第2話

◯小学校・6-2の教室

T「現在」

コタロウ「いいよ! やろうやろう!」

   主人公月蝕コタロウ(12)は無邪気な笑顔を浮かべる。

   対するいじめっ子三人組は悪い笑顔を浮かべる。


◯とある橋

   コタロウ、橋の上から川に飛び込み豪快に泳ぐ。

コタロウ「この極寒に寒中水泳! 燃えてくるね!」

   

◯とある木の上

コタロウ「紐無しバンジー!?  跳ぶ跳ぶ! 伝統的度胸試しだね!」

   コタロウ、数メートルの高さから飛び降り、顔面から着地する。


◯とある公園(夕)

コタロウ「これはもう なんだかわからない! あははははは!」

   コタロウ、回る遊具に縛り付けられて、高速回転。公園にいた全子どもたち

   から石やボールを投げつけられる。やがてコタロウを縛り付けていた縄跳

   びが、遊具の遠心力によって解ける。コタロウ、吹っ飛ぶ。砂煙りをあげな

   がら地面を転がる。やがて煙が晴れると、コタロウはボロボロでさらに腕

   はあらぬ方向に曲がっていた。コタロウ、欠けた歯で笑う。

コタロウ「あははヘーキヘーキ! 動くから大丈夫だよ!」

   いじめっ子たちは一瞬うろたえるが、顔を見合わせたあと「ニヤリ」と笑

   う。いじめっ子たちに影が落ちる。見上げれば身なりの汚いホームレス風

   の男、うおのめ(25)が立っている。いじめっ子たちの視線が、男の上半

   身から下半身へ移動する。うおのめは下半身丸出しで、さらに滝のように

   放尿している。

いじめっこ「ルンペンだあああああ!」

   いじめっ子たちは悲鳴をあげながら逃げていく。

うおのめ「…ぁぁあったま痛え…。どうなってんだホームレスどもの膵臓は…」

コタロウ「うわあ虹だよ! 虹の根元には宝物が埋まってるんだよ!」

   うおのめの放尿によって虹ができている。

コタロウ「お兄さん! ぼくはコタロウ! 月蝕コタロウっています!」

うおのめ「『うおのめ』ってんだ そしておれがまだ二十代のヤングアダルトで

 あることを見抜いたお前は なかなか見所がある」

コタロウ「うおのめさん! ダメーーーーッ!」

うおのめ「…んだよ、助けちゃダメだったかよ」

コタロウ「空腹は絶対にダメなんだよ! 体のSOSなんだから!」

   いつの間にか、うおのめは仰向けに倒れている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る