第14話隣の思い出


隣の爺さんが死んだ、ガキの頃から世話になっていた。

元気が取り柄だと言っていたが、呆気なかった。凧揚げから竹とんぼと作り方まで教わり、メンコと駒も教わっていた。

楽しい日々であった。そのおかげか、仕事は、雑誌の記者で(昔の風)という題で昔の出来事から遊びなどを特集していた。

中学の終りまでは、関係が親しかったが、その後は距離をおいた。

気づいたら死んでいた。もうあの元気な姿は見れないのかと、悲しくなった。

自分が、気づけば死なずにすんだのではと、後悔した。

爺さんは親戚はがおらず、無縁仏になるらしい、自分は、親に頼んで葬式だけ出した。

見ず知らずの爺さんの葬式に人は来なかった。いや、少なかったとしとこう。

飲み仲間が何人か来たからだ。だが、寂しいものであった。爺さんが焼かれている煙を見つめて、心の中で「ごめんなさい」と合掌して涙を流した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る