3.ライバル



憂鬱な朝だ。

今日はアイツを倒さなければならない。

はぁ...もぅまぢ無理。


「よ、元気か?簡易ベッドはいいだろ」

「本当に倒すんですか...」

「当たり前だろ?」

「僕、剣の振り方とかわかんないんですけど...」

「かすってもちゃんと当たってもダメージ同じだから大丈夫」

ガバガバだなオイ。


ーーー


森を抜けた所で、ヤツはいた。


「えっと...Lvいくつですか?」

「22...だな」

22...。

「大丈夫だ大丈夫、倒せるのは俺が保証する。倒せれば自信に繋がるだろ?」

倒せたら、な...

「もし一撃くらっても、その装備なら大丈夫だ!」


そう、虎威さんに、僕の装備を作って頂いた。

まぁ見た目はオンオフ出来るからオフにしているんだけど...

(ダサイから)


そうして合計防御力は300まで上がった。


「本当に痛みはないんですよね?」


虎威さんは、戦闘に関して、こう言っていた。


体力が減るだけで生命力は変わらない、と。


つまり痛みは無くて、メニューの体力、つまりHPが減るだけ。

本当にどういう仕組みなんだか...


「ああ、試しに一発撃ってやろうか?」

「遠慮しときます」


やるしかないか...


「じゃ、行くか?」

「は、はい!」


虎威さんが矢を撃って、こちらに気づかせる。


戦いの始まりだ。


とりあえず剣で切りかかる。

142ダメージ。


今回は虎威さんに、HPの割合が分かるアイテムを貸してもらっている。


20分の1ぐらいしか減ってないな...

てかこのアイテムの力で初めてこいつの名前を知った


エルガレウス [lllllllllllllllllll ]



虎威さんに向かっていた恐竜、もといエルガレウスかがこちらを向く。

うわ、怖。


噛みつかれそうになったのを右に避けてもう一度切りつける。

次は頭に一撃。

あれ?一気に2割ぐらい減ったぞ。


弱点か。


ならもう一度こちらを向くのを待つべきだろう。


エルガレウスは、鳴き声をあげながらこちらに向...かずに。

尾ではたいて来た。


「うわ!?」


ワンパターンではないんだな。

HPは...1割も減ってないな、よかった。

あと本当に痛くない。


その後、普通に勝利した。


倒すと、メニューに図鑑、という欄が足されていた。

まぁ、図鑑は...図鑑だろ。


エルガレウス

最大Lv50

別名 赤甲竜

...

やら、いろんな情報が載っていた。


ん?赤甲...竜...。

この剣の名前って...


「少年、よくやったな」

「え、あはい!」

「海岸じゃあアイツが最強だ、もう特に怖いのは居ないだろう」


アイツが最強か...

と言っても海岸だったら、か。


「レシピ足されてるか?」


...?

ああ、レシピか。

まだこの世界に順応できていないな。

僕は。


メニューを開き、[クラフト]を選択する。


「あ、はい。盾と弓ですね」

「盾か、俺は解放されなかったな」


解放されなかった...?


「多分、同じ奴を倒しても、落ちるレシピはランダムなんじゃないか?」

「ああ、なるほど...」

「実際、一体目で弓が落ちたし、二体目で剣が出たからな」


つまり、モンスター(?)を一回倒しただけじゃ全部は手に入らないってことか。


「あとはアイテムだな」

「アイテム...あ」


持ち物を開くと、[赤甲羅]というアイテムが3つ、つまり[赤甲羅.3]が足されていた。


「これ...いい方なんですかね」

「さあ...いや、嘘。多分悪い方」


初勝利がしょっぱいだなんて...ついてないな。


ーーー


「そういえば、塔ってどこなんですか?」

手紙。

先人が示した行き先。

「見た目は、本当にただの塔だよ」

場所は、そうだなぁ。と、虎威さんは言う。

「今がジャングル、次が砂漠で、次に草原を越えた所だよ」


...ん?

よくよく考えたら、おかしくないか?

何でこの人は、場所を知っている?

世界を出る方法を探していて、もう塔にはたどり着いた事がある。


「何で、虎威さんはそれを知って...いるんですか」

「そりゃまあ、一回行ったからな、そこに」


...え?

......ええ!?


「じゃ、じゃあなんで海岸に居たんですか?」

と聞くと、虎威さんはうつむいた。

何かまずい事を聞いてしまっただろうか。


「...実は、俺は君のような人を三人殺してしまっているんだ」


殺し...って...


え?





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