第5話 運命の青い糸 五

 そんな俺も、ついに大学2年になった。俺は大学に入ってからも、何度か女子大生に告白されたが、決まって「運命の青い糸」が見え、その日に別れる、ということを繰り返していた。

 しかしここまでで、疑問に思う人もいるかもしれない。それは、

「世のカップルで、結婚という『ゴールイン』まで行ったカップルも大勢いるということは、全てが『運命の青い糸』で結ばれている、ということはないのではないか?」

というものだ。

 …こんな質問をもし誰かにされたら、俺もうまく答えることはできないだろう。

 しかし俺はこうも思う。

『結婚とは、果たして本当に『ゴールイン』なのか?本当にカップルの、究極の幸せの形なのか?』

 …この世の中で、結婚に対してプラスのイメージを持っている人は、少なからずいるだろう。でも、結婚しているカップルの中には、

「他に相手がいないからこの人と結婚した。」

「とりあえず、負け組にはなりたくない。」

など、打算的理由で結婚している、またする人も多いのではないか?

 そしてそれらの人々は、決して「運命の赤い糸」なんかでは、結ばれていないのではないか?

 さらに、最近では結婚して何年か経った後、(ひどい時にはもっと短い時間で)離婚をするカップル(夫婦)も多いと聞く。もし俺がそんなカップルなりを見つけ、その小指を見たら、そこで「運命の青い糸」と、離婚をする日付が見られるのではないか、俺はそう思うのだ。

 (もちろん、これは俺の勝手な推測だ。俺はまだ大学生だし、周りの友達で結婚しているヤツはいない。だから俺に対する反対意見が出ても、何も言い返せない。)

 ちなみに、俺は半分興味本位で、俺の両親の小指に、「糸」がないか確認したことがある。俺はその時、「青い糸」は確認できなかった。…しかし、「運命の赤い糸」も、俺は見ることはできなかった。

 『俺の親、とりあえず別れることはないみたいだけど、運命の赤い糸で結ばれてるわけじゃないみたいだな…。

 別に運命の相手でも何でもないのかも!?』

 …もちろん俺の感想は、「運命の赤い糸」なるものが本当に存在していたら、成立するものである。

 (ちなみに一応言っておくが、俺の家の両親の仲は決して悪くはない。)

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