第18話

「先週は盛り上がったんだって?」


土曜日の朝、いつもの畑に集合。朝から一番乗りしたタケ坊のテンションは高かった。鼻歌交じりに車に荷物を積んでいく。後部座席ではワタルが寝落ち寸前だった。


「篠原は今日もスキー?」


僕の板を車に積みながらタケ坊が声をかける。ちょっとだけ期待感を持ってしのさんを見ると、満面の笑みで斜に構えてライディング姿勢をとった。


「その良すぎる笑顔が減点だわ」


「笑顔がマイナスってひどくね?」


素でぼやくとしのさんが抗議する。このグループでは圧倒的にボーダーが多いので、先週が特別だったのだ。やっぱりスキーヤーがいないのは疎外感がある・・・気がする。今回はポコちゃんの都合がつかず、残念ながら寺ちゃんとふたり欠席となった。


「荷物が積めたら、セキ拾いに行くか」


タケ坊が声を掛けるとしのさんが助手席に乗り込んだ。


「関口君の家は高速入り口の近くなんだっけ?」


以前の飲み会の記憶ではそんな話をしていた気がする。


「セキで良いよ。家まで行ったことないけど、大丈夫。たぶんわかる」


なんとも頼りない返答を聞きながら車は進む。大通りを抜けたところでしのさんがそれらしき姿を見つけた。


「あれじゃね?」


路肩に車を止めて合流する。


「お迎えすみません。道、わかりました?」


朝から爽やか好青年のセキ。余裕だったと話すタケ坊には誰も突っ込まない。タケ坊は職場つながりのコミュニティーではクールキャラらしい、と、しのさんに聞いた。ちなみにワタルは爆睡中。


タケ坊が今日のメンバーを紹介すると関口君は全員覚えていた。


「あれっ?板は??」


彼はスキーもスノボも今回が初だという。


「前回つきあったんだから今回はヨシがボードでしょ!」


相変わらず良すぎる笑顔でしのさんが親指を上げる。もちろん、意味は分からない。初心者だったらスキーが良いよとセキを勧誘するとタケ坊がニヤニヤしながらひと言。


「まぁ、セキも初だし・・秋元も付き合ってくれ」


期せずして僕のボードデビューが決まった。


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