第7悪 史上最低な殺人鬼の人生(前編)

 今日は、学校が休みの日だ。

 これで好きなことが出来る、やったーと思っていると、四神が当然のように私の家で、寝転がりながらテレビを見ていた。


 私は、何でこの人また人の家にいるんだろう。

 それに、我が物顔で人の家の物を勝手に使うのは、止めてほしい。

 それと、なんでインフィニターの仕事もせず、ずっとニートみたいな生活をしているのだろう。

 私は、このような行いが嫌いだし、そんな自堕落な人物と一緒にいると思うと、腹が立ってしょうががなかったので、つい言ってしまった。

 それに、未だに分かってない。

 何故、地獄にいたのかも。

 不思議だったし、気になったので聞いてみたいから話をしてみる。


「何でまた居るんですか?」 


 そしたらこっちの方を向き、四神ははぁと言い怒りを込めて、こちらに非があるような表情をむけ呆れた声で言う。


「はぁ~!? 何故かって決まっているだろ! てめぇがこの世に復活させたからだ!」


 確かに私がカウンターの力を使い復活させたのは事実だが、この人が私の家にくる必要は全く持ってない。

 何故なら自分の家は神様によって用意してもらっているし、それにインフィニターはちゃんとした給料も貰っている。

 むしろ、高給取りで下手をすれば私の父よりも貰っている。

 それに、ここら辺は宿泊施設はいっぱいあるし、安く泊まれる宿はいくらでもあるから、不満があるとしてもそこに泊まればいいだけの話だ。


「そういう、意味の何でではなく。何でまた私の家に居るのですかと言うことですよ! それに話してくださいよ、いい加減自分の事を!」


 またダルそうに、面倒な上司やダメな部下を扱うようなテンションで、私の質問に答える。


「何で、お前の家に居るかだって? それも一応仕事だからな! しかたな~く、要るだけだ!」


 私は、驚いた表情を浮かべる。

 それは、私の家にいることではなく、この仕事をいかにも真面目にしなさそうな人が、真面目に仕事に取り組み、しかもその理由もちゃんとした物だったからだ。


「何だよその顔は、なんでそんな不思議そうな顔をしてるんだ!? 後、言っておくがてめぇの為じゃねぇ! 一応仕事をしないと、インフィニターの仕事がなくなり給料貰えなくなるからな。まあ多少はサボってもいいんだが、こっちにはそれをしなければならない理由があるからな」


 あ~なるほどそいうことか、確かにこの人は金のことを気にしているのは、何ら不思議ではない。

 可笑しいなと思っていたので、意外と納得のいく理由だったので、そう分かって安心した。

 まあ、この人の物事を解決するやり方は相も変わらず酷いので、そこだけは気掛かりだが。


「だけども、それだけじゃねぇ! 俺を刺し殺した奴を探している」


 え?

 どういうことかと、疑問に思い考えてみるも、意味が分からなかった。

 だって、この人が今まで死んだ経緯とか話さなかったのに、いきなり話出したからなのだろうか。

 だけど、これをチャンスだと思い、とりあえず今までの成り行きを聞いてみた。


「どう言うことなんですか?刺されて死んだって?」


 いつもにもなく、真剣な顔でその事について話す。

 四神は、今までの人に見せてきた、極悪面より優しそうな表情をしている気がする。

 まあだけど、それは私の勘違いかもしれないのだが。


「いいか! 俺が死んだのは地獄へ送らる前の話しだ! それとは別に殺人鬼に刺し殺されて死んだんだよ! 俺は!」


「じゃあ四神さんは、刺し殺された恨みがあって、復讐するために探していると言うことなんですか?」


「いや……そうじゃねぇ……だが絶対に探しだして、聞かなきゃいけない事があるんだよ!」


 私は、この人は何を隠しているかを聞き出そう思い、話しを強引に押し進める。


「俺の諸事情だ! 一切お前には関係ない! だからこれ以上話す事もない!」


 四神がには、そう言われたが。

 だが、私は何かを言うとしてはぐらかされた感じがしたから、四神に苛立ちを覚えて、それについて聞こうとするも、一向に何も私にも話そうとしない。


「何で誰も信用しないのですか!? 何で誰も助けようとしないのですか! 何で一人で抱えこんで、自分だけで考えて終わらせるんですか! 私に話せば楽なるかも知れませんよ? それに、そんなことばかりしているとあなたの人生は、寂しくて余計に辛くなります!」


 それを言ったとたん、四神は暫くこちらを睨みあ~あと言う表情で、またこいつアホな言ってんのかと呆れられた。


「大体、他人なんてなんで信用できるんだ! 今まで人に騙されてきただろがぁ!! お前は!! いい加減に気付けよ! それに、あいつらがいつもしてることと言えば。人の邪魔か、せいぜい上の人間に言われて自分の立場が危うくなるから仕方なくやっているだけの、クズなんだからよ~! そんな奴らを、信用する方がどうかしてる! それに、今回は一人で解決するから……だからお前は、着いてこなくていい」


 何時にもなく、やる気を見せるものだから。

 可笑しいな、絶対なにかあるなと思い、私は四神に着いていく事を決意する。


「私もついて行きますよ! 乗りかかった舟です! 最後まで見届けます! それに気になった疑問を解かなければ四神さんを更正できませんし! 後で、話してもらいますよ! 何でそこまで、今回の悪薬保持者に肩入れするのか」


 ちっと舌打ちをし、仕方なく従う四神は嬉しそうに見えた。


「しょうがねぇから、連れてってやるよ! その代わり、どんなことがあったとしても、俺は責任とらないからな! それに何が更正だ! 俺は囚人じゃねぇんだよ!!」


 渋々諦め四神は、自分が着いていくことを承諾した。


 殺人鬼がいそうだと思うところを、手当たり次第行くも誰一人としていない。


「あ~これは、駄目だな、次の日にするか…」


 四神が言った瞬間。

 突然刃物を持った男が現れ、刃物の刃先をこれらに向ける。


「お兄さん達、この辺は危ないよ~俺みたいな殺人鬼が居るからさぁぁ!」


 殺人鬼は、刃物で刺そうとこちらにくる。

 次の瞬間、岩のような皮膚の腕をした人がそれを腕の岩で防ぎ、その男の刃物は壊れた。

 その後男は一目散に逃げていき、その男の姿は見えなくなった。


「大丈夫かよ……四神……」


「おお! 堅石! どうしたんだお前?」


 誰だこの人と思い、考えているが思い付かない。

 それもそのはず、初めて見る人だったのだ。

 でも……どこかで、みたような。


「堅石じゃねぇ~か久しぶりだな~」


「四神何でこんな所に居るんだよ。地獄でまだ罪を償っているんじゃないのか? 大体お前、体を失っているはずじゃねぇのかよ。何で元の体が復活してんだ」


「それがよ……」


 四神が堅石という男に、今までの話しの経緯を言う。

 最初は滅茶苦茶驚いていたが、暫くすると何となく事態を呑み込めたようだ。


「なるほど~あ~だから、四神が地獄に居なくなって。この世にいるのか~」


「え~! どう言うことですか? 誰ですかこの人!?」


 四神は、そんな私に根負けしたのか、諦め話しをする。 

 また、人をバカにした表情でニヤニヤしてはいたが、とりあえずそれはイライラしたので無視した。

 見てると、余計にイライラするので。


「こいつは、堅石守かたいしまもる!インフィニターで、地獄で一緒にいた悪友だ!」


 え?

 四神って友達いたの驚きと、悪友ってどう言うこと?

 そう思ってしまい、頭が再び混乱した。


「勘違いさせちゃいけないよ~俺は四神のことを、普通の友達と思っているぜ」


 四神は、目を細め冷ややかな表情で堅石の方を見る。

 なんとなく想像できるが、絶対にまともな関係性じゃないな多分、この人達って。


「いや本当のことだろ! 今までそれぐらいのことしてきたじゃねぇかお前は!」


 四神が冷たい目で、堅石の方を見る。

 それに対して驚く堅石。

 だが、四神が言ってることには否定していた。


「ところでさぁ~この可愛い女の子誰~? 紹介してくれない~」


「さっき話したろ。こいつが朝日雫。俺を地獄からこの世に戻し、この世に復活させた。あの世に戻れない、原因を作った張本人だ!」


 私がいかにも、全部原因があるかのように言ってくる。

 大体、あのダイヤモンドに封印されていたのは、あなたが原因を作ったのに、私がそのこともやったかのように言われるのは、心外だった。

 だから、改めて四神も悪い事を説明する。


「四神さんも悪いんですからね!」


「何がだ」


「だって四神さんが、私にカウンターを使わせなければ、地獄に戻ってこれたのにも関わらず。それを伝えず、そう言う指示をだしたから、こうなったわけですしね!」


 それもそう。

 あの事がなければ、私は普通に学園生活を送っていた。

 あの下らない学園生活を……と思うと、自分はどこを間違っているんだ。

 それより、四神が間違ってないかと改めて考える。

 そんな私を睨み歯を食い縛る四神。


「仕方ねぇだろ! 体を復活させねぇと力使えないからなこの世でわ!」


 堅石は、私と四神の話しを無視し、私に話しかけてくる。

 それも明らかにいやらしい表情で、ニヤニヤと不埒な顔で。

 実に、ナンパでスケベな男だ。


「ところでさぁ~君、可愛いねぇ~付き合おうよ~」


 ナンパする堅石。

 この時代に、そんなことを良くするよと思う。

 そばにいた四神は、堅石の後頭部をいきなりおもっいきりぶん殴り、その部分はたんこぶができた。

 それと同時に、仰向けになり『ばたん!』と倒れる堅石。


「いやいやいや、ちょっと何をするんですか! いきなり! それにやり過ぎですよ! いくらなんでも! いいんですか!? こんなことをやって、大事な友達に!?」


「いいんだよ! それに、どうせこいつはこう言う奴だ。友達って言ってもただの腐れ縁みたいな物だしな」


 本当に、どう言う人間関係で生きてきたのだよこの人達はと、私は心の中でツッコミを入れる。

 冷ややかな目で私は見ていたが、何時ものように無視され、逃げた男の話しを四神がし始める。


「いいか? 何時ものように地獄へは最初は、送らず。話しを聞くからな」


「何で地獄へ送らないのですか? そんなにあの人にこだわる必要が、あるのでしょうか? 何時もだったらさっさと地獄に送るのに?」


「もう分かった! 話す! 話せばいいんだろ!」


 四神は、渋々嫌そうな顔をしながら、ことの顛末を話し始めようとする。

 しかし、私はこれ以上事を荒立てるのが嫌で、とりあえず今の話はなかったようにしようと止める。


「いいですよ! 詮索した私が悪いですし……それに、四神さん怒ると面倒ですから……」


 そう言うと、四神は『どっちがた!』と言って怒る。

 何でこの人は、聞こうとしたらしたで怒るし、止めようとしたらしたで、どのみち怒るのに聞くのに、こんなことを言うのだろうか。


「とある女を探してるんだ! 分かったか! ちょっとした事情でその女を助けられなかった……」


「分かりました分かりましたから! もういいですよ! それ以上詮索しません! その事には!」


 それを聞いて安心したのか、いつものダルそうな顔に戻ったようで私は安心した。

 だが、その女性を何故必死になって探すのかは、分からず。

 疑問は、より増えるばかりではあったが。

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