第2話パートナー

衝撃の任務を引き受けて、世界を救う任務を任された''あの日''から一夜が明けた。


俺は悩んでいた。


あの時はつい「世界を救ってみせます!」などと言ってしまったがよく考えたら俺はまだ高校1年生じゃないか…


勉強だってしなきゃ行けない…青春だってしたい…


というか、そもそも''ラグナロク"ってなんなんだ?ほんとに世界が終わるのか?

世界の終末をたかがものさしで回避することができるのか?


正直俺には実感がなかった。ものさしを見つけれる気がしなかった。そもそも"ラグナロク"なんて来ないんじゃないか?なんて事を考えていた。


しかし厳しい階級社会のこの国、ものさしを探していないことがもしバレたら間違いなく殺される。

つまり、訳がわからずともとりあえずものさしを探さなければならないのだ。


だから俺はまず''ラグナロク''について調べるために予言者ノルダムスについての情報を集めることにした。


その日の昼休み、高校の図書室でノルダムスについての文献を読んでいると聞き覚えのある声が聞こえた。


「あれ?片岡君じゃん!どうしたの?そんな小難しそうな文献なんて読んじゃって?」


そこには昨日初めて会ったばかりの長瀬がいた。


「お前は…確か昨日の…長瀬?だっけ?」


「覚えててくれたんだね!!さっすが片岡君!」


彼女の馴れ馴れしい態度はやはり変わっていない。


「ん?予言者ノルダムス?どうしてこんな資料を読んでるの?」


続けて彼女は質問してきた。


「あっもしかして"ラグラロク"について調べてるの?」


その質問に俺は驚愕した。なぜこいつが"ラグラロク"の事を知っているのかが分からなかった。


「お前…何故"ラグナロク"の事を知っているのだ?お前もまさか皇帝に…??」


「皇帝??何のことか分からないけど、私のお父さんは考古学者でねお父さんからいろいろ聞かされたの」


想定外だった。正直馴れ馴れしいこいつの事は苦手だった。ただ状況が変わった。こいつならものさしの事も知っているかもしれない。


「じゃぁお前"手にしたらどんな願いも叶う"伝説の70cmのものさしを知っているか?」


千鶴は自慢げな笑みを浮かべて答えた。


「もちろん知ってるよ!そのものさしがあれば"ラグナロク"から世界を救えるって事もね!」


体に電撃のような衝撃が走った。そして、こいつと一緒になら本当にものさしを見つけ世界を救えるのではないかと思った。


「長瀬…少しいいか?」


「急にどうしたの片岡君?」


俺は昨日の一件を長瀬に話し、協力をしてもらえないかと頼んだ。


「うん!いいよ!おもしろそうだし!」


その答えは意外だった。普通ならもっと悩むだろう…いきなりそんな話をされたら。

しかし千鶴はあっさりとオッケーした。


「え…本当にいいのか?」


「いいともいいとも!君だって色々知識のある人が近くにいた方が安心するでしょ!」


その返事は片岡にとって心強いものだった。確かに"ラグラロク"や"ものさし"について知識のある人が近くにいてくれる事の安心感は大きかった。


「じゃあ長瀬…よろしく頼むな」


「もう私たち"パートナー"なんだから千鶴って呼んでよね!そういえば片岡君の下の名前聞いてなかったけどなんて言うの?」


「修だ。では改めてよろしく頼むぞ千鶴」


「うん!私の方こそよろしくね修君!私達が世界を救う英雄になろうね!!」


「おう!俺たち2人で世界を救おうぜ!」


ここに世界を救う英雄になるかもしれない2人組が誕生した。


「じゃ、まず私のお父さんに話を聞きに行かない?もっとたくさんの情報を得られると思うよ」


「そうだな、そうしよう!」


少し前までは苦手だった千鶴だが今や"パートナー"として少しずつ信頼を寄せて行くようになった。そして千鶴も俺の事を信頼してくれているように感じる。


俺と千鶴なら本当に世界を救う英雄になれるんじゃないか?そう思いはじめていた。

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