第8話芋虫
僕は芋虫だ、サナギにもなれてないのに。ただ、蝶に憧れているような、単なる人間だ。
僕は、小学生と中学校でとても地味に生きてきたので、高校になり自分の性格と言うのを変えて、友達を作ろうと思ったのだが、僕は運が悪かった。優しくしてくれた友達が、不良の仲間でいつの間にか、自分もつるんでいた。
だが、僕がそんなやつらのグループに馴染めるわけもなく、気がつくとパシりなことばかりさせられていた。
ただ、抜け出すことはできなかった。もし、集いに参加しなければ、次の日、トイレで蹴っ飛ばされた、それも達が悪いのは、彼らは全員覆面を被っており、自分達が誰かわからないようにした。
その後もパシられてばかりで、やっとのこと、集いで意見を言った。
辞めたいです。仲良くするのを辞めたいです。
殴られるの覚悟だった。もし辞めさせてくれなきゃ、退学も覚悟していた。
わかってるんだろうな、もし、辞めたらどうなるか、
わかってる、殴るんだったら殴れ、
覚悟して言ったが、彼らは意外な返答をした。
殴らないよ、でもね面白い余興考えた。お前好きなやつがいるから、ちょっと待ってて、出てきたのはゴリゴリのマッチョ男で、空手部にいた記憶がある。
セックスしたいんだと、お前とアナルセックスしてお前と恋人になりたいんだと、僕ちゃん優しいキューピット二人の中を取り持ってやるんだから優しいだろう。そして、お前はこのクラブから抜け出すことができる。
じゃあ、邪魔したら悪いから、外に出てるね、あっそうだった。これセットするの忘れてた。ビデオカメラ、お前、ただで、終われると思うなよ。この日ビデオを編集してネットでバラ蒔いてやるよ。
彼らは扉を閉じた。それは苦痛だけの時間だ、男同士で一方的に犯され、その汚い舌でなめ回されている。早く解放されたいが、その男は何度も抱きついてきて、耳元で愛してると言っている。向こうには、回り続けるカメラの赤いランプが見えた。
苦痛が快楽になることなく、この地獄は終わった。扉が開いて、カメラのフラッシュがたかれた。
お前の可愛い寝顔、明日バラ蒔いてやるよ
といって、出ていった。
僕はただ、羽ばたいている綺麗な蝶になりたくて、たくさんの友達を作りたかっただけだった。明日になったら、僕の恥ずかしい写真が学校にばら蒔かれる。僕は夜の学校に忍び込んで、屋上にいた。綺麗な星空を見上げた。
…………………蝶になれば、届くかな…………………………
学校であの写真がばら蒔かれることはなかった、屋上から飛び降り自殺のせいで、あいつらも、なにもしなかったのだ。
その後、あいつらは、校長室に呼び出されていた。
君たちは本当に、彼の死と関係ないんだねと言うと、あいつらは、…………はい 、あたりまえじゃないですか、僕ら、いつも仲良くしていて、今だってあいつの死に、悲しくてたまりませんよ。だって大切な友達だったんですよ……………とリーダーは、校長の前で笑って見せた。
完
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