余命一か月の異世界転移

まさひろ

余命一か月の異世界転移

ベッドの上で寝たきりの少女

彼女の余命は一か月

外の空気を吸いたくも

ICUから出られぬ身


ある日光に包まれて

たどり着いたは別世界

だけど彼女は光を無くし

そこが異世界とは気づかぬまま


むせ返る様な土の匂い

清涼な幻想は草花の香り

ここは天国に違いない

彼女はそう涙した


そんな彼女を狙う光

それは魔物の鋭い眼光

彼女は祭壇に捧げられた生贄で

彼女はその為に転移させられた


魔物は大きな口を開け

眠る彼女に襲い掛かる

しかして瞳は何も映さず

彼女は涙を流すだけ


そこに現れ異国の剣士

彼は魔物を切り捨てると

眠る彼女を抱きかかえ

優しい口調で語り掛ける


だけどそれは異国の言葉

眠る彼女には分からない

剣士は困った顔をして

優しく彼女の顔をなでる


それから一月通り過ぎ

彼女はひっそり亡くなった

それから一月通り過ぎ

彼女はゆっくり亡くなった

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余命一か月の異世界転移 まさひろ @masahiro2017

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