お金は貸した方が殺される
新山からの攻撃は続いていた。しかし数日すると打って変わって、あの時はどうかしていた、悪かった、私を見捨てないでなどの謝罪の文面が送られてくるのだ。お金を集めたが夫に取られた、行事があったなどの言い訳もおまけでついてくる。そのたびに、信じていますから、ずっと待っていますから、そう私は許してきた。
しかし一向に返金のめどがつかない。それを指摘すると彼女は激昂してしまうのだ。そして上記の如くループがはじまる。本当にこっちまで頭がおかしくなりそうな日々が続いた。
仲の良い優実には借金を返したくないから頭のおかしい演技をしているんじゃないのと指摘される始末だ。
職場の同僚にはきっと彼女は薬がきいて一時的に我を取り戻しているだけで今後も変わらないし、DVと同じだよ、今回の事はもう勉強だと思ってお金は諦めたら、と諭される。
15万円は大きな金額かもしれないけど、それ以上にもっと嫌な思いをして時間を浪費していくと考えたらもう諦めるしかないのか。そもそもお金のない人からお金を回収するなんて普通に考えたら不可能だ。
受け入れたくはないが、やはり初めから私を嵌めるつもりで近づいてきたのかな。
まさか彼女がそんなことをするなんて信じられないし、信じたくはない。楽しかった頃の思い出が頭のなかではっきりとフラッシュバックする。
____もう少し、信じたい。
しかしそんな思いも裏腹に、ついに彼女はFacebook上でも私の中傷を始めた。個人的な攻撃なら「借金回収のために」私も耐えられたが、親切を無下にされた上に人前で心にもないことを言われる所以はない!
___だめだ、もう、限界だ。
そんな時にテレビからタイムリーなニュースが飛び込んできた。
殺人事件だ。それも金に関するものだった。
被害者は金を貸した女性だった。
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