私、個人投資家と付き合ってます。

「投資家」「恋愛」「付き合う」

　どんなに検索してもなかなか納得のいくような、参考になるような答えは見つからなかった。大体が、そんな「ギャンブル」をしている相手となら別れます、理解できません、将来は借金を背負うことになる、親に反対されたなど。

　たとえば視点を変えて検索してみても

　男性視点：

　彼女・妻が株などの資産運用に全く理解を示してくれない、やめて欲しいと言われた、彼女のために辞めるべきか、損失を打ち明けられない…など。

　女性視点：

　彼氏・旦那の株・FXを辞めさせたい、将来の損失が怖い、まったく理解できない、怖い、やめないなら別れるべきか、借金があるようだ…など。

　どうもネガティブな言葉ばかりだ。

　なぜそんな検索をしているかというと、もちろん私も彼とのお付き合いに強い不安、そして不満があったからだ。同時にやはり「理解できない」箇所も多すぎた。少しづつ彼の投資家としての姿に畏敬の念が芽生え、そして人としての良さにも気づきだしていたがやはり腑に落ちない。

　実は保険として、過去に使っていた婚活アプリもこっそり利用していた。なんせ結婚を焦っていのだから。

　そんな中、高校の同級生から久々にランチでもどうか、という旨の連絡がきた。彼女とは昔からよく管を巻きあっている気の置けない仲だ。どうやら彼氏が出来たらしい。どんな話になるかは予測がついていた。

「彼がケチでさ、デートが割り勘なの、正直キツイ。」

　そうのっけから不満が始まった。どうやら私の彼と似たような人種を捕獲してしまったようだ。出会いはオンライン上で、どうやら彼女の業界では割と名の知れた人らしい。そういえばちょっと前に狙っている人がいると言っていたが、あの人をうまくやり込めたわけね、すごいじゃない。

「収入は倍以上違うはずなのにさ、おかしくない？」

　あーわかる。でもさ、同じ業種だから、近い数字もらってると思ってるのかもよ？今度お金の話、ちゃんとしてみたら？結婚前提で付き合ってるんでしょ？今の内からそんな話できないと結婚しても大変だと思うよ？

　でもさ、男の人ってちょっと可哀想…付き合ってるときは払わされて、結婚したら取られて…なかなか上がらない給与を責められて…不憫。

　ああ、ごめん、何だった？

　なんだか彼女の話に耳を傾けていると耳が痛い。自分と似たような不満ばかりだ。目の前に彼の不満をぶつけている自分自身の姿が見える。そうしてそれに他人として客観的にアドバイスしている自分がいる。といいつつも、私も女としてここは共感性の発揮のしどころ。一緒になって、彼の不平不満を漏れなく吐いた。

　深夜から始まった彼氏への文句大会は明け方に鎮火し、分かれるころには揃ってすっきりとした表情で帰途についた。