第2章

第24悪 最高の美少女?

 あれから……一年たった。

 私は高校二年生となり、あの事件から四神の事を忘れないでいた。


 クラスの皆は、あれからも自分勝手で要るが正直一生そうなのだと思う。

 そう思っていると、ガラガラと戸が開く音がした。

 入ってきたのは、先生でどうやら私が考えている間に授業が始まっていたようだ。


「みんな~席につけ~今日は、転校生がやってくる。その子は今教室の外にいる。今から自己紹介をしてもらうから~入ってきてー!」


 先生が言うと、女の子が入ってきた。

 それも美少女で髪は赤色、目はパッチリとしていて、それで鼻もしゅっとしている。

 しかも、女性から見ても可愛いと言うほど欠点がない。


「始めまして、豪華 火炎 《ごうか かえん》と申します。皆様と仲良したいです……皆様のような素晴らしい方と一緒にクラスを共に出来るのは、ありがたい事です。皆様といい思い出作りたいです。今までろくなことがなかったから私……うぅ……うぅ……」


 それを聞いて、皆は一緒に涙したが私は泣いていなかった、何故なのだろう。

 いつもの私なら、ここで号泣しているところ……だけど、何とも思わなかった。

 何故か、そんな酷い過去を持っている火炎を見ても何とも思わなかった。


「火炎ちゃんよろしく~!」


「火炎ちゃんは、俺の嫁~!」


「火炎ちゃんは、俺の物だー!」


「いや! 火炎ちゃんは、皆の火炎ちゃんだ! お前だけの物じゃない!」


 男子は、大いに盛り上がり女子はと言うと、可哀相じゃんと言い、火炎をクラスの皆で庇う始末。


「男子~止めなよ~可哀相じゃん怯えてるし~」


「そうよ! そうよ! こんなに可愛い子で礼儀正しい子をこんなスケベばかな、男子どもなんかに任せられないわ!」


 クラス中が、火炎のことで盛り上がるのだが、私はどうもこの子を受け入れられない。

 本当に、何なんだろ嫌な予感がしてならなかった。


「皆さん! 大丈夫です! 皆さんの優しさは、伝わりました! 本当にこのクラスの人達は、いい人ばかりで私……安心しました……うぅ……」


 クラスの男子は、『いい子や~マジ天使~と言い』女子は『本当に礼儀正しいし、いい子だよね~』と、絶賛の嵐だった。

 本当に、この人達単純だな~と思うも、クラスの皆は私のようには、思うことはなく。

 火炎は皆とすぐ打ち解け、クラスの話の輪の中に自然と入っている。

 しかも、クラスの男子一同が前の方で話をしていた。


「本当に可愛いいよな~」


「本当! 本当! クラスの女子も見習えばいいのに~特に! 委員長面する、嫌われ女とかさ!」


「何よそれ! 私達のことも一緒にしないでよ! こんな嫌われ者のブス眼鏡女なんかに!」


 まず、ブスは余計だし、大体あんたらそんなに可愛くないからなと言いたい。

 それに、どう考えてもその火炎って言う子可笑しいでしょ。

 だって、クラスの子とこんなに早く打ち解けられるはずがない。

 知らない人に、知られたくない過去を話すなんて、どう考えても怪しい。

 そう思い、その子の周りを見てみると、鞄から見覚えがある物がはみ出ていた。

 それは、赤い龍のカウンターだった。


「これって、何ですか? 何であなたがこれを持っているんですか?」


「あの……それは~……あはは……」


 私は、その事を質問するが、火炎は笑ってはぐらかすばかりで、一向に話が進まなかったので、火炎の腕を引っ張り屋上まで連れていく。

 その間、『酷い~火炎ちゃんをいじめるな~』この真面目な振りをした、不良インテリなど皆は言っていたが、とりあえず無視した。



 屋上へ着いたので、先程の事を問いただす。


「なんで? あれを、持っていたんですか? どうしてそれを皆や私に言わないんですか? インフィニターなら、さぞかし皆から好評されるのでしょうに……」


 火炎は、汗をかき震えていた目をキョロキョロして焦っている。

 そんな、当たり前の事を質問しているだけなのに、怪しいと思い四神の事も聞いてみる。


「ところで、四神さんって知ってます? この学校一の問題児で、皆から嫌われている最低最悪な人の事を聞きました?」


「誰ですか……その人……」


 ブルブルと、さっきより震えていた。

 火炎はどう考えても怪しかった、私の目も見なくなったし。


「ところで、四神さんはどうしようもないクソバカで、不細工で何の魅力も才能もなくて、何の取り柄もないゴキブリ並だとおもいませんか?」


「そんなことないだろ!……ないですよ……」


 まあ、薄々気付いてはいたが、まさか女になるとは思わなかった。

 だって、あの四神だ。

 絶対に、そんなことをする人じゃないと思っていたのに、こんな趣味があったなんて意外。


「なんなんでしょうか……止めてください!……私は、そんな人とは無縁です!」


 明らかに、どう見てもどう考えても怪しい。

 これほどまでに、態度で示した人は初めてであったが、正直顔がひきつっていた。


「四神さんって、バカで不細工でどうしようもないな~こんなに、性根が腐った根性なし、いないですよね~こんなことを言われて、出てこないなんてとんだ臆病者の卑怯者……」


「ふざけるなぁ!! いい加減にしろよ! おめぇ!!」


 遂に、頭角を現した、四神は観念して火炎の姿で渋々いた事を話す。


「悪かった! 悪かったよ! だから、これ以上バカにすんじゃねぇ! まあ、しょうがねぇか話すよ……俺は四神に間違いねぇ! これで満足か!」


 私は、勝ち誇った顔で四神を見て。

 そんな私を見た、四神は眉間にシワを寄せて睨み付ける。

 その表情からは、前までの美少女の姿はなく。

 明らかに、今まで見てきた四神の顔をしていた。


「しょうがねぇだろ! あのエロ神が、失敗しやがったから……体が女になっちまったんだ! XY線をXX線と間違えたと言っていたが、絶対にわざとだ! あのスケベバカ神がぁぁぁ!」


 四神は、不平不満を言いながら自分の今まで起きた出来事を話す。

 要するに、神が体を作ろうとして四神の元の姿を作るのに失敗して、女の体を作ってしまったらしい。

 まあ、電話の声を聞いて本当にやりかねないと思うのは、同感だけどね。


「ところで、四神さん? 何のようで、こちらに?」


「ああ……その事だが……」


 四神は、何故自分がこの世界に戻ってきたのかを話す。

 それは、この世界の神が人間を裏切り人を抹消すると言うとんでもない計画の事だ。


「それって、本当ですか!?」


「ああ……本当の事だ……まあ、俺は随分前に知ってはいたがな……」


 本当に、この社会で生きてきた自分には、信じられないそんな事がありえるなんて。


「それに、お前もルシルトが神に利用された事を聞いていただろ。なのに、お前は今まで怪しいと思わなかったのか!?」


 確かに、そんなことを言ってはいたが、それはルシルトのあんなことをやった言い訳だ。

 そう思い、完全に信じてはいなかった。


「まあ、お前の事だしな! どうせ、神は裏切らないと思い話を全く信じていないと思ったぜ! 本当に、その純粋なバカなところは、相変わらずだな! 正直言って、今まで騙されてきたのにも関わらず。そんな世の中を信じるほどのバカさっぷりは、呆れる処か引くレベルのダメっぷりだな!」


 私は、余計なお世話だよと思うも、我慢して話を進める。

 まあ、四神の事を思ってそうやって我慢しているわけではなく、これ以上こんな悪口聞きたくなかったから。


「そう言えば、どうしたんだ? あいつらは何処だ? 俺のいた、地獄にはいなかったが?」


「ああ……それなら……」


 私が言うと、扉が開いて天候と堅石と鉄矢がそこに現れた。


「私ならここにいるぞ~」


「俺もいるぞ! 久し振りだなおい!」


「私は……ここにいる……」


 一堂、現れ四神はビックリしていたが、そんな中堅石は不思議がりはしたが、何故か知っていたのにも関わらず、四神を口説く。


「あれ~居ないな~四神~そんなことよりさ~火炎ちゃんだけ? 俺とお茶しない~あわよくば夜のいとな……」


「うせぇぞぉ! バカぁ!」


 そんな堅石に、四神は蹴りを喰らわしうつ伏せで倒れた堅石の顔を踏む。


「ふんが~ふんが~」


「ああ! すまん!」


「俺の達の業界では、ご褒美だから許してあげるよ~火炎ちゃん~! 本当に可愛い~!」


 堅石の発言もキモいし、顔もニヤニヤと笑うので、それ以上に四神も本当に引いていた。


「バカは、ほっといて話を進めるぞ! ところで……こいつ誰だよ? 偽善者ブス地味眼鏡の関係者か?」


「まあ……そうですね~……誰が、偽善者ブス地味眼鏡ですか! 誰が!」


 お前の事だよと、一堂そう言う顔をしてきたが、私はそれを無視し、話を進める。


「まあ、四神さんはあった事ないんでしたっけ? この方は、ヒカルさんと言って、私達と同じインフィニターで、光のインフィニターなんですよ~」


「初めまして、ヒカルと申します。これからよろしく、お願いします!」


「ああ……よろしく……」


 素っ気ない返事をする四神、なんでかそんな事を態度をとっているのか、四神が不思議でならなかった。

 それは、対応が適当というわけではなく、何時もなら怒って私に怒鳴り付けてくるのに、と思うも何かの勘違いだろうと思い、とりあえずこの事には何も言わなかった。

 そして、ヒカルは四神にボソボソと話をした、ずいぶん長話ではあったが。


「あ! 皆さん! これから大事な事を言います!」


 そう言うと、ヒカルは紙を取りだしあることを皆に言う。


「先程、四神さんが話をしていましたが、これから神が僕達人間を滅ぼしにきます! ですから、四聖神獣しせいしんじゅうをそれぞれ倒してきて、ほしいのです!」


 なにそれと思い、私はヒカルにその存在の事を聞こうとするも、先に四神がその事について答える。


「それは! 東西南北とうざいなんぼくにそれぞれいる聖なる獣の神の事だな!」


「そうです! ですから皆さんで、その獣の神達を倒してその力を手に入れてほしいんです! ただ……四神さんだけ、別の所で力をつけて貰います!」


「どういう事だよ? それは!?」


 四神が驚くが、無理もない。

 何故か四神だけ、違う方法で力をつけるのでどうにも変だから。

 だが、四神はどうやらヒカルの話を聞いて納得したようだ。


「どう言う事ですか?」


「まあ、しょうがねぇか! この際だからお前に話しとくわ! お前にだけ、言ってなかったからな」


 四神は、自分が代々受け継いでいる聖なる獣の神を従わせる。

 家系だと伝え更に、あの世で父親を探して修行をしてもらうと話をした。


「そう言うことだったんですか~……って、ええ!? 初耳ですよ! そんなの!」


 四神は、頭をかきながら照れ臭そうに話す。


「まあ、しょうがねぇだろ~俺も最近神と言う血が流れている事を知ったんだからな!」


 まあ、確かにしょうがないことかも知れないが、そんな大事な事なら最初から話してよと思う。


「ですが……まだ時間はあります……皆さん! 明日は、悔いの無いようにすごしてください。明後日に出発しますので、その時に僕が指示をします」


 そんな話をヒカルがしていても、四神は何も文句は言わなかった。

 それどころか、黙って真剣に話を聞いていた。

 明らかに、怪しいがまあ、別に今はそんな事を考えてる場合じゃないので、とりあえず黙っておこう。


「まあ、それはいいとして……俺……女のままだぞ」


「いいじゃないですか~可愛らしいと思いますよ……ブブブ!」


「おい! 今! 俺の事を馬鹿にしてるだろ!」


 私は、そんな似合わない見た目をしている四神の姿に思わず笑ってしまった。

 四神は、機嫌が悪そうに『ケッ!』と言いそっぽを向く。


「おい! 火炎ちゃん!」


「火炎ちゃんじゃねぇよ! なんだ!?」


「パンツ、見せてください!」


 四神は、堅石の顔をおもいっきりぶん殴り、堅石はその反動で、仰向けに倒れてしまう。

 そんな中、四神は自分の美しい足で堅石の顔を踏む。


「どうだ? 降参したか?」


「……ありがとう……」


「何が、ありがとうなんだよ?」


「良い景色だ……女の子のパンツって物は、実にいい!」


 四神は、顔を真っ赤にして堅石の顔をまた殴る。

 だが、堅石はそんな手を舐め回して、同じ男の四神からも、キモがられる。


「なかなか、いい手だ……ペロペロ……可愛い」


「キモいぞ……お前……」


 この人達は、本当に相変わらず自由気ままだ。

 今の状況を、分かっているのだろうか。


「おい! まず、俺は元の男の体を取り戻さなきゃいけない! だから、明日はその日にするからな!」


「え……何でですか?」


 私は、疑問に思う。

 一応、カウンターの力は体を変えても、使えるから女のままでも問題ないと思っていた。


「それは、女の体のままだと。力を使っても、龍の力は使えないんだ。だから、早く! 元の体を手に入れる為。神に頼むから、明後日は居ないからな! それに、お前が代わりにインフィニターの仕事やれよ。俺出来ないから」


「えええ!! それって、私一人で悪薬の違反をしている人達に立ち向かうんですか!?」


 四神は、何も言わず縦に首を振るだけだった。

 まあ、他の人達はまともじゃないので、私がやるしかないと諦めたが、正直言って理不尽極まりないとこの日は思った。

 本当に、この先この人達で大丈夫なのかと。

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