第26話 窓
夜になったらカーテンを閉める。彼にとって、日常のその行動がとても大事な予防だと言う。
「夜中の窓って鏡のようになるじゃないですか」
彼はその日、台所でコーヒーを淹れていた。淹れたてのコーヒーを啜りつつテレビのあるリビングへ向かう。
その道すがら、廊下脇の窓に自分以外の誰かが映ったらしい。
数人の男性が自分の後ろに立っている。そしてこちらを見つめ、何か話しているようだ。
「驚きましたよ。家の中に誰かがいるのかってね。でも、落ち着いて考えるとあれは窓の外の誰かだったんじゃないかな」
その家の廊下の窓は道路が見える位置にあり、そこを歩いていた男性が映ったのだと言う。
「あまり気持ちの良いものじゃないんでね。それからは、しっかりカーテンを閉めるようにしています」
窓が鏡のようになる程夜の更けた時間帯。家の中は煌々と光が灯っている中、外の景色をはっきりと認識することは可能なのだろうか。
どうしても私は彼にそのことを尋ねられなかった。
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