第13話猫


私は、ネコです。

小説に出てくるように名はありません。それは、十年も付き添ってきたのに、主人ときたら、「おい」としか、言わないのです。

ただ、主人の奥さんは、私にミカンと名をつけてくれました。

だが、その名は気に入らないのです。何故なら、ミカン箱の中を好きで潜っていたときに、つけた名前だから、ただ、奥さんが名前を呼んでくれると、一通りの挨拶だけは忘れず、ニャーと返事を返すのです。

私がふと、外の世界が気になり、一カ月ほど、旅にでて、さまざまな危険を乗り越えて戻って来ると、私のエサ皿に名前が入ってました。今まで、単なる銀の皿がとても美しく見えました。

名には、ミケとかかれていました。やったーと呼んでいると、奥から茶と黒の混じりあったネコが出てきて、銀皿のエサにかぶり付いた。

………………………だ~~~れ~~~………………………

主人は、新たなネコを飼っていたのです。

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