少年期〜足跡
脱出チームは決まった。
まずはクリス・アストラル。
そして俺、レオリス・アストラル。
グレイズ王子の娘のミシェイル・バルメリア。
そしてエルフの王子らしいレイス・アルメニア
そんでもって剣士兼治癒術師のアルフリード・エルネスとかいう爽やかな人。
そして脱出後も含めたお世話も兼任のリドルフ。
という老若男女大集合のパーティが結成される事になった。
そんな俺たちパーティは今、半壊の城を抜けて裏の倉庫のような建物にいる。
見た目こそ少し大きめの体育倉庫のようだが、中は庭園を維持する為の多種多様な小道具が綺麗に整頓されている。
俺の知ってる掃除用具入れとか体育倉庫とは違うな、ウンアタリマエ。
そしてこんなとこにある理由もやはり1つしかない。
「このへんかな?」
そう言って床をトントンと叩きながらクリスが隠し部屋を探している。
アルフリードとリドルフは外の見張りをしており、今中には子供とクリスだけだ。
「仕方ないなぁ…俺が手伝おうじゃないか」
そうやって一緒に床を足で踏んで音を確認し始めたのは、エルフの王子らしきガキ。
俺も床を這いながら、床を確認する。
だがそんな広い建物じゃ無いだけにすぐに見つけることが出来た。
床をに空洞を確認できたので、開けられそうなのかを探し出す。
結局見つからないと、クリスが破壊して入口を開くことにした。
「クリス…もっと大人しく出来なかったのかい?」
物音で中を確認したアルフリードが、それを見て理解したらしい。
「時間に余裕あるわけじゃないし…」
そう子供のように言い訳をするクリス。
中は大人一人通れる程度の狭い地下へと向かう階段だった。
ここは流石に手入れされておらず、埃っぽさを感じるが、中は真っ暗でよく見えない。
「とりあえず先に進もう」
クリスの言葉に全員同意する。
先は真っ暗だが生憎ここは用具倉庫で、光源に出来るランタンは手に入る。
ランタンはクリス、リドルフ、アルフリードが各々の所持する。
「…ちょっと待って下さい……ていうか母様動かないで」
クリスがはじめに降りて、次に俺が続こうとしたとこで、階段を見て俺が声をあげた。
明らかに階段に違和感があった。
「え、なに?」
「いいから動かないで下さい!」
振り返ろうとするクリスを再度止まるように告げる。
「どうかした?」
背後からレイスがチラチラと下を覗こうと上半身を揺らしながら聞いてくる。
俺はその質問には答えずに、クリスからランタンを奪い取り、クリスの足の横を通ってクリスより前に出る。
クリスを抜かした時から足元に細心の注意を払って歩いて足元を照らす。
「何人かまではわかりませんが、足跡があります」
光で照らされた地面には複数の足跡があった。
それも土などではなく、埃で足跡がわかるようになっていた。
「あー確かに…つまりこれは…」
「ああ、少し前に誰かが先行して使っている可能性がある」
俺と同じように抜けてきたレイスと意見を確認する。
もし土で付いた足跡なら、以前のものかもしれないと、仮説を立てる事も出来るが、埃が踏まれて歩く事によって出来た足跡だ。
最近として使われた事に疑いはない。
使う理由もある事だしな。
「問題は誰か、だよね」
「ジンバ王はすでに確認されています、アズール王子かファリム王女かも知れません」
俺たちの話を聞いていたリドルフもクリスの後ろから話に入ってくる。
「他の上級役職の誰かという可能性もあるだろうね、秘密裏にこの通路を知っていて、騒動の合間に逃亡したとか…」
その後ろからアルフリードの声も聞こえる。
そう、可能性で言えば色々ある。
大事なのは先行しているものが居る事実だ。
「まぁ、今ここで引き返すわけにはいかないでしょ?逆に先行して道を調べてくれる斥候がいる分楽だと考えようよ」
俺としては不安もあったが、レイスの言う事は楽観的とは言え一理あると思う。
みんなの顔を見る限り概ね同意見といったところか…。
「とりあえずより警戒すればいいんだね!」
もういいよねと、俺とレイスを避けて再び前に出るクリスが、俺からランタンを取り上げた。
現在道が狭いのもあるが一列縦隊である。
前からクリス、俺、レイス、リドルフ、ミシェイル、アルフリードである。
1番戦闘力のあるクリスが先行して、時点のアルフリードが最後尾、間にリドルフを置いてフォローを重視する。
特に護衛対象のミシェイルをリドルフとアルフリードの目が届く場所に置くというフォーメーションである。
正直子供のお守り込みの陣形なので穴だらけなのは仕方ない。
俺としてはクリスは強いのがわかるが、リドルフやアルフリードは謎でもある。
だが、アルフリードは治癒術師も兼任なので実力有無以上の価値があることは否めない。
彼が万全であることがパーティーの生存率が格段に変わるのだろう。
まぁ、旅の経験は愚か実戦すらまだな俺が偉そうに言うことではない。
だがある物を使って出来る限りのことをしていくしかないのだ。
クリスを先行に先へと進んでいく。
俺は先日ドレイクから授けられた背中の剣を握りしめた。
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