第21悪 男の最低最悪な過去と堕天使(四神救出編)

 私達は、あれから四神を抑えようとするも、なかなかそれが出来ないでいた。

 闇の力が、強すぎるためか。


「てめぇら……はぁはぁ……大丈夫かよ……」


「大丈夫ですけどこれ……かなり疲れますね……はぁはぁ……」


「大丈夫よ。とりあえずはだけど……戻るのこんなことして……はぁはぁ」


「そうですよ。もし戻らなかったら、あなたが責任取ってください……はぁはぁ」


「取るわけないだろ……」


 皆、疲れていた。

 それはそうだ。

 こんなにも、暴れていて苦戦しているのだから、その力はまさに、化け物と言っても過言じゃない。


「いくぞお前ら!」


「おーー!!」


 一斉にまた、四神を抑える為に攻撃を仕掛ける。

 私は、創造のカウンターの残っている最後の力を使い、透明な箱に四神を閉じ込める。

 そして、愛は愛のカウンターを使い、四神の精神を洗脳する。

 それに、加え紫は神経毒で体を麻痺させて止める。


「今です!」


 私の掛け声と共に、荒れが神アイテムのライトを四神に当てる。


「……まだですか!」


「もうちょっと……待て!」


 数時間した後、ようやく黒い渦が出てきた。

 どうやら、これに入ると精神世界に行けると、荒が言っている。


「よし! 入るぞ!」


 皆が、黒い渦の中に入っていく。


 すると、黒い空間にいつの間にかいた。

 その空間が徐々に壊れていき消えていく、よく見るとそこは、洋式の建物の中だった。

 柱は、石で出来ていて丈夫そうだ。

 そして、そこには四人の性格が違う四神がおり、どれも厄介な者達ばかりだ。


「おい! 獲物だー! ヒャハー!」


「でもでもでも、怖いくない……」


「なに言ってんだよ! そんな奴らに立ち向かうのが楽しいんだろうが!」


「え~! 面倒臭いせぇ~」


「うわぁ~滅茶苦茶嫌だ。この人達……」


 女子全員がハモり、この瞬間多分私達のやる気は失ったのだろう。

 まあ、それは当然だろう。

 こんな、意味不明な性格した人間がいる場所。


「止めないか!」


 そこに、現れたのは、明らかに誠実そうな四神だった。

 正直言って、何時もこんな感じだったらいいのにな~と思う。

 こんな性格が、あるのなら、普段からだしてくれと言いたい。


「ごめん! この人達は、僕の負の感情から出来た者達なんだ。だからあまり相手にしないようにした方がいいよ」


「それよりさっきから、気になっていたのですけど……あの大きい鏡って何ですかね?」


 そう、私達の目の前に鏡が二個ある。

 それが気になって、私はしょうがなかったのだ。


「ああ……あの鏡かい。あれは僕の送ってきた過去を写す鏡だよ」


「それ! 興味があります!」


「私達も!」


 皆も、四神の過去に興味津々になっていたようだ。

 さっそく覗いて見ようとするが、誠実そうな四神は止める。


「ちょっと、待ってください! 本当にいいんですか? この過去を見れば、色んな人間の汚い中身を見ることになりますけど……」


「いいんですよ! 私達は四神さんによって助けられたのですから。その恩返しです!」


 皆も、それぞれ見たいと頷いた。

 全員、珍しくて意見が一緒だった。


「仕方ないですね……どうなっても、知らないですからね!!」


 そして、私達は鏡の中を見てみる。

 この時、私は四神の過去の闇をなめていたのかもしれない。

 それは、想像以上にとんでもない暗いものだったから。

 後々、後悔しても仕切れない。



 俺は、何時ものように幼馴染みの花道咲見はなみちさきみと一緒に登校する。

 空は、とても晴れておりいい天気だった。

 俺の気持ちも、この空と一緒で気分がいい。

 そんな、道路を歩きながら楽しそうに。


「どうしたの? シーちゃん」


「そのいい方止めろよな! とりあえずあいつらがまたクラスメイトを虐めてないか、考えていただけだ!」


「やっぱりシーちゃんって優しいよね」


「うるせぇよ! 当たり前の事をしているだけだ」


 その時は、気がつかなかったんだ。

 俺は、まだ世の中の悪や身勝手で欲ばかりで物を考え、口では良いことを言っていても、行動をしない。

 自分の事しか考えない人間の屑さの、その本性に。



 そうこうしていると、学校に着いた。

 そして教室に入って見ると、クラスメイトの多くはその一人のクラスメイトをいじめていた。

 見て見ぬふりが、出来なかった俺は止めに入った。


「う……ううぅ……ぐずぐず……止めてよ……」


「おい! 止めろ! なんでお前らは一人をよってたかっていたぶるんだよ!」


「俺らの勝手だろ!」


「そうだ! そうだ!」


「あんたこそ。私達のストレス発散の邪魔しないでもらえる!」


「そうよ! 私達の勝手じゃない!」


 このクラスは、本当に最悪だった。

 だが、これは俺の地獄のような人生の入り口に過ぎなかった。


 そんな、学校生活を送ってきて2、3ヶ月したある日の登下校中、とある男達が俺と咲美の前に現れる。

 俺達は、倉庫の中へと連れて行かれた。

 なんか、その男達には変な黒いオーラが的なものが出てていて、とても不快だった。

 そんな事を思いながら見ていた俺だったが、見付からないようにヤバいと連中だと思い警察に電話をした。

 だが、助けにくる気配は一向にない、その男達は俺の腕を抑え込む。

 俺も咲美を助ける為に、押さえ込まれた腕を引き離して抵抗しようとしたが、振りほどせなかった。


「何のようだよ! お前ら!」


「はぁ!? 何のようだと!」


「もちろん、お前の彼女の方にようがあるんだよ!」


「お前は、黙って見てな!」


「咲美ちゃんっていったけ、可愛いな~食べちゃいたい」


「やだ!……助けて!」


 咲美は、体を抑え込まれて、襲われそうになっていた。

 俺は、手を振りほどき一目散に咲美の方へと突っ走るのだが、二人の男が目の前の道を塞いで、咲見の元へと行くことが出来ない。


「そうは、いかないぜ!」


「おい! どけよ!!」


 俺は、男を必死に殴って倒そうとした。

 だけど、男は俺のパンチを手で受けとめ、そのまま体を投げて倒して抑え込む。


「止めろ……止めろーー!!」


「あ……あはは」


 咲美は、顔が引きつり涙を浮かべている。

 それは、本当に最悪な状態。

 何故なら、俺はどうすることも出来なかったのだから。


「いただきまーす!」


「きゃぁぁー!!」


 男達は、咲美を押さえつけて、服を脱がしていく。


「おい! やめろよ! 止めてくれよ!」


「止めてよ……止めて……」


 男達は、ニヤニヤと笑いながら咲美の体を舐め回すように見る。


「おい! こいつそんなに胸ねぇじゃん。ケケケ……」


「まあ、良いじゃねぇか可愛いし」


「それもそうだな」


 そう、咲見が言うも男達は止めない。

 男達は、咲美の服を脱がしてしまい。

 咲見は、ブラジャーとパンツだけになる。


「さぁ! 生まれたままの姿になりましょうね~あははは!」


「やめ……やめて……」


 そう下着を脱がそうとした瞬間。

 ファンファン~と、サイレンの音が近付いてきた。

 その音がすると、一目散に犯人の男達は、逃げていく。


「クソ! さつがきやがった! 逃げるぞ!」


「ひぃぃ~! 置いてかないでくれ~」


 その男達は、警察から逃げるように走っていった。

 その後、見知らぬ男が出てきた。


「大丈夫かよ!」


 こいつが、呼んでくれたのかその男の姿を見ていると、同じ制服だった。


「俺は、堅石守……あんな酷い事をする奴らもいるもんだな……女の子に手をあげるなんて」


「ああ……うぅ……」


 俺は、何もその時は言えず保護されていく。

 咲美は、布を渡されてそれを体に巻き、警察の車に乗せられた、俺はその出来事を心配して見守ることしか出来なかった。

 その後、数日たったが、クラスで咲美の姿を見ていない。

 あの後犯人は、捕まったがその時の事を覚えていないらしい。


 学校に行ってみると、クラスメイトが騒がしくしている。


「なんだよ!」


「て言うかさぁ~咲美さんって犯人を誘惑したそうじゃ~ん」


「何か~知ってるんじゃないの~」


「そんなわけないだろ! ふざけるな! アイツがそんな事をするわけないだろ!」


「なんだよ、お前……」


 俺は、クラスメイトに心底何時も以上に腹が立った。

 何時もの事だか、世話になった咲美までもあいつらは裏切る。

 そして、虐めの対象にしようとしていたから。


「て言うか~いつも、あの子ムカついてたんだよね~」


「俺も俺も! なんか気どっていて態度がやだよな~」


「私なんか、余計な手伝いをさせられたし」


「て言うか~猫がぶってたんじゃね!」


「そうそう!」


 こいつらが、ゲラゲラ笑っていたのが気にくわなくて、俺はクラスメイトをいよいよ殴って大暴れしてしまった。

 その後ことは覚えていないが、乱闘騒ぎになり、クラスメイトのほとんどが、怪我をしていたときいたが、俺にとってはあんな奴らがどうなっても、どうでもいいことだ。


 その後、咲美の家に見舞い行く。

 家の中に入って、咲美の部屋のドア前に立つ。


「咲美……すまなかった俺がふがないばかりに……」


「帰って! 帰ってよ!」


「なんでだよ! 説明してくれ!」


「怖いのよ……うぅ……男の人が……」


 咲美は、泣いていた。

 震えた声で、俺はこれ以上詮索するのを止めた。

 これ以上、咲見を苦しめるわけにはいかないからだ。



 それから数ヶ月立った後、咲見は行方不明になった。

 おばさんに聞いたが、何処に行ったか心当たりがないようだ。

 俺は、その後家に帰り一人で泣くしかなかった。

 どうしようもなくて、助けられなかった非力な自分を嘆いて。


「ちくしょう! ちくしょう! なんで俺は、あいつを守れねぇ……ちくしょう! ちくしょう! なんでこんなに、弱いんだよ…俺は……ぐずぐず……なんで……ぐずぐず……」


 俺は、この日泣き続けていたそれも朝から晩まで。


 それから二年が経ち、高校生にはなっていたが、俺は相変わらず喧嘩をしていた。


「はぁ~お前な、喧嘩は程々にしとけよ」


「ああ……分かってる」


「分かりましただろ!」


 先生は、溜め息をつき俺と先生だけしかいない教室に響いた。


 そして学校から出て、下校しようとしていた時に、あることを思い出す。

 朝テレビでやっていたことだ、殺人鬼のニュースをやっていたことに、道路のこの辺だっけと思いながら歩いていると、腹に突然激しい痛みを感じた。


「おにいさん……きょうをつけて歩かないと、駄目ですよ……ケケケ……俺みたいな殺人鬼がいるから……ケケケ」


 男は、不気味に笑う。

 俺は、段々と意識を失い、目の前が真っ暗なっていく。


 そして真っ暗な場所にいた、俺はどうやら死んだようだ。

 だけど、不思議とどうでも良くなっていた。

 もうどなってもいい、所詮咲見を救えなかったダメな俺なんかが、どうなっても。

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