2人

「……」

 気まずい。

 その感想が私の頭を埋め尽くしていた。

 気まずいと感じているのは沙耶ちゃんも同じようで、時々視線を感じるも、私がそちらを見るとぱっと目をそらす。

 雲1つ無い爽やかな空の下。

 私と沙耶ちゃんは全然爽やかな状態ではなく、無言で歩いていた。

「あのさ……」

 先に口を開いたのは、沙耶ちゃんだった。

 気まずそうに目をそらしながら話してくる。

「このあいだの昼休みの事なんだけど……」

「……うん」

「一応、謝るけど……」

 沙耶ちゃんにしては珍しく歯切れが悪い。

「でも、あの時にいったことは本当だから……」

「うん……」

「そこを謝るつもりは、無い。けど、いいすぎた。ごめん」

 沙耶ちゃんは私よりも身長が高くて、表情ははっきり見えないけれど、その声から緊張しているのが伝わってきた。

「私もごめんね。衣緒ちゃんに陸上やめるのをすすめるようなこと言って」

 思っていたよりもするりと言葉が出てきた。

「いや、それは私に謝ることじゃないよ。ただ、まあ、改めてこれからよろしく、ね」

「……うん!」

 さっくりと、あっさりと、気まずい会話は終わりを迎えた。

 そしてそれまでの流れをなかったことにするように、私たちは普通の、いつも通りの会話に戻っていった。

 眩しい太陽の近くに飛行機雲がまっすぐ伸びていた。

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