タダで食べれるサラダと頼れない心
ちょっとした余談だが、私はあまりに金がない時にその辺の野草を摘んで食していたことがある。野草というか、主に
たしか祖母の家に行ったときに、伯母だか叔父だかが教えてくれた食材だ。もしかしたら田舎育ちの昔の人には普通の食材かもしれない。とにかくそれを聞いて、私はすぐさまスーパーのビニール袋を持参し、祖母の畑の境界線に自生している桑の葉を摘みまくった。
「タダのくいもんがある!!」それに尽きる。
その頃はそこまで生活に追い詰められても、決して両親に頼ろうとは思わなかった。何故なら頼りにならないだろうことは言わずもがなだったからだ。そもそも長女として生きてきて、社会人になりすぐに奨学金の返済と親類への入学金の返済がはじまり、その後妹の学費を工面したり仕送りをしたり、免許や車はもちろんのこと、その後専門学校に通い直すための費用も全て自分で捻出した。経験上きっと金銭的に親に頼ることはできないだろうという想像と、上手に甘えること、素直に家族に弱みを見せるということができないという現実があった。
(そんな中でも高校短大の奨学金の返済を一度も滞らせずに全額返納したのは自慢かな。)
__さらに車検がやってきた。カツカツの生活に八万ほどの出費が必要になる。だいぶ昔に、清水の舞台から飛び降りる覚悟で買って使用していない高級ブランドバックを売りはらい間に合わせた。そのままの勢いでフリマサイトを駆使し、目に見えるもので売れそうなものを片っ端から売った。
あと残るはテレビと車か。ソファーも売れそうだ。いやいや、車を売ると
それから幾ばくかして、冷蔵庫の中身は空っぽになった。実家が借金取りに追われていた時と似てるなあなんて生気を失った目で、がらんどうのなかのオレンジの明かりをしばらく見つめていた。
__女を売るしかないか。最後に売れるのはそれだけだった。
____と、創作ならば底で闇落ちした内容をつらつらと書いたほうが盛り上がるのであろうが、如何せんエッセイとして始まった実話ベースではあるので、それがあったのかなかったのかはさておき、さすがに私の分身の小春でそこまでを描写するのはここでは気が引けるし酷だ。いやまあ、職業に貴賎はないと思っているけどね。
……ということで、その後なにがあったかは想像にお任せしてもやもやさせることにする笑。今考えれば一人暮らしをやめ、仕事を変えさせすれは済んだ話だが、実家には絶対に帰りたくない一心と、やっと見つけた私にとって天職ともいえる仕事に(収入が少なかろうが)しがみついていたのは事実だ。
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