第7話

◯幽霊団地(夜)

   団地に戻ってきたコタロウ。辺りにひと気はなく一人で立つ。突然、洗濯機

   が動き出して大きな口を開ける。瞬間、隠れていたうおのめが現れて、洗

   濯機の口を足で抑える。

うおのめ「わりいな 定員オーバーか?」

メバチ子「南無三!」

やまい「アリスインワンダーランド!」

   四人で洗濯機の中に飛び込む。

四人「うあああああああ」

   どこかへ落ちていく。


◯モータル・エレクトロニクスビル(夜)

コタロウ「いてて…」

   コタロウが目を開ける。と、巨大な肉の壁が広がっている。

   メバチ子、嗚咽を抑えながら言う。

メバチ子「…こんなの ビル一棟丸々憑キモノ家電じゃない…」

   やまい、両手を広げて回りながら

やまい 「マーベラス晴らしい! これは大いなる人類の一歩だよ!」

コタロウ「でも食べられちゃった人たちは!? アッコちゃんはどこにいる

 の!?」

やまい 「メバチ子! お前の目で捜せ!」

メバチ子「困った時の部下頼み! なんでいつもそうなんですか! ーー好

 き!」

   メバチ子の片方の目が望遠鏡のような形に変わる。

   T「GGN型視覚強化アーマグラフ!」

やまい「メバチ子くんのアーマグラフは義眼! 生体電気の流れはもちろん 怖いぐら いなんでもお見通しだ 予言に等しいレベルでね」

メバチ子「いたあそこ!」

   メバチ子の指す先、うおのめの一撃が壁に穴を開ける。

   ずるっと、亜子が出てくる。魚うおのめ受け止める。

コタロウ「アッコちゃん!? アッコちゃん! アッコちゃん!」

メバチ子「…コタロウくん 感動の再会は後よ きます!」

   肉の壁から触手的なものが伸びてくる。

   しかしうおのめはおもむろにアーマグラフを外す。

メバチ子「何考えてるんですか!?」

うおのめ「脱出するんだよ! 忘れたか? 憑キモノ家電は異物を吐き出す! 

 だったらおれたち自身が『異物』になれば外に出られるはずだ!」

   T『生命電気放出!』

   青白い電流が五人を包み込む。

うおのめ「同族を喰う嫌悪感! おれたちなら理解できるはずだ!」

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