかに、それを曲げなくて……」


 そんなことを言われたのは初めてだった。

 誰からも、肯定されなかったから今まで。

 私の心が満たされたような、そんな感じがした。

 段々と、気分は晴れていく。

 それにつれて、どんどんとその教室は消えていき……そして、私は意識をとり戻すと元の教室に私はいた。

 四神に抱き付いていて、それを思いだした。

 そして、四神に今日のことのお礼を言う。


「四神さん! ありがとうございます! ……うぅ……うぅ……私の意識もどに戻してくれて……クズクズ……」


「泣くなよ……お前は、間違っていない!だから、俺がやっただけだからな!」


 そんな、ツンデレみたいな事を言う、四神に思わず笑ってしまった。

 素直じゃない、その姿勢に。


「本当に、素直じゃないですね~」


「バカやろぉ! 俺が、したいからしただけだ! お前の事は、好きじゃねぇよ!」


 本当に素直じゃない。

 あ~!

 この人は、本当はただのツンデレで、人の事を思ってない訳ではない。

 そんな事をこの件で分かった。


 だが、私はそんな四神の部分も含めて好きになってしまった。

 だって、あんなにまっすぐに思いぶつけてきて、私の事本当に思ってくれる人はいない。

 だから、私は四神に好きだと言いたかった。  

 その気持ちが、抑えられなくてつい告白せずにはいられなかった。


「それと、私四神さんの事を好きなっちゃいました! 好きです! だから! 四神さんの事を全部知るまで、一緒にいますからね!」


「何を言ってやがる! 絶対に、俺はお前の事なんてどうとも思わねぇし! それに、俺は群れてる奴は嫌いだ!」


 私の告白を聞いて、むきになる四神。


「だから! 四神さん! あなたを更正させます!」


「だから! 囚人じゃねぇって、言ってるだろがぁ!!」


 そう、私は四神を更正させて見せる。

 本当は、悪い人ではないのも分かってる、それにこうなってしまった経緯を知ることも出来るから。


「浮気ですか? そうですよね! 覚悟してください……グヘグヘ……」


 愛が突然来て、四神に包丁を突き付けて脅す。


「そうよ~、私を必要としてくれるんじゃないの? 私なら何でもしてあげれるわ~もちろん、スケベなこともね。あああん!」


 そう言いながら紫も来て、全力で色目を使いアピールする。



 そんな中ルシルトが来た、しかもちょうどいいタイミングで。


「今回は、失敗しました……朝日さんのカウンターの力が手に入ると思ったのですが。残念です……そうですね~1ヶ月後この世界を闇に染めて滅ぼします! その時は、覚悟して下さいよ!! あなた達、人間の最後の日を楽しみにしてね~……フハハハ!」


 ルシルトは、そんな皮肉たっぷりな発言をして、羽を羽ばたかせて飛んで立ち去っていった。



「1ヶ月後……絶対にあの人を倒しましょう」


「ああ、絶対にな!!」


 そう四神と私は、約束する。

 すると、荒れが現れて、いきなり修行をすると言い出し始める。


「今のままでは、無理だ! だから! 修業をするぞ、お前ら!」


 私は、修業とは何か気になるも、大人しく荒れの言う事を聞いて、修業に向かう。

 だって、今のままでは太刀打ち出来ないのほど強いのだろうと察することが出来た。

 多分だけど、相手は恐ろしいくらい強いと天候もいっていた。

 その世界に、詳しい天候と四神も言ってるくらいだから。

 絶対にルシルトを倒して、四神の追っている女の子を探して救うんだ四神も!

 そして、私は四神を人を思う人間に更正させさる!

 だから、私は強くならなきゃいけない。

 四神が、真っ当な人間に更正するために!

その日がくるまで、決して諦めてはいけない。

 そう、私は心の中で誓う。

 四神何時の日か、本当の心打ちを話すまでは、絶対にそれは諦めないと。

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