今度は仕事中に
ひょこ、と『街の料理亭』の入り口から顔を少しだけだす。
(レークは……あ、居た居た)
私はレークを見つけたらじっっと見つめ観察しだした。私は家での家事を終わらしたら何時もこうしている。レークが変な女に付きまとわれてないかとか、私以外の女にデレデレしてないか──を確認する為に必要な行為であってこれは別に覗き見とかではない!
(はぁ、レークカッコいい)
あの太い眉毛とか鋭い目付きのところとか大きくて頼りになる背中とか──はぁ、レークはカッコ良過ぎる。
私とレークはこの『街の料理亭』で初めて会った。それからと言うもののレークからのアプローチがあったりして今では結婚して同棲をしている。
最初は怖い人だなぁ、って思ってたけど段々分かってくると不器用なんだなと思う様になった。
レークを一言で表すなら──真面目。
元々軍人だったからかもしれないけど、レークは大真面目なのだ。何に真面目かと言うと、全部。何事に対しても真面目に取り組もうとする。別に悪い事じゃないんだけど、その真面目過ぎる部分にも少し問題がある。
軍人を辞めて『街の料理亭』で働き始めた時なんて、休めぇぇぇ!! と怒鳴りたくなる程に働いていて、真面目故に頑固でもあり一度決めた事を最後までやり遂げようとするから説得にかなり時間がかかった。
まぁ、最後は『休んでくれないと私泣くよ』との一言で解決したけど。
「で? あんたはまた何してんの?」
「レークの観察──いえ、たまたま通ったらレークが見えたので少し見てただけですよ?」
「はぁぁ───バカか!」
艶々した赤髪を一纏めにしてて丁度私と目線が合う女性──ニャーム、私はニャーさんと呼んでいる。そんな人から持っていたお盆で頭を叩かれ片手で頭を抑える。
「痛いですね。暴力反対です!」
「あんたねぇ。毎日後を追いかけ回して何したいの?」
「………レークが心配なんです。ちゃんとやれてるかとか」
「安心しな、ちゃんとやってるし。毎日見てれば分かるだろ?」
「そ、そうですが…」
確かにここ最近見ててレークは大丈夫だと分かって来たけど、それでも心配なものは心配なの!
「レーク………うへへ! カッコいい」
「あんたねぇ」
呆れた目線で私を見て頭に手を付けてるニャーさんは無視。それより仕事をしてるレークを見ていないと何をするか分からない。
「………ねぇ、あの子誰?」
「え?」
私はいまレークと話してる女を指指してニャーさんに訊いた。ニャーさんは中を覗き「あー」と何か知ってる様な顔になった。
「誰ですか?」
「うん。まぁ、正直に言うとレークさんを好きな子かな?───ちょっ!? それで何するの! と言うかどっからだした!」
私は偶然持っていた刃物を構えた。刃物の刀身は六センチ。うん、これなら心臓一突きで行けるかな。
「ッ!?───ニャーさん? 離して下さい!」
「いやいや! だから、何するのそれで!」
「レーク、レークに近づこうとする女はヤらないといけないんです! だから、離して下さい!」
肩を掴んでくるニャーさん手を引き剥がそうとするが力強く掴まれていて引き剥がせない。
トントン。
「ニャーさん離して下さい! レークを、レークを助けるんです!」
「だか、ら………」
トントン、トントン。
「離して──……ん? あの、誰………」
私はもう一度ニャーさんに離す様に言おうとしたら、ニャーさんがじ~~っと何かを見つめていて私は肩をトントン、されていから後ろ振り向くと、
「レーク………?」
「………」
レークは少し怒り気味で私達を睨みつける様に見ている。でも、直ぐに顔にはやんわりとした優しさがでる。(あまり表情は変わってないけど)そしたら、レークは私の頭を撫で撫でしてからぎゅぅぅ、と抱き締めてくれた。
「あまり、店前で騒ぐなよ?」
「うん、ごめんなさい。そうだ、久しぶり私も少し手伝うよ!」
「………(コクッ)」
レークの口数は少ないけど、それでもレークが伝えたがってる事は分かる。うん、レークは何時も通り。
「ねぇ、レーク。今日のご飯何が良い?」
「………何時も通りで」
「分かった」
レークに寄り添う。大きくてゴツゴツしてても細い腕に両腕で引っ付く。
レーク、大好き。これからも一緒だよ。
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