粉雪のセレナーデ~第3楽章~

Rin

~粉雪のセレナーデ~第3楽章~

 夕日に向かって踊り出すキミが、まるで胡桃くるみわり人形のように見える。

 美しくもありかつ繊細な一面も見られる。

 ……が、しかしその踊りは観客に見せる概念だけだと言うこと。

 私が通っている、バレリーナ教室は都心を少し離れた路地裏にある。

 毎週土曜日になると、見学に来る人が訪れる。

 私はプリマになるまで、かなりの下積みを積んできた。

 今は舞台に上がり、お客さんの沢山の拍手を貰って最高の舞台を演じてきた。


 私がバレリーナを始めたのは、幼稚園に入ったと同時に、年長組になった夏の暑い頃だった。


 母親に嫌々連れて行かれたのを覚えている。私はバレリーナに興味はなかったが、母は元バレリーナだった。

 母は「年長さんになったら、バレリーナ教室に通いましょうね」と良く言っていた。


 私はやりたくなかったが、母の言葉にのせられ今の私がいるのは、言うまでもない。

「初日のレッスンを受けたら、お菓子いっぱい買ってあげるから」と私を甘い言葉で母は騙し、その時母は「よし!」と言う顔をしながら、母は自分が叶えられなかった夢を娘に託しなたのだ。



 ーそれは…ホントのプリマになることだった。


 母は結構有名なバレリーナで、名前も知られていたし、舞台を引退するまで

 やってきた回数は150以上にも昇る。


 私は小さい時から、「お母さんみたいなバレリーナになれるわよとか、もしかしたら、お母さん超えられるかもしれないよ」とか、周りから言われてきたせいか、小さいながら私はプレッシャーを感じていた。


 何故なら、私が育ってきた環境は、実は父は舞台の演出をやっている人でも有名でもあり、いつも家に帰ると、大人の人が集まっていた。いつも仕事の話で、私に構っている暇はなかった。そんな環境が私には、耐えられなかった。


「私の家族構成」

 父は《くすのき ゆうた》楠 優太

 母は《くすのき さえ》楠 紗衣

 くすのき くるみ来未

 現在は、3人で暮らしている。


 兄弟は、他に3人の兄がいる。

 今は、皆、実家を出で、東京都内で一人暮らしをしている。



 だから私は違う環境が欲しかった……。


 でも、そんな私が 今は、作家になっている。

 さかのぼること、今から10年前くらいだった。父が、急に倒れたと言う知らせが入り、急いで。病院に向かった。


 最近、父の身体が心配だった。



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