第26悪 四聖神獣と最低な仲間達(北西編)

 私は、機械鉄矢、北へと向かう。

 ロボットなので高性能レーダーが付いていた、だからすぐに四聖神獣がいる場所にたどり着けた。


 そこには、古代ギリシャの神殿のような建物があり、そこに入っていくと中に龍の銅像が4つ立っている、しかも真ん中の方を向いていた。

 それは、何とも意味ありげではあるが。

 私には何も、特に感じることはない。


 すると、雷と竜巻が起こり青い龍がそこに姿を現すのだが、竜巻のせいで龍のもとにはいけない、吹き飛ばされてしまうから。


「汝、私の力を欲するか……」


「ああ……その力を手に入れて、倒さないといけない相手がいるからな……」


 私は、そのような答えを言うと、龍は険しい顔をし私を睨み付け、信念を問おうとする。


「汝の中に、信念があれば力を授けよう……ただし、なければ汝を焼き払い二度と蘇られないと思え……」


「ああ……分かった……」


 私は、青龍せいりゅうの放った光に包まれ眩しくて、目を閉じてしまった。


 すると、私が生まれた時の記憶を見る。

 そこには、私を作った博士はかせと私が機械のガラスケースの中におり、そこで博士と喋っている。


「博士! なぜ私を作られたのですか?」


「うん? それは、君がこれから人の役に立つめさ!」


 そう言う博士、何時も笑顔でそう私の質問に答えてくれた。

 だが、あの出来事により博士は居なくなってしまう。


「博士! 今日は何の話をするの?」


「今日は、君の好きなとある男の話をしよう」


 博士は淡々と、話をする。

 その話は、四神と言う男の事でこの世界で唯一神と天使に、一人の少女を救おうと立ち向かった男の話だ。

 だが、その男の末路は悲惨な物だった。

 それも、ある天使にほんろうされ、自分の大切な人も守れなかった。

 その上に、自分も闇に染まり地獄へと行ってしまうと言った内容。


「博士! その人助けられないのかな? 私の力で」


「う~ん、まあ君の力でどうにかなるとは思うが、だけどね……それはしてはダメなんだよ」


 私は、この時博士が何を言っているのか分からなかった。

 だけどそれは、自分がロボットだからではなく、作られたばかりのロボットで人の詳しいデータがなかったから。


「それをしてしまったら、彼の行為が無駄になるからね。やってきた事も無意味なってしまうから、それに彼もそれを望んではいない」


「どうしてだよ!? 博士!」


 博士は、大きくふぅ~と息を吐きその質問に答える。


「それは、人にはそれぞれ思いがあるから例え君に助けて貰っても、幸せとはならないんだよ……」


「なんで~博士だって人に助けて貰った方がいいと思ってるじゃん」


「まあね。だけど彼には信念と言う物があるから、誰かに助けて貰っても正直彼を傷付ける事になるんだ」


 私は、この時この意味が分からなかった。

 どうして、助けられるのは四神にとって良くない事なのだと。


「え~! そんな事どうでもいいじゃん! それより、意地張ってないで助けて貰おうよ~四神も~」


「まあ、彼にも責任と言う事と自分の気持ちを曲げたくないと言う、気持ちがあるからね!」


 私は、やはり分からなかった。

 そんな事を喋っていたある日、神が私のいるこの研究室にやってくる。

 だが、博士は連れてかれそうになる。

 私は、必死に博士を守る。

 漸く、信念と言う物が分かった気がする。

 だけど、生まれてばかりの自分は正直神には歯が立たなかった。

 私は、神の刀の先に突き刺され、壁に張り付けにされた。

 手足も、バラバラにされて。

 心のパーツもこの時破損してしまい意識を失う。


 それからは、神の言いなりとなり、奴隷のような機械となる、暫く経ち初仕事で、四神を倒すように言われた事を思い出した。


 光は消えて、神殿に戻ってくる。

 青龍は、立っていたが前の時とは変わり穏やかな顔をしていた。


「汝、その信念伝わった……私の力を持っていくがいい!」


「ああ……貰っていく……」


 私は、力を貰い皆の集合する場所に向かう。

 過去の、自分の思いのためにも。




 俺は、堅石守、西に向かっていた。

 だが、自分的には正直やりたくはなかった。

 だって、可愛い女の子と過ごしたかっただけだもん。

 それが、自分の生き甲斐。

 俺のアイデンティティーなのに、四神の奴ときたら女の子の話をするのではなく、毎日人の悪口ばかり聞かせてきやがる。

 そんなの、聞かされていい気分にならないのに、何度も言ってくるのだ。

 本当に、あいつは分からん。

 だって、あんだけ可愛い女の子に囲まれているのに、笑顔ひとつ見せないなんて、勿体ないなとしか思えない。

 それに、今回の事は全く興味もないのにやらされる、俺の身にもなってくれと思う。

 まあ、そんな事を考える奴なら俺みたいなスケベ女好きとは、仲良くしようと思わないか……と諦めて、四聖神獣中の一匹白虎びゃっこの要るという、建物に入る。

 自分的には、こう言う事はしたくないし、こんな興味ない事をやるなんて、拷問に近いと思い周りを見渡す。

 すると、4つの虎の銅像があり、それは中心の方を全部向いていた。


 すると、物凄い勢いで何かが走ってくる。

 それをよく見ると、白い虎こと白虎であった。

 だが、俺はそんな事はどうでもいいので話を進めてくれと思った。


「汝……君には、耐え続ける気持ち忍耐があるか?」


「ああ! そう言うのいいんで! 早くして! さっさと、女の子ナンパしに行きたいし、うちの可愛い女の子のメンバーとデートの約束したいから!」


 白虎は、動揺して『なに言ってんだよ』コイツと呆れて溜め息が出たようだ。

 状況分かっているのかと、言う顔で俺の方をみてくる、白虎は額に汗をかきながら、唖然としてながら見てくる。


「汝? 大丈夫か? 状況分かってる? 頭大丈夫か!?」


「分かってるよ~これから、俺が華麗に神達を倒し、華麗に黒幕も余裕でボコボコにして、四神をさしおえてモテモテなるって事だろ?」


 ああ、コイツ全然分かってないと言う顔をして顔に前右足をつけて、やれやれと呆れていたので、仕方なく真面目に答えた。


「で? どうすればいいんだ?」


「ああ……漸く真面目に答える気になったか……汝は何もしなくていい、君の過去で起きた出来事で、人を助けるために耐えていれば合格、ダメだった場合汝を食い殺すだけだ」


「ちょ……ちょっと……ま!……」


 俺の話は、無視され白虎の光に包まれる。

 そこに見えたのは、俺が学生だった頃の時の姿。

 そんな、時代もあった。

 だが、この時の俺はただのスケベで何の力もない奴だった。

 だけど、友達は沢山いた。

 その為か、よく一緒に同級生と帰る事が多くて、その時は楽しくやっていた。

 男の方が、気があってよくバカをして先生に怒られていた。

 そんな、俺達だったが帰り道にとある家の前を通ると、窓のなかに少女を見かける。

 だが、そこはハッキリ言ってヤバイ集団の住みかであったため、他のクラスメイトは黙ってそこを通りすぎる。


 自分は、違った。

 何故ならその少女が、超絶可愛いかったから、だからその子に話し掛ける。

 まあ、2、3日ぐらいは無視されていたが、暫くたつと意気投合し、色々と話せるようになった。

 基本的に、自分が話をしていただけだっような気がするが。


「本当に可愛いな~君は~」


「もう~そう言う話ばかりしていると、女の子に嫌われますよ、ナンパな男だと思って」


 彼女は、笑っていた。

 だが、以前はこのように笑顔を見せる事はなかった。

 まあ、当然だ彼女と俺とは住む世界が違う。

 とてもじゃないが、あんなドンパチやる覚悟は俺にはない。



 そんな、日常をすごしていたある日事件が起こる。

 それは、彼女の家にヤバイ組織が乗り込んでくると言う物だった。

 俺は、彼女の事が心配でその日早く学校を出て、彼女の家に向かった。


「大丈夫! お~い!」


 俺の声が、彼女の家の前で響き渡るが彼女の姿は見えない。

 そこで、しょうがないので彼女の家の塀を登り入ってみると。

 すると、そこには彼女がいた。


「お~い! 俺だ~!」


「止めてください! 危ないですよ!」


 彼女が言うと、銃を発泡する音がした。

 それで、いくどか弾丸に当たりそうになったが、危ないと言いぶつかってきて、その衝撃で弾をギリギリ避けて、彼女のお陰で助かった。

 その時、ふと思いだす。

 中学時代可哀相な女の子を守ろうとしたが、守れなかった男のことを。

 何故思い出したのか、分からないが何か不吉な予感がしたのは、気のせいだと思いこの時は無視していた。


「あなたは、帰ってください……巻き込まれますよ!」


 彼女は言うが、正直言って俺はこの日は帰ろうとしなかった。

 だって、告白するんだから好きだと。


「話があるんだが……」


「なに?」


 銃声が鳴り響くなか、俺は彼女に告白した。

 しかも、大きな声で堂々と。


「好きです! 付き合ってください!」


 彼女は、唖然としていた。

 無理もない、こんな場面で告白なんてする奴俺ぐらいだろ。

 だが、彼女の目には涙が出ていた。

 それは、決して嬉し涙などではなく、辛そうに泣いていた。


「ダメよ……私は、裏の人間……真っ当な一般市民のあなたとは付き合えないわ……」


 だが、それは本心じゃないって分かっていた。

 だって、いかにも無理して辛そうな顔をしていたから。

 だけど、俺はめげずに告白する。


「それでも、君と付き合いたい! 誰がなんと言おうと関係ない!!」


 それを言うと、彼女は笑顔に戻り涙を手で拭き、告白の返事をする。


「私でよければ、ただ大変ですよ! こんな家系だし、それに殺されるかもしれない」


「それでもいい! 君が好きだから!」


 彼女は、バカねの一言を言い、俺にハグをし、自分も好きだと告白する。


「私も、あなたのことが好きです……付き合いましょう」


 俺は、大いに喜んだ。

 だが、これが彼女との最後の別れとなることも知らずに。



 その後、なんとか彼女が銃を使ってヤバイ人達を追い払い、なんとかこの場を収めた。


「やったね!」


「そうですね! これでしゅ…」


 何かを言いかけた瞬間……彼女は、俺を押し倒して俺は倒れた。


「なに? なんか恋しくなっちゃった?」


 彼女は、その言葉に反応しなかった。

 よく、彼女を見てみると、腹に穴が空いていた。

 しかも、彼女は苦しそうに喋る。


「あなたって、人は本当にバカですね……こんな危険な……社会的に……可笑しい私を………好きなるなんて……ぐはぁ!……」


 彼女は、口から血を吐き出し答える。

 今にも、意識がもうろうとしていた。


 俺は、銃で撃った者を探す。

 すぐそこに、ビルがあり、何か黒い影のようなオーラのような物を纏っている人みたいなもの見えた。

 だが、何がどうなっているのかは、遠くにいたのでよく見えなかった。


「本当にバカです……それでいて……スケベで……優しくて……人を思いやり……それでいて……人のため耐えたりします…」


「もう喋らないでくれ!……それ以上……喋ったら……」


 俺は、必死に彼女を助けようと救急車を呼んで、誰かに助けを求めた。

 色々な人が、協力してくれた。


「大丈夫! もう助けを呼んだから!」


「もうダメですよ……私……ですから……キッスぐらいなら……していいですよ……」


 だが、俺はそんな事は出来なかった。

 こんな、弱りきった彼女対しては。


「大丈夫! 大丈夫!」


 俺はそう叫ぶが、彼女の意識はもうなく、目を閉じようとしていた。


「……ありがとう……大好きだよ……こんな、私を愛してくれて……」


「起きてくれよ! 頼むよ! 俺の事なんて嫌いでいいから! 頼むよ……頼むよ……うぅ……うぅ……」


 俺は、その後もずっと泣いていた、彼女の亡骸を抱えながら。



 その後救急車も来たが、その時はもう既に遅くて、彼女体は冷たくなっていた。

 俺は、ずっとその亡骸を抱き締めていて、意識を失うまで離さなかったらしい。



 それから、1ヶ月たったある日、何故だかそのボロいビルを訪れた。

 そこに、犯人がいるような気がしたから、よく見ると、黒い影のような者がいた。


「なんで! 彼女を殺したんだ! なんで……なんで……」


 俺は、その犯人の黒い影を問いつめると腹に激痛が走り、俺は意識を失った。

 その後は、地獄に何故か送られ、四神と再会する。

 それから彼女とも会ったが、泣いていてもうろうしていたので、俺の話は聞こえなかった。

 だから、その時誓った。

 女性の為だけに動こうと、女性の笑顔を見たいと。

 そして、絶対に自分は女性に手をあげない。

 女性を守る為に、例えどんなことでもたえるんだ。

 絶対にだ!



 光は消えて、神殿に戻ってきた。

 白虎は、泣いていた。


「汝……素晴らしい人間だ……なのに、なんでこのようなナンパな性格なのだ?」


「だって、俺は可愛い女の子為にしか行動したくないからさ! 何が何でも、彼女達の笑顔を守りたいのさ……例え辛い事が自分に起きても、耐え抜いてみせる」


 白虎は、右前足で涙を拭き俺に自分の力を託し消えていく。


「汝……力を与える……これでお別れだ……」


「うん! じゃあな!」


「なんか言うことないのか?」


「男に気を使うのは、ごめんだ」


 俺は、そう言い神殿を出て皆の集合場所に向かう。

 女の子の笑顔の為に、そしてデートに誘うために。

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