第8悪 史上最低な殺人鬼の人生(後編)

 四神が、説明はしたのだが。

 結局、さっきとあまり内容が変わらなかった。

 多分、はぐらかされたみたいだ。


「まあ要するにあいつは、俺にとって重要な情報を持っていると言うことだ」


 私は、四神のことをこれ以上怒らせないように、素直に言っていることだけ返事をする。

 余計なことを言わないようにした。

 まあ、何で今回その人に肩入れするのかが知れただけでも、聞けたので良かった事にしよう。

 それから四神に言われるがまま、悪人レーダーを使い探す。

 だが、途中で空が雲で覆われると雨が降ってきた。


「四神さん! 雨が降ってきたので今日は、悪人探し……止めににしません?」


 私がそう言うと四神は、いつにもなく真剣な顔をして言う。


「あいつを探して、助けなきゃいけないんだ……俺が力がなくて、あいつを助けられなかったから……だから俺は……死んでも地獄に行っても……いいから……あいつを助け出さなきゃならないんだよ!´」


 私は、何時にもなくその真面目な、四神に逆らうことはしなかった。

 だって何時より、真剣な顔をしてこのような事を言ったから、今回ばかりは言うことを聞いてあげようと思う。


「いいですよ……今回は四神さんの言うことを聞きます! ですが、何時かその話詳しく聞かせてくださいね……話せるようになったらでいいので……」


「ああ……話せるようになったら……話す!……まあ、全部終わったらだけどな……」


 四神は、意味深の言葉を言い。

 その後は暫く黙り、一言も何も言わずに探し始める。

 すると!

 死体が転がっている。

 冷たくなっていて、明らかにもう手遅れでピクリとも動かない。

 それも見るも無惨な状態で、その先からレーダーの反応が大きくなり、その度に死体の数が増えていき、何故か道しるべみたいになっていて、死体が不気味さを演出していた。


「今回の相手は、一筋縄でいかないかもしれねぇな……覚悟しておけよ!」


 私は、この人がこんだけ言うのだから危険なんだな~と、思うそんなに大事なことなら尚更後に引けない!

 それが正義だからと言い、覚悟を決める。

 だが、少しだけ嫌な予感した。

 それも相当危ない事に巻き込まれる予感がしてならない。


「はい! 死ぬかもしれない覚悟はできてます! それに……決めたことは、曲げたくないのが私ですから!」


 そう私が言うと、四神の顔が緩み笑ったような気がした。


「ほら! 着いたぞ! 偽善者活動してないで周りを良く見渡せ! 今回は滅茶苦茶危ないかも知れねぇからな! なんせ、殺人鬼を相手にするんだから!」


 四神がそう言うも、殺人鬼はおらず。

 周りには、木々が生い茂っていて、それ以外は死体が転がっているだけのように見える。

 可笑しいと思い、何処にいるか考えて、色々な所を見ていると、突然声が聞こえてきた。


「あはははは! おい! そこにいる奴ら!今すぐ殺してやるからなぁぁ! 待っていろ!楽しい楽しい! 殺しあいの始まりだ!」


 謎の声が聞こえたと思ったら、そばに四神が寄ってきて、手で私の体を突き飛ばす。


「危ない!! どけ!」


 四神が押すと私は、その力で吹き飛ばされた。

 起きてみて見ると、四神が刀で殺人鬼のナイフを防いでいる。

 ガチャガチャと音をだしながら、止めていた。


「おい! てめぇ何するきだ!」


「決まっているだろ!……お前らを……ブ・チ・コ・ロ・スんだよ!」


 殺人鬼はそう言い、四神が居る方向から離れて、こっちに向かってくる。


「危ねぇ! お前は、下がってろ!」


 四神がそう言い、殺人鬼がナイフで私を斬ろうとした瞬間。

 四神がまた、刀の刃でナイフの刃を受け止める。


「さっさと! ぶっ殺させろよ! 俺のナイフで……さぁ~!」


 四神は、ナイフを刀を振った勢いで飛ばし、殺人鬼を斬る。


「何故だぁぁぁ!!……何故捕まえず、斬ったぁぁぁ!」


「そんなもん決まっているじゃねぇ~か……てめぇに、話しを聞くより。斬った方が誰も傷つかずにすむからだ」


 その後、数分経つと殺人鬼は、とある話しをし始める。


「俺は、いつも一人だった……誰にも相手をされない日々が嫌だった……孤独に生きているその日々が……だがその時あの人が現れた。その神々しさに魅了されたよ」


「“私が君に最高の薬をあげようこれで君は、誰もが君の存在を認めざるをえなくなる”。その時は、嬉しくて薬を使い周りにいる無視をしてきた人達を殺してまわった。正直気持ち良かった。これで無視されることがなくなると思うと……でも現実は違った。俺に恐怖を感じ皆逃げっていった……その後も相手をしてくれない腹いせに人を殺していった」


 その殺人鬼が話をしている途中で、四神は殺人鬼の胸ぐらを掴み。悪薬を渡したものが何処へ行ったのか聞いている。


「そんなことどうでもいい!! それより悪薬をてめぇに渡したやつは、何処へ行った! それに、それ以外何か言っていたか!」


 四神が必死になって、胸ぐらを掴み揺らしながら言うと、殺人鬼ははっと思い出したかのように、答える。


「そういえば……薬をくれたお方が女に悪薬を使い。その後女が逃げっていったかどうかと、言っていたような……」


 四神は、何時にもなく真剣な顔で、その女の話を必死にきく。


「その後何か言ってたか!」


「何も……その後は、薬をくれたお方は何も言ってなかった」


 殺人鬼が言うと、四神は落ち込み暫く表情は暗く何も言わなくなる。

 数分たった後、黒い渦が殺人鬼のところにでてくる。


「すみません……こんなことをしてしまって……」


 言い終わると、殺人鬼は黒い渦に呑み込まれていった。


「四神さん! そんなに落ち込むことはないですよ……きっと見つかりますよ! 彼女さん!」


 私が言うも四神は、何の反応も返事もしない。


「それに!……四神さんは!……わるぐぅ……な……い……じゃない……でずがぁ……ぐずぅ……」


 泣きながら私が言う。

 何故か、私は泣いていた。

 何となく、四神には悲しい過去があった事が分かっていた、みたいだ。

 不思議なようで。


 四神は、それからも暗い顔をしていた。

 それを見ていると、余計になんだが悲しくなる。


「結局……俺は……何も……出来なかった!……俺は……」


 四神はまた落ち込み……目から大量に涙を流す。

 それは……誰かを思っての涙だと、分かってしまう。

 雨が、涙と共に大量に降り、雨なのか涙なのか分からなくなる。

 天気も空気も、悪くなっていた。

 四神の表情は、いつもの性格の悪い不適な笑みではなく。

 人の事をおもいやっている、そんな表情をしていたと思う。

 だから……私は、これ以上何も言うことができず。

 暫く黙っているしかない。


 すると声が聞こえてくる、それは堅石の声だった。

 私達とは違い、堅石は陽気に笑っていた。


「どうした! 殺人鬼は、倒したのか?」


 堅石が言うも、私と四神はそれに答えることもなく、うつ向いている。


「何でそんなに落ち込んでだよ~何かあったのか?」


 私と四神は、落ち込んでいたのだが四神は堅石の頭を小突く。


「何でもねぇーよ! さっさと帰るぞ!」


 堅石は、首をかしげ私に事の経緯を聞こうとする。


「本当に何かあったの?」


 堅石が言うも、私は話したくなかったので何もなかったように振る舞う。


「何もありませんよ……帰りましょう!」


 私はそれだけを言って、四神の後をおって家へと帰る。

 堅石は鈍感なのか、何も察することはできない。

 だから、頭を傾けて数時間ぐらい考えている。

 その後、私達の後を追って着いてくる。

 途中の分かれ道で別れて、それぞれの家へ帰っていった。

 その日ばかりは、私は四神に同情して何も言えなかった。

 なんとなく、悲しい表情をして哀れみしか感じなかったから。

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