第15話

「そっちの雪はどう?」


タケ坊からの電話は23時近かった。今日のコンディションを伝える。結局、手伝いは長引いて夕方までかかったらしい。


「タケ坊、来週は強制連行だってさ。それともいまから合流できる?」


「さすがにいまからはハードすぎるわ。雪降ってるだろ?」


電話口でタケ坊が苦笑する。カーテンを開けると大粒の雪が電柱を隠すように舞っていた。


「あ〜、これ朝から車の雪下ろしだねー」


宿に着く頃にはいったん止んでいた雪はまた本降りになっていた。寺ちゃん推奨のお宿のご飯の話になると「やっぱ今日は行きたかったなぁー」とタケ坊がぼやく。


「篠原は?」


「さっきまたお風呂に行ったよ。みんなはもう寝てる。ワタルも21時には寝始めたし」


「ワタルはいつも早寝だから」


スキー3人、ボード2人でポコちゃんパワーをひとりで受け止めたワタルは飲み会が始まって早々にこっくりし始めた。明日もあるし今日は早めに解散なとしのさんが声がけすると早々に食堂から撤収していった。


「秋元は?まだ起きてんの?」


「いや、しのさん戻ってきたら寝るよ。さすがにこれからまた風呂に入ったら眠気がとびそう」


この週末はお前らがいないから飲み会もないわと笑うタケ坊も、明日は朝から子ども会の手伝いを頼まれているという。この面倒見の良さは本当に尊敬するところだけれど、本人にいうとそんなことネーよと返してくるのがわかっているで聞くにとどめる。きっとそれが正解なのだろう。あのひと○○だからと言われるのは良い悪い関係なく誰しも居心地が悪い。不器用者の照れ屋はそっとしておくに限るのだ。


「篠原は早風呂だからすぐ戻るよ」


ひとしきり話したタケ坊が最後にそう言うのを聞いて電話を終えた。






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