第3話 よく数珠の糸が切れる
厳かな葬儀式の最中、ぷつりと糸が切れ何かが弾け飛ぶ。
そんな場面に遭遇したことはありませんか?会館のスタッフも慌てて式場内に入り、しかしお客様の邪魔にならないよう迅速にその何かを拾い集めています。
そう、数珠です。これはあるあるですね。現に私が親戚の葬儀に参列した時も、数珠の糸が切れたことがあります。
「きっと死んだおばあちゃんのせいよ。」「虫の知らせかしら。」「何かを伝えたがってるのかもしれない。」「不吉だ。」「逆にいいことあるかも。」
そんな会話が交わされるのもあるあるですね。しかし、虫の知らせといったことは一切ありません。
数珠と同じように、葬儀に参列した時に黒い靴が壊れたり、靴の踵がぼろぼろになったり、喪服のウエストが入らなかったり、袖のボタンがとれたり、黒いバッグが壊れたり、そういった経験はありませんか?
これらはすべて経年劣化です。逆に、買い替え時です。
私のように毎日葬儀の場に立つならいざ知らず、葬儀というのはだいたいそれなりの年数をまたいで発生するものです。そのくせ壊れた靴を見て「不吉だ。」といちいちぼやいていては、きりがありません。
しかし、葬儀のたびにわざわざ買いなおすのもお金がもったいないですよね。そんな時に活用したいのが喪服や数珠のレンタルです。葬儀社によっても規定はさまざまですが、ある程度の壊れるものは予想がつくので、レンタル品としての取り扱いがあるところがほとんどです。
また、どんな形であれ亡くなった方は皆さんが忙しいなか時間を割いてまでお参りに来てくれたことが何より嬉しいのではないかと思います。まずは数珠の玉を拾う手を止め、すぐにお参りへと進んでください。
どちらにせよ閉式後でないと、思わぬところまで転がっていった玉を見つけることは難しいのですから。
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