第23悪 男の最低最悪な過去と堕天使(堕天使決着編)

 四神は、暫く泣いてようやく喋り始める。

 その姿は、今までの四神と違って情けなく思う。

 だけど、私達は四神を救いたいと思い話を聞いていく。


「ちくしょう! ちくしょう!……ぐずぐず」


「四神さん……行きましょうよ……待っていますよ」


「うるせぇ……俺なんか居たところであいつを倒して、咲見を救うなんて出来ない……」


 私は、強烈なビンタを四神にした、何故かそんな四神に苛立ちを覚えた。

 こんなの四神じゃない、弱音を吐くのは四神らしくないと思い。

 私は、今まで私達を救ってきた四神を信じてるから。


「私達を救ったのは、四神さん何ですよ!」


 皆は、一斉に頷く。

 この中に、四神を信じてない者は一人もいない。

 だから、私は四神に咲見を救えることを説明する。


「その四神さんが、咲見さんを救えないはずがありません! だから、こんな所出て行きましょうよ。そして! 外にいきましょう! そして、ルシルトさんを倒しましょう」


「ああ、そうだな!」


 四神は、漸くが明るくなると景色は変わり黒い渦に飲まれ、私達は元の世界に戻る。


「四神さん! 無事ですか!」


 四神は、まだ黒い処が体に半分ある状態ではあったが、何故かもう暴走するようには思えなかった。


「あははは!! 駄目ですよ! その人はもうどうにもなりません」


 ルシルトの笑い声が空間に響き渡る。

 だが、四神は平気な顔をして言う。


「ああ! 大丈夫だ! むしろ気分がいい!」


「なんだと! ふざけるな! 貴様ら人間がどうにか出来るわけないだろ!」


 四神は、ニヤニヤ不適に笑った。

 どうやら、何時もの四神に戻ったようだ。


「もう、お前はおしまいだ! ルシルト!!」


「そんなバカな事があってたまるかぁーー!!!」


 ルシルトが、四神の方に向かって攻撃をする。

 だが、四神は動かない。


「はああ!?……お前が……俺を倒せる分けないだろ……」


 四神は、半分光を帯びていた。


「そんなバカなこと……あるわけない……」


「そんな事が、あるんだよ! お前は……神に忠誠を誓って……見えなかったようだな!」


 四神は、ルシルトの愛する女の出来事の真実を言う。


「まさか! あり得るわけない! 神様が私を騙していたなんて!」


「それが、あるんだよ! お前の好きだった女神、マリカは……悪薬を使った人が襲ったんだよ!! そして、それをけしかけたのは……神だ!」


「そんなバカなぁー!! あの神様がそんな事をするだなんて……嘘だぁぁ!!」



 私は、神の使いの天使だ。

 そんな私には、好きな女性がいた。

 それは、女神マリカだった。

 マリカは、誰に対しても優しく、人であっても助けてくれる。

 まさに、私の理想の女性だ。

 突然、人間世界に行ってみたいと言い、そこで私はマリカが好きな事を告白しようとしていた。

 だが、そこでは性暴力を受けているマリカを見てしまった。

 人間は、やはりクズなのだと確信して、私はその人間どもを地獄に送った。

 しかし、マリカはその日以降、姿をくらまして行方不明となった。


「嘘だ! 神様は言っていた! 人間は、汚い存在だと! そして、すぐに闇に心に染まる弱い存在だと! だから! マリカは、性暴力を受けたんだぁぁ!!」


 ルシルトは、四神にダークネホールを出して攻撃する。


「俺の光の力でその闇の力を消してやる!そして終わらせる! この戦いを! ホーリーホール!!」


 だが、四神のホーリホールにより、ルシルトの出したダークネスホールは、相殺されて消えていく。


「くらえーー!! これが俺の闇の過去だぁぁぁ!!!」


 四神が、ルシルトに同じようなダークネスホールをルシルトに向けて放つそれが当たった。

 そして、苦しそうにするルシルト。


「こんな……バカな! こんな闇を抱えて生きていける………人間がいるわけな……い……ぐはぁ!……」


 ルシルトは、血を吐いてひざまづく。

 今にも、倒れそうな顔をする。


「ひとつ質問していいか……本当にマリカは神がやったんだな……」


「ああ……本当の事だ。それに、神はお前らの事をただのモルモット位にしか思っていなかった……まあ、修行中エロ神に聞いた話だがな……」


「すまない……私は! 私は!……神なんかに忠誠を誓い……お前の大切な人までも……しかも勘違いしてバカみたいに……地球は、俺の力が無くなれば……元に戻る……だから……心配するな……そして、真実を教えてくれて……ありがとう四神……やり直すよ……全てを……」


「け!  気持ちわりぃ! 敵にお礼を言われる筋合いねぇよ! それに、まだ解決してねぇしな!」


「それも……そうだな……誰が、そんなことをやったのか分からないからな……」


 ルシルトは、そう言いながら俺に思いを託して消えていった。

 それも、嬉しそうな顔をしながら何かのしがらみが消えたかのように。


 そして、私達はあることを聞く。

 私達にとっては、とても大切なことを。


「四神さん、問題を解決した所ですが…」


「なんだ、何かまだあるのか?」


「私達を好きにさせた責任をとるために四神さん! 誰か一人を選んでください!」


「はあ!?」


 四神は、キョットンとした顔をする。

 だけど、私達にとっては大切な事なので、話をはぐらかそうとしていた四神をなんとか、好きとかの話しに戻す。


「私を選んだら、一生愛し続けます! ただし!……浮気は、許しませんからね!……」


「私を選んでくれたら、個人レッスンして・あ・げ・る! あああん!」


「私は、てめぇを奴隷として可愛がってやるよ!」


「もちろん、私は四神さんを徹底的に教育し、立派な人に更生させますよ!」


「おい!……だから! 俺は、囚人じゃねぇ!!」


 鼻をほじりながら、面倒くさそうに私達のその告白に答える。

 だけど、それはろくな発言ではなかったし、四神らしいと言えばらしい答えだったが。


「はあ? お前らみたいなろくでもない。最低最悪な女どもなんて嫌だわ! なんでそんな罰ゲームやらなきゃならねぇんだ! 新手の地獄の拷問かよ!」


 私達は、その失礼極まりない言葉とハッキリとしない態度にカチンときた。


「こいつ、殴ろうぜ!」


「そうですね!」


「そうよね……」


「それには、同意です……」


 そして、それぞれ殴ったり脅したり蹴ったりした。

 私達は、日頃のストレスを発散した。


「おい!……助けろよ……ぐはぁ……堅石! 鉄矢!」


「俺には、そんなプログラム入ってない」


「うらやまけしからんな、リア充死すべし、慈悲はなし! それに! 羨ましいんだよ! チクショー!! 俺もモテてー!」


「なんだよ! 羨ましいって! ふざけるな! お前ら、覚えておけよ!」


 ボコボコされた、四神は後ろを向いて泣いているのを隠そうとしていたが、顔から涙の水滴だらけでバレバレだ。

 そんなに嫌なら、誰が好きか言えばいいのに。


「いや……泣かないで、くださいよ……それと、あの悪薬戦争の本の話は、四神さんがモデルだったんですね」


「そうだ……それに、あれを書いたのはエロ神……ラクエルが、書いたんだよ」


 あの本が、不思議と見たくなったのも、その為かと納得できた。

 それに、それだけじゃなくて登場人物、四神が気になっていたのかもしれない。


「俺もう長くは、いられねぇ……」


 私は四神に、そんなことを何故言ったのか大きな声で質問する。


「なんでなんですか!」


 四神は、真剣な表情で答える。 

 それも、ちゃんと理由を長々と説明する。


「お前のカウンターの力は、まだ未熟だったみてぇでよ……体がちゃんと出来ていなかったんだ。だから力も残り少ない……この世のいられるだけの時間が」


 そう四神が言うと、徐々に四神の体が消えていく。

 足から、順に無くなっていく。


「だからよ! また会ったら、頼むな……咲見探しの事!」


「忘れるわけ……ないじゃないですか、また……会ったら……ぐずぐず……一緒に探しましょう……絶対に!」


「ああ!」


 四神は、それを言い終えると完全に消えいった。

 だが、また会えると信じてそれまで私達は待っている。

 初恋の相手、四神我流その人を!

 この、ろくでもない人間がいる汚れた、最低最悪な世界で過ごしながら。

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