第17悪 ヒロインの最悪な日常(偽物の関係編)

 私は、あれから四神のことが気になって仕方がない。

 何故か、思い出したり考えてただけでも、イライラする。

 なんだろうな、この気持ち。

 あんな、最低最悪な男にこんな事を思うなんて、気でも可笑しくなったのか。

 その事が原因でいよいよ、ストレス溜まり過ぎて、何かの犯罪でも犯すかもしれない。

 そう考えていると、突然声をかけられて驚きふためく。


「おい! 朝日! どうした、お前の番だぞ」


「は、はい!」


 私は、授業中に考え事をしてしまい、授業の内容を聞いていなかったらしい。

 一生の不覚である。

 こんな事は、今までなかったのに。

 そんな気持ちを他所に、四神は気持ち良さそうに寝ていた。  

 その最中、私は教科書を読み上げる。

 淡々と……いつものように。


 それから数時間した後、家に帰ってきて居るのだが。

 四神は、相変わらず私の家に入り浸っている。

 いい加減、迷惑なので止めてほしいとは、ずっと思ってはいるが。


「四神さん! いい加減帰ってくださいよ!」


「俺が帰ろうが何処に居ようが、自由だろがぁ!」


 そんな四神は、煎餅を食べながら寝転がりくつろぎ、自分の家かのような態度をとりながら、テレビを見ていた。

 だが、私が帰ってほしい理由は邪魔だからではない。

 ここ最近、四神を見るとムカつきが止まらなくなり、頭が可笑しくなりそうだったからだ。

 これ以上、悪化すれば正気を保てなくなりそうで怖いのだ。


「分かった! 帰ればいいんだな! 帰れば!」


「当たり前ですよ!」


 四神は、渋々自分の家へ歩いて帰って行く、そのあしどりあまり軽いものではない。


 それから数時間経って、私はお腹が空いたので近くのコンビニまで歩いていった……その時!

 空中に、浮かんでいるルシルトがそこにはいた。

 そして、私の目の前から降りてきた。


「何なんですか!?」


 私の方を向いて、ニヤリと笑うルシルト。

 いかにも怪しげだったから、身構えながらカウンターを使う、準備を整えた。

 何時でも、戦闘できるように。

 それに、ここでルシルトを倒せば、私は晴れて四神の言っていた、少女が見付かる可能性は多いにある。


「違いますよ。とりあえず……カウンターをしまいなさい! あなたにいい事を教えに来たんですよ。あなたは、何か不満があるのでしょう。私が、それを解決する方法をお教えしましょう」


「いえ! 結構です! あなたみたいな人の心を利用し、操り、人を嫌なめに、合わせるような人の事を信用出来ませんから!!」


「まあ、そうでしょうね……ですけど……あなたは勘違いしていらっしゃる。悪薬と言うのは、本来人の悪の部分を引き出すものであって。ほとんど無害ですし。それは、本人の問題かと……ですから、一度使って見ると良いです。なんとも、素晴らしい力が与えられるでしょう! そして! あなたの夢が叶えられる! そんな! 素晴らしお薬ですよ」


 私は、ルシルトから悪薬を受け取ってしまった……つい興味本位で。

 そのあと、急いでいたのか。

 ルシルトは、翼を羽ばたかせ何処かに飛んでいった。

 私は、ルシルトから貰った悪薬を握りしめながら、今までの事を思い出してみた

が。

 どうにも、決断することが出来なかった……最近なんだか、ムカムカして。

 


 それから翌日、私は皆に注意をしていた、掃除のことで。


「皆さん! ちゃんと掃除して下さいよ!」


 私が注意するも、皆はやはり聞く耳持たず文句と愚痴ばかり言ってくる。


「てか、何でリーダー面して言ってくるんだよ!」


「俺らがお前に命令されて、従う必要ないつーの!」


「そうよ! そうよ!」


「何で、私達が掃除なんかしなきゃいけないのよ!」


 それは、いつも一人で私が掃除をやっていて。

 皆は、帰りの掃除を普段サボっているから、ちゃんとやれと言いたいだけだ。

 だけど、私は何も言えなかった。

 私には、この人達のような、いい加減なひとの気持ちが一切分からないから。

 何故、不真面目に行動するかも、何故学校の規則も守ろうとしないのかも。

 私には、全く理解できないしそうは

なりたいと思えない。


 私は、ルシルトから貰った悪薬のことを思い出した。

 それは、あの天使のルシルトから貰った違法薬物のことだ。

 だけど、こんなものを持っているのは良くない。

 でも、誰にも相談できない。

 私には、もう……このクラスには、誰一人として、友達や相談相手になってくれる人は、誰も居なかったから。

 だから……もう真面目にならなくていい!

 そう思い、ポケットから悪薬を取り出す。

 私は、その人達の事を理解する為にと、言い訳をしながら使おうとする。


 正直なんだかもう、人生どうでもよくなって使うことにしたのだ。

 だって、誰も私の事を理解してくれる人はいないし、ろくでもない人間しか周りにいない。

 心配も、してれない。

 それが、原因で馬鹿馬鹿しくなって。

 所詮、この世の中真面目に生きいても損することばかりだからと思い。

 だから!

 私は、変わろうと決意して。

 不真面目に、生きて、この人達と四神のように、のほほんと適当に人生を送ろうと思う。


 そして、私はそれから……変わっていき不良のような態度を取るようになってしまった。


「あ~、授業かったりいいわ~」


 そんな発言をしながら、私は似合ってないことをし続けた。

 明らかに、格好も言動も今までにないくらい、変わっていた。


「え? どうした? それに……なんでそんな格好なんだ!?」


 先生が、驚くのも無理もない。

 私は、髪を金髪に染めているし、スカートも短くしていて、さらに露出度も高い。

 それに、眼鏡もコンタクトにしていたから、当然と言うば当然だ。

 今までの、自分とは別人のような雰囲気をしているのだから。

 それと、クラスメイトは私のそんな姿を見て、驚いていたと同時に、怖がっていたと思う。

 だけど、私は止まられなかった。

 止められなくなって、しまっていた。


「ああん!? 何かようか?」


「いえ……なにも……」


「ガンつけてるんじゃねぇよ! 馬鹿カスどもがぁ!!」


 そのあと、クラスの女子は萎縮していた。

 それは、四神を恐れている時のような、感じではあった。


「あ~! 全部分かってんのに、なんでコイツら馬鹿に合わせて。授業し受けきゃならないんだよ! どうせ、コイツら分かってねぇし。もうやらなくてよくね?

って言うか~寝てていいすっか? 寝てても、同じなので」


 先生は、そんな私を見て、苦笑いするしかない。

 あまりの、変貌ぷり若干気味悪がってはいたから、何も言われなかったが。

 だが、堅石守たちは全くそのことに動じない。

 堅石と共に、クラスの男子は私の格好が見てて、鼻息を荒くする。


「なんか……朝日を勘違いしてたわ」


「俺も! 俺も!」


「眼鏡もないから、滅茶苦茶可愛い!」


 正直、このクラスには、そう言う基準でしか物事を見れない人しか居ないのかと思うと呆れてくる。

 まあ、スケベな目線で見られても可笑しくはない格好してるから、私も悪いので仕方ないけど。


「うるせぇよ! クラスの女子にモテないからって、私に媚びて、付き合えるとも思ってんのか!? ああん!?」


「俺……なんだか、朝日に罵られる好きかも」


 クラスの男子の、Mなところを解放したみたいだ。

 正直言って、気持ち悪いのは何でもなかったが、イチイチずっと興奮しているのが見てて嫌だった。


「おい! 俺が、雫ちゃんに先に声かけたんだぞ!」


 堅石が、急にでしゃばり始めた。

 この男は、スケベ過ぎてそう言う事に関しては、絶対に譲らないらしい。


「さあ! 雫ちゃん! 俺を思う存分!

罵って、踏みつけてくれ!」


「はあ? お前みたいな、ウジ虫以下の奴なんて眼中にないんだけど? さっさと、殺虫剤で死ねば?」


 なんか……凄く嬉しそうな表情で、こちらを見てくる堅石は、本当に嬉しそうに笑い気持ちが悪かった。

 鼻血は、出ていたし、ニヤニヤと不適な笑み浮かべてヨダレもタラタラと流していから、汚く余計に見えたし。

 クラス女子も、そんな堅石の姿を見ていて引いていた。


「ありがとうございます! 次は、足で踏んで下さい!」


「はあ? キモいんですけど? 話しかけなんよ……汚いつばが飛ぶだろ!」


 それでも、堅石は嬉しそうにしていた。

 そんな堅石に、クラスの男子は嫉妬する。


「堅石先生! ズルいですよ! 僕も、朝日のご褒美ほしいですよ!」


「お前には、このステージは早すぎる! 変態を磨いてから、出直してこい!」


 もう、何を言ってるのか、さっぱり分からなかった。

 変態を磨くって、意味不明すぎて全く訳が分からないし。

 堅石の変態具合は、どうやら私の想像を遥かに越えていたから。



 その翌日も、私は授業を真面目に受けなかった。

 そして、そんな私をみかねてか。

 四神が、ようやく話しかけてきた。


「おい……変だぞ、お前……何かあっただろ」


「何でもねぇよ……それに、お前に変とか言われたかねぇよ!」


 四神は、私を哀れみの表情で見てくる。

 いつも、迷惑をかけるのは四神だろうから、そんな顔でみられる覚えはないと思う。

 それからも、私は何事にもなく、不真面目に学校生活に取り組む。

 掃除をやってきた時、クラスの女子から注意をうける。


「ちょっと! 朝日! 掃除真面目にやってよ!」


「はあ~? 何で、私が掃除なんかやらなきゃいけないんだよ? お前らで、やればいいだろ!」


 そんな私の態度に、クラスの女子達は反発してきた。

 どうやら、我慢の限界らしい。


「それは、あなたが掃除をやらないと。私達が余分にやらなきゃいけないじゃない!」


「そうよ! そうよ!」


「何で、私達が。あんたの分なんか、やらなきゃいけないのよ!」


 私は、どうやらその言葉にカチんときたらしく。

 クラスの女子達に、怒鳴りつけて黙らせようと、つい暴言を吐き始めて、しまったようだ。


「お前ら、ふざけるんじゃねよ! 私がどんだけ、お前らの分まで、今までやってきたのか分かるか!? それを考えたら、やるのが当然だろがぁ!!」


「何ですって! そもそも、地味っ子だったくせして。生意気なのよ! 急に、イキがるんじゃないわよ!」


 クラスの女子の、リーダー的な存在と遂に私は喧嘩をしてしまった。

 そんな事をしていると、意外な人がこの状況を解決しようとした。


「おい! やっぱり、お前可笑しいぞ!

何か、あったんだな!」


 その男は、翌々見ると四神だった。

 どうやら、私は四神に悪薬を使ったのを感ずかれたらしい。

 ずっと、こちらを見て聞いてきた。


「うるせぇ! お前には関係ないだろ! それに、お前を見てると。最近、ムカつくんだよ! だから、私の前に現れるんじゃねぇよ!」


「やっぱりそうか。お前……悪薬を使っちまったんだな」


「だから! 違って、言ってんだろ! いい加減にしないと、ぶ殺すぞ!!」


 そんな、四神の態度がより、私の怒りを爆発させる。

 私の気持ちも知らないで、そんな態度にでる四神に。

 そして、いよいよ私は精神が崩壊して、暴れまわり叫ぶ。


「ふざけるんじゃねぇ! 四神も、クラスの奴らも……真面目にすごして、ねぇじゃねえか! 何で、私だけそんなことをしなきゃいけねぇんだよ!! 私だって、辛いんだよ!……辛くて、辛くて、堪らねぇんだ!! だから……私も……悪く……なって……」


 私は、話している最中突然意識を失った。

 どうやら、薬の副作用が抑えられなくなった。

 それから、視界が一面暗くなり何もない黒い空間に飛ばされる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る