第40話 運命の赤い糸 二
―克也、今から言うこと、よく聞いてね。
まず、「運命の黄色い糸」の秘密からだけど、これには2つの意味があるんだ。
1つは、「お互いに、運命の『赤い糸』、『青い糸』なんかを見る能力を持ったもの同士は、『黄色い糸』で結ばれている、って意味。
だから私も、運命の青い糸を見ることができる、ってことになるね。
2つ目の意味の説明に行く前に、私の昔話をさせてね。
私、小さい頃から、物事に対してちょっと冷めた所があったんだ。例えば小学生の時、周りの子たちは漫画とか読んでたけど、私は漫画には興味なかった。それで、
「そんなの、どこが面白いの?」
とか、私は平気で言える子だったんだ。
そんな中で、私は中学生になった。中学生って、バリバリの思春期だよね?それで、私の周りにも、「彼氏ができた。」とか、「あの男の子が好き。」とか、そういった会話が多く出るようになったんだ。
そんな時に、私は「運命の青い糸」と、その日付が見えるようになった。始めは、その糸にどんな意味があるのか全然分からなかったんだけど、周りのカップルがその日付通りに別れていくのを見て、
「ああ、これは『運命の赤い糸』の逆バージョンか…。」
って私、悟っちゃった。
それで、私クラスの子から、
「私の彼氏、超かっこいいんだけど!」
とか何とか言われるたんびに、
「でも○○さん、その彼氏とはいついつに別れるよ。」
とか、言うようになったんだ。すると、
「てめえ!何でそんなこと言うんだよ!」
とか何とか、みんなから言われるようになった。
それで私、机や筆箱なんかにイタズラとかされるようになって…、まあいわゆる、「いじめ」ってやつだね。でも、そんないじめも、私が言った日付にカップルたちが別れるようになってから、なくなったんだ。そしてその代わりに、私は「気持ち悪い超能力者」とか陰で言われて、徹底的に無視されるようになった。だから、私は中学時代いつも1人で、友達はできなかった。
それで、高校の時は、私は自分の能力を、他の人に言わないようにして生きた。それで、友達が何とかできて、その友達から、
「ねえねえ由利加。私、彼氏ができたんだ!」
とも、言われた。そしてその彼氏を紹介してもらうたんびに、「青い糸」と日付が見えた。
でも、私はそのことを、友達には伝えなかった。そうやって、私はうまく生きてきたつもり。ただ…、私は、とてもじゃないけど、彼氏を作る気にはなれなかった。
「どうせ別れるのに、どうして彼氏なんか作る必要があるんだろう…。」
私は高校時代、そんな風にしか思えなかった。
それで、私は大学生になった。その、1年目だけど…。
私は、キャンパスで偶然、克也を見かけた。それで、克也と私との間には…、「黄色い糸」が、見えた。
「こ、これって…、どういうこと!?」
疑問に思った私は、ネットなんかで評判だった、占い師の所まで、行ったんだ。
もちろん、「占い師」に訊いて何が分かるんだ、って思うかもしれない。だって私自身も、半分はそう思ってたから…。でも、気になりだしたら止まらない私は、そこに行ったら何か分かるかもしれない、そうもう半分は本気で思ってたんだ。
するとそこの占い師は、「糸」のことを知っていた。それで、「運命の黄色い糸」の、1つ目の意味を、その場で教えてくれた。
それで私は、遠くから克也を見るようになった。
その、克也は…。
一言で言うと、私にはかっこよく映った。もちろん、見た目もそうなんだけど、それよりも何よりも、克也は私と同じように「青い糸」が見えるはずなのに、私と違って物事に熱心に取り組んでいる…、そんな克也が、純粋にかっこいいと思った。さっきも言ったけど、私けっこう物事に対して冷めてて、「青い糸」のせいでそれに拍車がかかってたんだ。でも克也は、どうやら恋愛に関しては冷めてるけど、例えば映像製作とか、熱く燃えるものもあるんだ、って分かった。それで、そんな克也を遠くで見て…、私、克也に恋しちゃった!
でも私、今までまともに彼氏なんか作ったことないのに、どうしたらいいのか分かんないよね。私はずっと、克也のことを見てるのに、克也はそれに全然気づいてくれなくて…。
それで私、真剣にどうしよう、って考えてたんだ。
そんな中、たまたま、本当にたまたまだけど、掲示板の募集を見つけた。
「これって、克也たちと一緒に活動できる、ってこと!?」
そう思った私は、いても立ってもいられなくなった。
まあ、そんなこんなで、私たちは一緒に活動して、付き合うことにもなった、ってわけ。
あと、「黄色い糸」の2つ目の意味、言うね!これは、その占い師に、聞いたことだけど…。
「運命の黄色い糸」は、まだ「赤い糸」にも、「青い糸」にもなっていない、「運命がまだ決まっていない」って意味があるんだって。だから「黄色い糸」は自分たち次第で、その運命を「赤」にも「青」にもできる。これが、「黄色い」糸の2つ目の意味だよ。
それで、私から質問があります。
克也、私のこと、どう思ってる?―
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