第8話 チート付与は必要か

 皆さま、こんばんは。灰塵でございます。

 皆様は『チート』をご存知でしょうか?

 元々はMMO(ネットゲーム)における不正規の介入プログラム群を指す言葉でした。(辞書的な意味や、チートプログラムの詳細については、G〇〇gle先生にお尋ねください)

 そこから転じて、『なろう』においては、『不公平な方法・経緯で取得した能力』あるいは『不公平な程、強力な能力』を指すようになった模様です。


 さて。

 この『チート』の内、今回は『転移・転生時に付与される物』について扱いたいと思います。

 即ち、チート付与は本当に必要なのか? あるいは、何故必要なのか?、です。


 では、具体的にどんな『チート』があるでしょうか?

 まず、異世界に行くのですから、異世界の言葉が分かった方が(作者としても)何かと便利ですねよね? つまり、『言語翻訳系チートほ〇や〇こ〇に〇く』です。公共交通機関の未発達な世界に行くなら、快適な移動手段も欲しいですね。つまり、『移動系チートど〇で〇ド〇』です。折角の異世界ですから、買い物も楽しみたいですが、荷物を持ち歩くのは大変ですよね。だから、『収納系チート四〇元〇ケ〇ト』です。現地で怖いお兄さんに出くわす可能性もありますから、身を守れる何かも欲しいですし、ケガや病気もあり得ますから、その対策も必要です――『戦闘系チート電〇丸』と『回復系チートお医〇さ〇か〇ん』ですね。

 ……あれ? おかしいですね。なんだか『未来型子守りロボット』の話を聞いているみたいです。『あんな事いいな、出来たらいいな』という声が聞こえて来そうです。


 えぇ、そうです。なにも不思議では話ではありません。皆、『アレ』が欲しいんです(笑) かく言う私も、貰えるものなら、ぜひ欲しい!

 

 あるいは、逆に考えてみて下さい。

 言葉も通じない国に着の身着のまま放り出され。移動手段は徒歩のみで、荷物が増えれば疲労困憊。貧弱な現代一般人の身体能力では悪漢はおろか野良犬の群れにも勝てない始末。運良く逃げ切れても、傷が悪化したり、病気になったりで、十中八九、命を落とす。

 果たして、そんな異国旅行に誰が行きたいでしょうか?

 それよりも、『専属の案内人・運転手・ボディーガード完備。安心安全快適な旅をお約束致します』という謳い文句の企画に飛びつくはずです。ユーザーは旅行先を満喫したいはずですから。


 つまり、こういう事です。

 『なろう』における『チート』とは、『海外旅行における専属スタッフのようなもの』です。読者が快適に異世界を楽しめるように、面倒を排し、快適さをサポートするための存在です。それが主人公自身に能力として付与されるか、サポートキャラとして脇に侍るか、上位者ごしゅじんさまとして君臨するか――あるいは、その全てか――という違いだけです。


 ですから、『どんなチートが必要か』は、その世界(物語)の魅力次第です。自分の足で歩きまわって景色を眺めたり、現地の騎乗動物や乗り物に乗る事を楽しめる世界なら、『移動系チート』は不要です。逆に派手なバトルを楽しむ世界なら、最低限の『戦闘系チート』や『回復系チート』が無かったら、あっさり死んでしまいます。

 もちろん、『チート能力そのものを楽しむための世界』もあり得るでしょう。というか、移動先の異世界の状況と、主人公の能力が妙に噛み合うのは、正にそういう理由です。

 

 読者にその異世界を楽しんで貰うためには、どんなサポートが必要か。それこそが、『なろう』における『チート付与』の正体だと、私は思います。

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