第11話望み
欲しいものが何かと言われれば、それは才能であると、僕は断言できる。
漫画を描き初めて、一年経たずにデビュー出来たのは、自分に才能があって、それを読者が認めてくれたためであった。
その漫画は、十五年の間描き続けていた。途中低迷など様々なことがあったが、ラストは読者から、辞めないで、好きです、と僕の漫画を愛してくれる人の温もりを感じられた。
だがだ、僕がいざ新たな物語を描くと、読者からは、前の方が良かった、盛り上がりにかける、貴方の作品にミステリー要素はあらない。とあれだけ、愛してくれた。励ましの言葉が少なく、貶され続けていた。
スランプと言うわけではないが、楽しく描けていた物語が描けなくなっていた。
ある日、アシスタントがもっと才能が欲しいと言って、悩んでいるところを見ていると、先生はいいですね、才能があってと言われ、ムカッ来てしまい。喧嘩になった。
担当が来て僕に言った。
先生が面白くないのならやめますか?
意外な言葉が出て、体が動かなくなった。私はふらつき床に崩れた。
担当にまで見捨てられた。私はただ、面白い作品を世に出して、楽しませたかっただけなのに、誰も相手に去れなくなったらポイですか、
先生、貴方の作品は面白くありません。ですが、それは先生のせいではありません。僕がつまらない担当だから、貴方を大きく羽ばたかせることが出来ないのです。
なら、僕と先生の新たな物語の為にこの作品は必要ありません。
先生、この作品をなくして、新たな物語作って行きましょう。僕は先生の物語好きですから、辞めないで下さいね、どんなに叩かれようと次があります。
そして、二年の短い中で打ち切りになって、また、新たな物語を考えて、担当と精魂込めて、描き上げた。
その物語は、七年も描き続けた。
私は、アシスタントの新人君に先生が欲しいものって何ですか?と質問があり、一言才能かなぁと言う。
皆は、またまた、才能なけりゃ描けませんよこんな漫画は、と言われてしまうが、あの担当の私を動かしてくれた才能のおかけで、今がある。もし、出来るなら、そんな才能が欲しいものだと感じてしまう。
完
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