第四章 立場逆転!?眷属に弟子入り!
第13話
オオカミンとの戦闘は、検証はまああれだったけど、魔法の練習が出来たしレベルも上がったし充実した戦闘だったな。
『ヒカルは、完全にキソナ様の事を勇者だと思われているようです。で、少しお話があります』
俺が満足感に浸っていると、ピピがそう話掛けて来た。
『話って? ヒカルの事か? 何かやばい事でもあったか?』
『やばくはありません。彼女がキソナ様をどのように分析しているかというお話です』
分析? いきなりなんだ?
『分析って? それ重要なのか?』
ピピは頷いた。
『じゃ聞くから、出来るだけ俺にわかるように宜しくな』
『かしこまりました』
ピピはカワイクお辞儀をした。本人にはそんなつもりはないかもしれないが。
『ヒカルは、キソナ様を勇者だと思っております。つまりランダムは、種族に一回使ったと思っている。そして、無詠唱をキソナ様が獲得しているハズだと、思い込んでおります』
ふむ。そうだな。無詠唱なのは、魔王補正の効果で本来は取得していない。
『グッドラックランダムで勇者を引き当てた場合は、勇者の職業を獲得出来ます。ですがグッドラックランダムを使わずに普通のランダムの場合は、「勇者の資格を持つ者」となり、勇者そのものの職業を手に入れれるわけではないのです』
『え? それって……』
『はい。テスターの特典として、勇者を引き当てる事ができました。ですが、今の所引き当てた者はおりません。グッドラックランダムを使用しない場合は、資格を手に入れるだけなので、今後この世界のイベントにより勇者の職業を取得する事になります』
それじゃ、運が良ければ勇者が生まれない事になるのか! 俺に取っては好都合だ!
『この事は、勇者を引き当てた者にしかわからない事なのです。これはさておき、種族のランダムで一つ引き当て、スキルと魔法選択の方でも一つ引き当てた事にします。そうすれば、のちほど召喚が知れても誤魔化せます』
誤魔化せる? どういう意味だ?
裏ステータスを見たとして、勇者じゃなかったとわかり、召喚を持っている事を知るだけだよな。何を誤魔化すって事なんだ?
『何を誤魔化すんだ?』
『獲得した数です。本来スキルと魔法選択から選べるのは二つなのです。キソナ様は、魔王補正で一つ増えていたのです』
なんだと! じゃ、他の奴らは二つしか選んでないのか!
えーと、そうすると。ランダムを一回使って引いておまけを貰う。これはワープと無詠唱という事で仮定すると、普通に選んだのは回復魔法になるよな。
『あれ? その考え方だと一個足りなくないか? 種族の方は?』
種族のランダムで手に入れたモノがない事にならないか?
俺はそう思って質問をした。
『はい。そこで召喚です。きっと彼は、強さの原因は勇者の恩恵だと思っているはずです。ですが、違うとなればどうして強い? という事になります。後になれば、強かったのは、お金を稼いで装備を整えていた事にすればいいのです。召喚があったのですから可能だったと』
なるほど。召喚は切り札にしておけばいいのか。人前で使わなければ、取得しているのがバレない。のちほど、ソロで召喚で戦闘をしていた事にして、それでお金を稼いで装備を整えて強くなっていたっという事にするればいいって事か。
『さすがピピ! 召喚は、一人でクエストを受けた時にだけ使用する事にする。そうすれば、誰にも見られないし』
『そうですね。それがいいでしょう』
まとめると種族でランダムを使い人間になったが、ただの人間だったって事にする。そしてスキルでもランダムを使い、おまけも含めて『回復、ワープ、召喚、無詠唱』を持っている事にするのか。つじつまは合っている。……たぶん。
ちょっと自信がないが、これで大丈夫だろう。
本当は違うが、これで誤魔化せそうだ。
魔王が隠しステータスで隠れていてよかった。
後は余りにも強くなりすぎると、装備を整えたというのでは誤魔化せなくなるって事か。
しかし
『なぁ、ピピ。本来の魔王の力ってどれくらいなんだ?』
『確かめてみますか?』
『確かめる?!』
『はい。変身を解除して、元の姿になれば宜しいのです』
いや、そうかもしれないけど、見つかったらどうするんだよ!
って、出来たのかそれ……。
『それはちょっと……』
『そうですね。キソナ様が私を召喚して下さった森はいかがでしょう? まだ誰もこないと思われます。姿を解くところを見られなければ、本来の姿を見られたとしてもキソナ様だとは気付かないと思います。いかがいたしますか?』
そっか。変身する所を見られなければ、俺とイコールにはならないか。性別も見た目も変わるしな。ステータスを見られなければ名前もバレない。
よし! どんな感じかちょっと検証してみるか!
『ちょっとやってみる! リリンの森に行こう!』
『承知しました』
俺はリリンの森へ向かった。
×× × ××
敵にもプレイヤーにも会わずにリリンの森に着いた。
辺りを見渡す。
よし! 誰もいないな!
「変身解除!」
こう言えば、元の姿に戻るとピピに教えられた。もっと早く教えて欲しかった。まあ、試したかはわからないけど。
鏡がないから直接姿の確認はできないが、銀の長い髪になっている。服装も魔王の衣装だ。ちゃんとマントも装備している。
うん。簡単にできた!
じゃ、ステータスを確認してみよう。裏の方がいいよな。
名前:キソナ
種族:魔族:魔王
性別:男性(女性)
年齢:不明
職業:―
レベル:―
HP:一,八〇〇
MP:九〇〇
攻撃:三三〇
防御:二九〇 魔法防御一三〇
補正:防具補正:魔法反射
所得スキル:―
所得魔法:―
貢献:―
二つ名:伝説の魔王
経験値:―
その他:無限アイテムボックス (隠れステータス保持者)
思ったほどじゃないけど、今の所無敵だよな、これ。
性別は、魔王補正じゃないから隠れたままなのか。見たら女性だとわかると思うんだけどな……。
って、色々表示消えてるな……。人間は仮の姿だったという設定だからなのか?
『これさぁ、俺のレベルでステータスって上がっていくのか?』
『はい。上がります』
上がっていくのか。人間の姿で経験した事も反映されるって設定か。まあじゃ普通に強くなって行けば、無敵のままだな。
『消えちゃってるけど、魔法って覚えたのしか使えないのか?』
『何も表示されておりませんが、ほとんどの魔法が使えます。目安として今は、二段階目の威力の三倍の攻撃力があります。消費MPは、二段階目のになります。またマントで相手の魔法を跳ね返す事ができます』
うん。チートだ。相手の魔法を跳ね返し、三倍の攻撃魔法って。魔王って魔法の方が得意そうだな。
魔法は何でも使えるみたいだが、俺が魔法を知らないからこのままだと使えないな。どうにか知る方法ないかな。
あぁ、テスターの時にちゃんとやっていなかったのが悔やまれるな。まあ、魔王になっちゃうなんて思わないもんな。
『キソナ様は、魔王の衣装を纏っておりますので、宙に浮く事も可能です。時折練習なさってはいかがでしょうか?』
『浮けるのかよ!』
ピピは頷く。
すげぇな。それは是非練習して自由に飛べるようになりたいな。
『しかし、運営も粋な事するよな。魔王もプレイヤーにしてしまうなんてさ。あ、これもリアリティーの為なのか?』
『運営……創造主ですね。創造主は、この世界をこの世界の者達で動かそうとしているようです』
創造主……。まあ、ある意味間違ってないか。って、そういう設定なのか? なるほどな、神として見届けるってか。
『でもさぁ。俺は偶然女性だと見破られるとダメだから大人しくしているけど、そうじゃなかったらハチャメチャしてるかもよ? それでもOKだったのか?』
『それは……。もしかしたらそういう
まあ、凍結されるキャラだったら二つに一つだよな。隠し通すか、どうせだから派手にって。俺はどうやら前者だったみたいだな。
どちらにしてもこのキャラでやろうと決めたんだ。楽しまなくちゃな! 別にこの格好の時に見られても、俺だと知られなければ大丈夫みたいだし、人前で変身が解けちゃう事に気を付ければよさそうだな。
『あ、一つ忘れておりました。魔王の姿で敵やプレイヤーを倒しても経験値は入りません』
『……そうなんだ。わかった』
まあ、プレイヤーは倒す事はまずないだろうな。でも敵を倒しても経験値が入らないんじゃ……チートの意味ないだろう!!
まあ、変身している時のステータスもチートだけどさ。はぁ……。
結局、敵を倒しても意味がないので、姿を元に戻しタード街へ戻ったのだった。
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