見下ろす
その時、遠くから二人を見下ろす人影があった。屋上の柵に腰かけている。誰かが後ろから押せば落ちてしまうかもしれない。なんとまあ、危ないことか。その人影はにやりと口を三日月形にして笑って、柵をつかんでいた手をぐいっと後ろに押し、驚くことに、空へ身を投げたのだった。落ちてしまうように見えたが、風邪に暴れていた、黒いギザギザしたロングコートが、忽ち、羽のように羽ばたき、一瞬のうちに消えてしまった。
その光景を通りがかりの、同級生の一人、立花さんが目撃してしまった。彼女は不安に体を震わせていた。消える瞬間視線が合った。あの目は確実に私をとらえた。
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