ど素人の考察

「小春、日経平均どこまで上がると思う?」

「えー…3万?とか?」

「ふむ……。」


 彼は顎に手をやり何か考えている。どっかのコラムに3万数千円に届く!だなんて記事があったことを思い出して、何も考えすにそのまま口にしただけだ。未だ相場そうばの動きがどういう規則性をもってして動いているのてんでわからない。時々会話に出てくるヒントを頼りにネットで検索したり、時々彼の質問に適当なことを答えては失笑させている。


「見て、この下ヒゲ。底っぽいよね。」

「?シタシゲ?」


「ほら、星が出てる。潮目しおめが変わるかな。」

「?ホシ?」


「これ以上日経上げると嫌だなあ、上げるな、上げるなって思う。あ~。」

「?なんで?(このまま上げ続けて3万超えるんでしょ?)」


「米国の利上げがあるとどんな影響があるでしょう?」

「……知らん。(睨みつける)」


、上げすぎてて恐ろしいよ。」

「(なんかまたジジイみたいな格言いってる)」



 最近はタブレットのチャート画面を見せて解説してくれたり、前は絶対に入れてくれなかった仕事部屋に時々入れてくれるようになった。いきなり日経新聞の記事の写真が送られてくることもある。もちろんちんぷんかんぷんだ。写真の記事は当然の如く読まずに素通りして、小春さん今度いつ会えますでしょうかのメッセージへ返信をする。あ、そういやゴールド、きんがナンチャラカンチャラいってたな。取り合えず検索をかけてみる。まだ彼から軍資金としてもらった1万円の投資先が決まっていないのだ。


「コモデティ」という言葉がでてきた。コモデティ(commodity)とは原油やゴールド金・プラチナ・パラジウムなどの貴金属から大豆・トウモロコシ・コーヒー豆に至るまでの商品に投資することのようだ。「先物取引さきものとりひき」、なんて言葉もでてくる。もはやこれまで、頭が混乱する。


 何だっけ、中学の頃の習った通貨だか何だかで「きん本位制度」だとか習った記憶があるけど、もしそれがコモデティと同じような意味なら、金属以外の穀物も通貨のような役割を果たしているということ?・・・だめだ。頭がごちゃごちゃになり、スマホの画面を消した。





※下ヒゲ・・・チャート上におけるローソク足の下に現れる線。下値の力が強い場合に現れる。⇔反対の力が強まると上に伸びる上ヒゲという線が現れる。


※ローソク足・・・江戸時代に日本人が発明したとされる値段の変動を表した棒グラフ。(詳しいことはまた後程。)


※利上げ・・・国の中央銀行が行う金融政策のひとつ。貸出金利の上昇で経済にブレーキ効果がある。引き締め政策などと言われ、景気過熱時などにおこなわれる。⇔利下げ・金融緩和。


※山高ければ谷深し・・・相場格言。高騰が激しければ、その反動で暴落も激しいということ。


※コモデティ投資・・・原油・ゴールドなどの貴金属・穀物・農産物などの実物資産に対して行う。インフレには強いが配当金がないなどメリット・デメリットがある。


※先物取引・・・将来の売買において値が決まるものの値段を前もって取り決める取引。期日が来た時にその約束の値段での売買が成立する。


※金本位制度・・・・貨幣価値と金の量とを結びつけた制度。金の重さで裏付けされた貨幣の価値になる。




 小春からひとこと。

 経済学はずぶの素人ですので解説には間違いがあるかもしれません!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る