第13悪 少女の最悪な人生(修行編)

 俺は、いつの間にか寝ていたらしい。

 だが、そこは全く見たことない場所だった。

 昔ながらの家で、暖炉や木で作られたカントリーな家具が多いところだ。

 俺が寝ていたのは、そんな場所のベッドらしい。


「どうなってんだ……」


 意味不明過ぎて、理解出来ない。

 そして、何だかとても寒い何故か。


「おい! 気が付いたのか」


 そこには、天候荒がいて他は誰一人いないみたいだ、どう見ても可笑しい。


「とりあえず……ここで、一週間修行してもらう!」


 はあ?

 俺は、事態を飲み込むない。

 こんな所で、修行するとかわけないが分からないからな。


「はぁぁ!! ふざけるな! 何処だよ! ここわ!」


「まあ……しょうがねぇな……教えてやるよ! 着いてこい!」


 俺と荒は、その建物の外に出るのだが、外を見た瞬間その光景はあり得ものだった。


「はぁぁ!! 明らかに、北極じゃねぇかぁぁ!!」


 それりゃあ、寒いはずだ。

 あたり一面、氷で覆われていて、俺達以外誰一人もいない。

 こんな、マイナスの気温しかない場所来たら。


「う、う、う、う、……さ、さ、さ、寒い……」


 俺は、その景色を見たからか、全身から寒気を余計に感じて、凍えていく。


「とりあえず! ここで、修行してもらうからな! 後! 弱音をはくことは一切許さねぇからな~!」


 とてもじゃないが、この環境で一週間修行とか無理だろと思う。

 それに、所々野生の動物がいて、かなり危険な場所だ。


「こんなもん……無理に決まってるだろ! いい加減にしろ! その前に、凍えじぬわぁ!」


「ああん!? お前に拒否権はねぇよ! どのみち、お前のカウンターの力だと。こうするしかねぇーんだ!」


 マジで、全く意味わかんねぇ。

 それとこれと、修行に関係ないようにしか見えない。


「はぁ……しょうがねぇな! 説明してやる! お前のカウンターは、強い燃え上がる意思と怒りでパワーアップする! だが……今回、ここに連れてきたのは。ここの環境で慣れれば、どんな時でも消えない。火の力を手に入れるためだ……だけど、それだけじゃね……野生の動物と戦って……どんな時でも、負けない強い意思を持ち続けるためだ! ここにきた理由がな!」


 なるほど……全く、分からん。

 俺は、全然納得がいかなかったが、逆らうと面倒なのと、後々痛い目にあいそうなので渋々荒に従う。


「とりあえず……それより、凍えて死んでしまう……上着と、あの家の暖炉を使う時のたいまつと、火をおこすライター一週間分を貸してくれ!」


「はあ? そんなもんあるわけないだろ」


 ふざけるなよ、お前。

 そんなんで、生き残れるわけないだろと思うがコイツに言っても、多分怒鳴られるだけだろう。


「なぁ……」


「なんだ……」


 俺は、気になっていたことがあった。

 それは、荒がどうやってここまできたか、どうやって、俺を北極まで運んだか。


「どうやって、ここまで俺を運んだんだ? それに、北極なんてどうやって来たんだよ! 普通、これねぇだろ! こんな場所」


「それわ! この神アイテム! 移動するんですを使ったんだ!」


 なにその、ネーミングの捻りもない、名前のアイテムわ!

 それに、いきなりこんな場所連れくるの意味不明だし。

 コイツの身勝手さは、常軌を逸してると言うのをとうに越えてる。


「大体分かった……だったら、その神アイテムをお前から奪えばいいんだな!」


 俺は、全力で荒に向かっていくも、背後にまわられて。

 そのまま、荒れに腕を手で掴み捻り潰されそうになる。

 つまり、関節技を決められたのだ。


「いててて! おい! ふざけるな!」


「分かっただろ! このままじゃ確実に負ける! それにだ! あのガキを助けたいんだろ」


 荒は、関節技を止めて俺の意思を聞く。

 真剣な眼差しで。


「ああ……もちろんだ!」


「だったら、ここで強くなれ!」


 俺は、荒の言葉にうなづく。

 そして、自分の中にある、あの少女を救けたいと思い、決意を固めた。


「はぁ……しょうがねぇからヒントをやる! お前のカウンターは、火の龍の力が元となっている。だから、体に火をつけるイメージをしてみろ! そもそも、お前が一番分かってることだろ!」


 俺は、荒が言っていたように、体に火を纏う感じのイメージでカウンターの力を使う。

 すると、俺の周りに火がまとわりついてきた。

 それのお陰で、体の温度が上がっていく。


「どうだ? 暖かく、なっただろ? それを家の暖炉にやってみろ! そうすれば、凍えじぬこともねぇ」


「それはそうと、燃料はどうすんだよ? 木はここにはないぜ」


「それなら、動物をカウンターの力で倒して。その皮かなんかを燃やせばいい」


 滅茶苦茶な事を言ってるが、一理はある。

 だが、言ってる事が可笑しいことは変わらないがのたがな。


「じゃあ……帰るな! それと、一週間後ここへ向かいにいく。それまで、生き残れよ」


 冗談じゃねぇ。

 俺は、荒の体を掴んで、一緒にここから出ていく事を試みるが。

 荒が、そのベルトみたいな神アイテムを巻いて、そこにあるボタンを押したため、一瞬で消えて居なくなってしまった為、諦めた。


「おい……どうすんだよこれ……」


 俺は、この日は途方に暮れるしかなかった……凍てつく寒さを感じながら。



 そして、暫くしてアザラシと戦ったり。

 時には、北極グマに襲われそうになるも、自分のカウンターの力で追い払った。

 暖炉も、アザラシや野生動物の皮を使って火を灯す。

 これが、なかなかキツイ。


 だが、それから一週間後……俺は何故か、北極グマに襲われて戦うことになった。


「くそ! もう逃げ場がねぇ!」


 北極グマは、俺が逃げようとしても回り込まれる。

 本当に、最低最悪な状況だよ……全くな。

 そんな時だった、俺のカウンターが突然光だして、赤い色をしていたと思ったら、徐々に下から青い色に変わっていく。


「まさか! これが、荒が言っていた。パワーアップするって、ことか!」


「ぐわぁぁ!!」


 北極グマは、かなり興奮していた。

 しかも、お腹が空いてるようで、気が立っている。

 俺は、カウンターの力を使うと、青い銃と青い色のつばをした刀が出てきた。

 両方、青い色の炎を纏っている。


「よし! いくぞ! 熊こう!!」


 俺は、まず青い色の銃を使って北極グマを撃つ。

 すると、北極グマは撃たれた箇所が青く燃えている。

 そして、刀を持ち斬ると、傷口から青い炎が出ていた。

 しかし、北極グマはまだ生きていた。


「くそ! まだ倒れねぇのかよ!」


 俺は、不思議と七転び龍気の技を使おうとしていた。

 まるで、これで北極グマを倒せると思えてくるように……そんな思いで。


「七転び龍気! なんだ!? 足が赤じゃなくて! 青い色の炎で燃えてるぞ!」


 そして、そのまま青い色の炎に包まれた足を北極グマの頭頂部に、かかと落とし(七転び龍気)が直撃する。

 当たった瞬間、北極グマはうつ伏せで白目になって倒れた。



 その一時間後ぐらいに、漸く荒が現れた。


「お~! 大丈夫か?」


「大丈夫か? じゃねぇよ! お陰で、かなり酷い目にあったわ!」


 荒は、俺のカウンターを見ると、ムカつく笑みを浮かべていた。

 本当に、嫌な性格してる奴だなコイツって。


「そうか、四神! カウンターを成長できたのか! それゃあ良かった!」


「だから! 良くねぇよ! それに、成長ってなんだよ!」


 荒は、カウンターの成長について説明し始める。


「カウンターの成長には、色々あるが。お前のカウンターは、強い意思と燃える闘志で成長できるらしい」


「はあ? パワーアップじゃないのか?」


「それは、カウンターの数値が上がった時に言うだけだぞ?」


 くそ!

 必要以上に、俺は修行していたのか。

 何だか、やるせない気持ちになる。


「まあ、そんな事はどうでもいい! それより、すぐ戻るぞ! 私に捕まれ!」


 俺は、荒の体を腕で抱きしめながら、北極から帰っていった。

 本当は、こんな女なんかに掴まっていたくはなかったんだがな、仕方なくだしょうがない。

 

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