第12話 『なろうテンプレ』の構造

 さて。

『なろうテンプレ』と一言にいっても、実際には様々な作品がある訳ですが、その仕組みは案外、簡単だったりします。というのも、『なろうテンプレ』は概ね、『大枠(延長型、隔離型、移住型)』と『中話型(「冒険者ギルドで絡まれる」「奴隷を購入する」などのエピソード類)』と『小要素(「獣人」「ハーレム」「魔王主人公」「ダンジョンマスター」「悪役令嬢」「復讐」……etc などのタグになる部分)』の組み合わせで出来ているからです。

 つまり、まず物語の『大枠』を選んで、そこに相性の良い『エピソード』と『タグ要素』を好みに合わせて組み込んで行く訳ですね。今回はその辺りについて、触れて行きたいと思います。


 まず、『延長型』の大枠です。

 これはVRMMOモノや仮の身体アバターで異世界やダンジョンに行くタイプ、つまり日常との接点が途切れず、定期的に帰還できるタイプの作品群ですね。

 これらは現実世界の延長上にあるので、現実が舞台の作品(恋愛もの、競技もの、など)で使われるような『エピソード』と相性が良いです。『クリスマス』や『バレンタイン』などの行事ネタも使いやすいですね。


 次に『隔離型』です。

 これは『異世界転移』や『ゲームの世界に閉じ込められた』など、現実の日常から切り離され、(当初目的として)現実への帰還を目指すタイプの作品群になります。

 これらは現実や日常から切り離されるので、非日常系(冒険もの、戦争もの、ホラーもの、災害もの、など)の『エピソード』と相性が良いです。反面、『早く帰らなければ……』『現実の皆はどうしてるかな……』といった心理的ストレスが付きまとうので、日常系の『エピソード』は使いづらくなります。(例えば、現実への帰還が異世界の恋人との離別に繋がる、など)


 そして最後に『移住型』です。

 これは『転生』に代表される、異世界で生き抜くタイプの作品群です。また、隔離型シチュエーションの内、『主人公が帰還を目指さない場合』もここに含まれます。

 このタイプの場合、その世界が生活の基盤となりますから、日常系(職業もの、恋愛もの、学園もの、競技もの、など)との相性が良いです。そして、同時に異世界でもありますから、非日常系も取り込み可能です。このあたりの自由度の高さも、『異世界転生』が『なろう』で採用されやすい理由の一つかもしれません。


 ここまで決まったら、あとは気分と好みで『タグ要素』を突っ込んでいけば、出来上がりです。強いて言えば、「ハーレム」タグは『移住型』以外では(後々の扱いが)厳しそうなくらいでしょうか(笑) ね、簡単でしょ?


 この大まかな構造を意識しておけば、自分で作るによせよ、読みたい作品を探すにせよ、見当違いな作品が出てくる可能性は大幅に減らせると思います。(逆に、相性を考えないで、あれもこれもと要素を詰め込むと、超大型地雷になる恐れがありますので、くれぐれもご注意下さい)

 

 というわけで、今回は『なろうテンプレ』の構造について、でした。

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