第32悪 最低男の最悪な人生 (世界大戦編)

 私は、四神の探し求めていた女性が、晴だったことに驚愕するとともに、こんな形で言うこういうことを言ってきた、ゼウスシスのクズ差に腹が立つ。

 そのときだった、いきなり黒い渦が出現した。

 黒い渦からは、突然ルシルトがでてきた。


「ゼウスシス! 良くも! 私を騙したな! そして、マリカの恨みだぁぁぁ!」


 ルシルトは、前よりも鍛えていて、力が強くなっていたが、ゼウスシスに対してやった闇の攻撃は全く効かず、余裕の表情で片手で受け止められる。

 そのまま力を使い、ゼウスシスはパンチを喰らわす、そのせいかルシルトの体はボロボロになり、体の色も薄くなる。



「ゴッドスマッシュトール!!」


「……ぐばぁ!……」


 意識をもうろうとうしながら、四神にルシルトが頼みをする。


「この仇……絶対に取ってくれ!……頼む!……」


「ああ……絶対に倒して……お前の仇取ってやる! お前の分まで!」


 そのまま、倒れてルシルトはすぐ消えてしまった。



 そのときだった、ゼウスシスがまた話をする。

 それも、今更話されても滅茶苦茶嫌な話だ。


「ああ……後、あなた達の不幸なことは私が命令して仕向けたことです……フフフ……しかも、咲見さんの件は、念入りにしました。あの強姦魔だって用意するのに、大変だったんですよ……なんせ、そんな人この世にあまり居ませんからね! それに、これは実験だったのです……神は人を作り出したから、その辺はやってもいいでしょう。それだけの存在ですからね……我々神は!!」


 ゼウスシスは、全く反省せず。

 しかも、自分のやった下劣な行為を肯定し、如何にも自分が正しかったのか言う始末。


「ふざけるなぁぁ! お前の実験に付き合わされてあいつは……酷い目に合わされたってのに! お前はぁぁぁ!! 絶対に許さねぇからなぁ!!」


 ゼウスシスは、ニヤニヤと笑いバカにした表情で、四神に対して言った。


「何とでも、言うがいい! 私は神だ! だから正しいのだ! 神のやる行いわ! 全部!!」


 本当に、このクズみたいな神を見ると腹が立つ、ついに私は口を滑らせて言ってしまう。


「こんな時に、そんな事を言うとかゼウスシスさん! 本当に、あなた最低ですね! しかも、こんなはらわたが煮えくり返る事をしておいて! 反省の色ひとつこころみず、ましてや実験だったなんて! あなたは、本当にそれでも神様ですか!?」


「シーちゃん……」


 四神を心配する、晴は咲見のように見えた。

 必死に悲しみを押さえて、四神は眉間にシワを寄せながら、ゼウスシスの方を睨み付ける。


「俺は、こいつを許せねぇ! だから、こいつは俺がやる!! 咲見……これが、俺の弱くてお前を救えなかった……償いだ! そして! コイツらの、悲しみの分も晴らす! 今日で、こいつとの因縁も!!」


「……うん!! 終らせよ……絶対に……ぐず……ぐず……」


 咲見は、泣いていた。

 四神の本当の優しさに、人を思う情の深さが伝わったのか。


「バカな! なんでそこまでしてやるのだ! もうお前の、目的は果たしたのだぞ!」


 四神は、顔を下に向けて影を作りながら真剣に言う。


「かんけぇねぇ……この世が、神に滅ぼされようが……周りの奴らが不幸になろうが……俺わ! 俺の目的の為に行動をする! だから……お前の言っている事は……かんけぇねぇんだ!! それに、お前みたいな奴をほっとくと、また俺みたいになる奴が現れる! かも知れねぇ! だからお前をここで消す!」


 四神の表情は、真っ直ぐゼウスシスに方に向いていて、そこから視線を離さない。

 当然だ、こんな人を不幸にする神をほっとく訳にはいかない。


「いいでしょう……これからあなたと戦いましょう……それであなたが負ければ、私はこの世の人間を消し去ります……そして……この世で最後の最高のショーをお見せしましょー! 地獄のショーをねぇ!!」


 ゼウスシスの指をパチと鳴らしたら、モニターが出てきた。

 そこに、映っていたのはこの世の世界の光景、そこでは天使達が弓矢や剣で人を、殺している姿だった。

 まさにそれは、地獄でしかない。


「ギャー!」


「助けてくれ! 助けてくれ!」


「あ……あ、ああああー!!」


「助けてください! 神様ーー!!」


 そこでは、まさに地獄絵図のような酷い光景が見えていた。

 私は、この神に怒りが込み上げてきた。


「なんで! こんな酷い事を!」


「当たり前だろ……貴様ら、下等生物と一緒にしないでくれたまえ……私達神は何をやっても許されるのだから! それに、これは実験と言ったはずだ……それより……フフフ……早くしないと、みんなさん死んじゃいますよ……フフフ……」


 だが、そんな人々は何故かそのような状況でも神を信仰し、祈る事を止めない。

 しかも、ゼウスシスのクズい目的を聞いていたのにも、関わらずだ。


「ああ……神様~どうか私達をお助けください!」


「信じています……神様は、助けてくれると……」


「そうだ! 神様が裏切るわけない!」


 そんな光景を見て、四神は震えていた。

 こんなみっともない人達に、涙を流しながら。


「お前ら! ぶざけるなぁぁぁ!! なんで、分かんねぇ~んだよ! こんなことされたんだから、気付いてんだろ! こんな、奴をお前らは信じてたんだ! いい加減止めろよ! そんな事をしても、意味ないって気付けよ!」


 人々に、四神は真実を伝えるも、誰も聞く耳を持たなかった。


「そんな事を言ったって……どうすれば言いんだよ!」


「そうよ! 私達、あなたのようなインフィニターじゃないのよ!」


「か弱い、一般市民に何が出来るの!?」


 みんな、言いたいことを言い愚痴や文句ばかりで何もしようとしない。

 そんなときだった、黒い渦が現れて次々と人がでてくる。

 それも、今まであってきた人物ばかりだった。


「……たく……あんたって、本当に甘いわね……」


 そこに居たのは、四神が地獄に送った人間達だった。


「文!」


「本当にあんたって……相変わらず、激甘よ! そこが、今は好きなんだけどね!」


「おほほほ……本当にそうですね! 四神さん! あなたのおかげで、本当の愛が分かりました」


「君は、本当に相変わらずだね……四神君……君の力はそんなものかい? 僕を地獄に送ったときは、そんなんじゃなかったよ……」


「四神を殺すのは、俺なんだから…死ぬんじゃえねぇぞ! 四神!!」


「僕は四神さんのお陰で変われた! 四神さんに恩を返すよ! やってもらった、恩を!!」


 四神が、ニヤニヤと笑い何時もの、調子を取り戻す。

 それは、今まで行ってきた事が無駄じゃないと確信して。


「おう! よくやってくれた! 後は、任せろ!」


「なに!? バカなぁ! こんなことがあってたまるか!」


 ゼウスシスは、動揺していた。

 こんな、はずじゃないのだろうと額に冷や汗を大量に出していて、如何にも体調が悪そうだった。


「どうする? やるか!」


 その後、先程の動揺は嘘のようか、不気味に笑っていた。

 どうやら、まだ余裕があるようだ。


「フハハハハァー! だからなんだ……それで? 貴様ら人間が、ちょっと増えたくらいで、どうにかなるとでも? 人間世界には、一万の天使がいるのだぞ! 負けるわけないだろ! それに、ほとんど使えない人間ばかりじゃないか……それを守りながら戦うなど……無理な話なのだよ。もう、どうにもならないよ……フフフ……残念だね……」


「そんな……」


 ゼウスシスは、余裕の表情を見せる。

 そんな絶望的状況の中で、新しい助っ人が現れる。


「私が、来たわよ! 最低男! 四神我流!」


「お母さん!」


「私も、来たわよ~……ああん!」


「私も、来ましたよ四神さん……これが、終わったら結婚しましょ!」


「愛ちゃんに、紫先生まで!」


 ゼウスシスは、そんな状況でも余裕な笑みを浮かべている。

 それは、そうだ確かに数が増えたが、まだほとんどの人が戦力なる処か、足手まといにしかならないのだから。


「うわぁぁー!」


「キャァァー!」


「止めろー! 止めてくれー!」


 助けれなかった、人々はどんどんと斬られたり、弓で体を貫かれて殺されていく。


「ガハハハ! 愉快愉快! これが、この最低編の力しかない、生物の哀れな末路だ!」


 ゼウスシスは、嘲笑っていた。

 そんなゼウスシスを見ていた、四神は眉間にシワを寄せてカウンターの力を使い怒鳴りながら攻撃する。


「お前が……朝顔と霧塔を笑うなよ! あいつらだけは、笑うんじゃねぇ! 他の奴らは知らないが、あいつらは地獄の中で必死なってやってどうにかしてきた人間だ! そんな、あいつらを笑うなよ!」


 ゼウスシスは、四神の刀さばきを全部避けて、攻撃を仕掛ける。


「良かろう! 私の神の力を受けるがいい!! シルバーゴッドスマッシュインパクト!!」


 ゼウスシスが言うと、手が大きくなり銀色に光る、その拳を四神にぶつける。

 だが、負けじと四神も神の力を使い、銀色の龍の鎧を見にまとい、銀色に燃え盛る拳をゼウスシスの拳にぶつける。


「行くぜ! シルバー式! 龍神ブロー!」


 お互いの拳と拳が、ぶつかり合い銀色の火花が散る。

 その光景はどう考えても、この世の生物がする戦いではない。

 そんな状況を見てると、何だか私は場違いのような気がしてならない。

 だけど、四神はゼウスシスに力で負けてぶっ飛び、その後、起き上がった四神に、ルシルトの連続シルバーゴッド爆裂クラッシュが炸裂する。


「貴様のような負け犬が、私のような神に勝てると思ったか! シルバーゴッド……爆裂クラッシュ!!」


「……ばはぁ! うはぁ! ぐはぁ!」


 四神は、目が白目を向いて気絶しそうになるも、何とか震えてる足で立ち上がる。


「くそ!……はぁ……はぁ……あれを使うか……」


 私は、あれとは何なのか分からなかった。

 もしかしたら、四神の父親に貰った能力なのかと思った。


「もしかして! 四神さんのお父さんに貰った能力ですか!?」


「ちげぇよ! だけどこの手しかねぇ……お前らの神の能力を俺によこせ!」


 私は、その発言の真意が分からず戸惑うも、何とか皆から力を集めて、四神に四聖獣神の力を与える。


「よっしゃぁぁ! これで、新たな神の力が使える!」


「く! 貴様ごとき、落ちぶれた神と人間の子孫が。私に勝てると思うなぁぁ!!」


 四神が力を手に入れた早々、ゼウスシスは四神に向かって力を使って突っ込んでいく。

 四神は、虹色に光るカウンターの力を使い、虹色に光る拳をルシルトの拳にぶつける。


「七式! 龍神……レインボー拳!!」


「ぐうううう!!」


 何とか、ルシルトは四神の拳に押されまいと頑張ってはいたが、その力はすぐに弾かれ、ルシルトの顔に直撃する。


「ぐはぁ!」


 そのまま地面に、仰向けで倒れたゼウスシスを見て、私は勝利を確信する。


「四神さん! やりましたね! 終わったので元の世界に帰りましょう!」


 私がそう言うと、四神は何だか浮かない顔をしながら、怒鳴り付けて説教をしてきた。


「お前……マジで言ってんのか!? フラグ立てやがって!」


 私は、フラグって……旗を立てた覚えはないのだが?

 そう思った、瞬間!

 ゼウスシスは、余裕しゃくしゃくの顔をしながら立ち上がり、肩を鳴らしながら四神の方を睨み付ける。


「はぁ~……あなたの力は、こんな物ですか? 正直言って、拍子抜けですよ。まったく……」


 私は、そんなほとんどダメージがないルシルトに驚いた。

 それは、まるでこうなる事を予め分かっていたようなそんな感じがした。


「え?……どうなってるんですか!? 全く、効いてませんよ! もうおしまいです……」


 四神は、悔しそうに歯を食い縛り、次の手だてを探す。


「くそ! やっぱりダメだったか……」


「所詮、貴様ら程度では……私のような生粋の神には勝てぬのよ。残念であったな」


 もう手立てはなく。

 私と四神は、絶望に襲われて暗い気分になる。

 そして、それに追い討ちをかけるかのように、ゼウスシスは金色に輝くカウンターの力を使う。


「まだ、見せて無かったな……貴様ら! これが、私の本当の神の力だ!! 目に焼き付けて見るが言い!」


 そう言うと、ゼウスシスは金色に体を光らせてまた拳を四神にぶつようとする。

 四神も、負けじとゼウスシスの拳に自分の虹色の拳をぶつけるが、弾き飛ばされ倒れてうつ伏せになる。

 もう、体もボロボロで意識がもうろうとしていて、とてもじゃないが戦える状態じゃなかった。


「あははは!!……愚かな!……私に勝てると思っているのか、この父上からたまわった力の前では、どんな力をも無力!! お前の力など、下等で付け焼刃の神の力に負けるはずがないのだよ……」


 ゼウスシスは、笑っていたが四神には絶対に言わないであろう事を言い始める。


「まあ、確かに貴様強い。人間と下の神の力でこれほどやるとはな……」


 ゼウスシスが、四神に仲間にならないかと、四神にあり得ない提案をしてきた。


「どうだ……貴様、私と協力しないか? 貴様のような、人間は消すにはほしい……」


「ああ……そうだな……ここにいる奴らと、この世にいる。紫と朝顔と愛と霧塔を見逃してくれたら……いいぜ……」


「良かろう……それで、お前は正式に私との交渉成立だ! 協力者よ、よろしく頼むぞ……」


「え?」


 正直、四神のやっていることが、分からなかった。

 なんで、あんな奴と協力しこの世の人々を助けず、この世を滅ぼそうとするのか。

 咲見に、酷い目に合わせたのもゼウスシスの仕業だったのにも、関わらず何故。


「正気ですか!? なんで、こんな人の話を飲むんですか! 咲見さんに酷い事をした悪人に命令し、実行させたのもこの人なんですよ! 可笑しいですよ! 四神さん!!」


 私は、当然の事を言うが四神は聞く耳を持たず、そのまま滅茶苦茶な事を言う。


「しょうがねぇだろ!……どうせ、こいつには勝てねぇ!……はぁ……はぁ……だったら、最善の方法と言えば、こうするしか他ねぇ~んだからよ!! それに、あいつらは死のうが俺らには、かんけぇねぇだろ! だったら、俺らが助かった方がいいだろ!」


 私は、こんなの滅茶苦茶事を言う人とは、思わなかった。

 こんな、人を助けようとしない発言と、人の命軽んじた発言を言う人間とは。

 そして、四神はそれ以降何も言わない。

 すると、その光景を見てこの世の人々は四神を罵倒する。


「なに言ってんの!!」


「私達は、どうなるのよ!」


「そうだ!そうだ!」


「責任とれよ!」


 そんな、自分勝手で無責任な声が響き渡る中、四神は何の反応も反論もしない。

 そのままうつ伏せになって倒れているだけ、こんな状況って可笑しいと思うも、私は力を使い果たしていたため、何も出来なかった。

 まさに、無力感だけがひたすら出てきた、そんな光景だったと思う。

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