どうやら年金はお得らしいぞ?(世代格差あり?)
私には年金の未納期間が5年以上ある。前職は社保には入れてもらえず、そして国民年金を払う余裕もなく、
どうせもらえない、なんて聞くじゃない。年金支給も上がるようだしその年齢まで生きるかどうかも分かったものじゃないしね。
そんな私の話を聞いて、自営業の友人、真琴が心配そうな目で、諭すように伝えた。
「小春、年金払わなかったら将来もらえないよ?」
その時は気にも止めていなかったのだが、たまたま別の自営業の友人元樹にも同じようなことを言われることになった。
「小春、俺のばーちゃんは自営業で払ってこなくて、今凄い苦労してる。悪いことは言わないから、払っておいた方が身のためだぞ。」
私の中で、抑圧されていた将来への不安がムクムクと頭をもたげてきた。悲鳴にも似た鋭い警鐘が遠くから、段々と此方へやってくる。しかし焦ったところで収入は年金の支払いを賄うほど増えるわけではない。
ある日全ての不安を振払おうと、私はこんな考えにたどり着いた。【将来は生活保護を受ければいい】もちろんその制度について何も調べることもなく、漠然とたどり着いた答えだった。もはや現実逃避にそれは似ていた。
しかしそんな不安も転職することで二階建ての厚生年金に加入し、一掃される。とはいえ非正規ではあったが。それでも正規奴隷雇用よりは幾分かましである。
「そういや、ヒロさんって年金どうしてるの?」
純粋な疑問から訊ねてみた。個人投資家って職業は正直まだよくわからない。本人はセミリタイヤみたいなもんだよと笑ってPC画面を弄っているが、如何せんまだ理解不能だ。
「え?もちろん払ってるよ。国民年金基金とiDeCoも。節税になるしね。」
「ふーん。私は未納があるよ、払えなくて。」
国民年金以外にも聞き慣れ無い名前が出てきた。iDeCo?イデコ?なんだそれは。
「!え!年金を払ってないのか君は!」
なに、そこまで驚愕する必要ある?彼は心底信じられないという顔をして強いショックを受けている。
「…だってさ、もらえるかわからないって言うじゃない。そんなに払う意味あるの?」
「あっちゃー、あのね小春さん、年金ってお得なんだよ?何故かって?それは60歳から死ぬまでもらえるからね。俺は60歳から満額貰えるように設定してるよ。株なんかより断然年金の方がお得なんだよ?年金の未払いはさっさと払いなさいよ。それから!銀行の借金はもう返した?」
「まだ…。」
「早く借金を返して、今後年金も分割ででもちゃんと払うんだよ?」
「……」
私は胸中「60歳になる前に死んだら全額払い損じゃないかよ!」と吐き捨てたが、きっとしっかり論破されるだろう予測がついていたので、一応黙って反省したフリをしていた。
インターネットを使えばウェブ上で年金が将来どのくらいもらえるか調べられる、や、今総額でどのくらい支払っているかをチェックできるなどの熱弁を振るう彼を、終始ぼーっと眺めているしかなかった。
※国民年金と厚生年金の違い・・・国民年金は基礎年金と呼ばれるもの。加入期間の40年間満期で支払った場合は満額支給される。最低の加入期間は25年から10年に変更された。厚生年金はこの基礎年金に加算されて給付される年金。厚生年金は半分は雇用主の負担になるので主に対象者はサラリーマンなど。厚生年金+基礎年金の合計が支給される。
※国民年金基金・・・国民年金と厚生年金の給付金の差を解消するための制度。自営業者などが国民年金+国民年金基金で将来の給付金を上乗せできる。平成三年に創設された制度。
※iDeCo(イデコ)・・・
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