なんだか鬱屈した感情。
それは受験生なら誰でも持っているものだ。
本作ではそんな心の片隅にあるものを、繊細かつ巧みに、あるいはユニークな文章で表現している。
タバコと意外なテロリズム、日常から脱線する一歩とその失敗。
でもそれはただの失敗ではないだろう。
そんな青春がとても眩しくも羨ましく見える。
主人公は最後に思う。
「先が見えない将来があること自体、幸せなのかもしれない」
本当にその通りだと思う。
それに気づいた主人公の背景には、名作・檸檬があった。
……それにしても貯水槽の描写。どうしてあんなにも詳細に描けるのか。まさにその情景が浮かんでくるようである。
気になった方は是非本作を読んで頂きたい。