第4話 運命の青い糸 四

 そしてそれっきり、俺は彼女、狭山由佳には会っていない。しかし、俺はその件で、1つ学習したことがある。それは俺が見えていた「青い糸」は、その2人が「別れる」運命にあることを示すものであり、その上に載っている日付は、その日時を表すものである、ということだ。

 自分で言うのも(またまた)何だが、俺は顔もそれなりにはかっこいいらしく、(自分では全くそうは思わないが、周りの人間はそう言っている。)それ以降も、(中学・高校時代)俺は周りの女子から、それなりにモテた。そして、俺は告白を何度かされ、付き合ったことがある。しかしその度に、俺とその時の彼女との間に青い糸が見え、おまけに日付までちゃっかり載っている始末だ。そしてその日付になると、俺たちは決まって、別れた。その理由は、

 「ごめん、他に好きな人ができた。」

「私、転校することになっちゃって…。(前とおんなじか!)」

また、単に俺が二股をかけられていただけのこともあった。さらに、俺はやけを起こして、俺の方から当時の彼女を、その日付に合わせて振ったこともある。

 …まあとりあえず、俺はその青い糸を、「運命の青い糸」と勝手に名づけ、その存在を信じることにした。(と言うか、そんなことが繰り返し起こったのだから信じざるを得ないであろう。)そして、その「運命の青い糸」は、最初は自分の彼女に対してしか見えなかったのだが、高校時代になると俺以外のカップルにも、それが見えるようになった。そして友達から、

 「克也、俺、彼女ができたんだよね!」

と自慢されることも度々あったが、その度に俺はその彼女とそいつの小指を見て青い糸を確認し、後でその友達に、

「悪いけど、いついつになったらお前とさっきの彼女、別れるよ。」

と、言ったことがある。するとそいつは、

「何だよお前!人の幸せがうらやましくて、そんなこと言ってんのか!?」

と言い少し険悪な雰囲気になったが、その日付が来ると、

「克也悪りぃ。お前の言う通りになったわ。

でも、何でお前分かったの?」

と、友達に言われる始末であった。そして俺は、

「まあ、俺の第六感、ってやつ!?」

と、糸の存在を隠してそう冗談風に言った。

 そんなことが何度か続き、いつの間にか俺は高校時代、「恋愛エスパー」なるニックネームを、ありがたいのかありがたくないのかつけられる羽目になり、よく人のカップルの運勢まで見せられる羽目になった。そして俺は、

「俺、運勢までは分かんないけど、その彼女とも、いついつになったら別れると思うよ。」

と伝え、みんなからビビられるのであった。

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